クリエイターの発信を支える「まぐまぐ」の提供でお送りするラジオ番組『Why So Good?』。MCの越川慎司氏(株式会社クロスリバー 代表取締役)とアシスタントMCの上條美沙子氏が、毎回ゲストを迎えて「何をやっているか」ではなく「なぜそれに至ったのか」を掘り下げる30分番組だ。
今回のゲストは、犯罪ジャーナリストの多田文明さん。街頭のキャッチセールスや悪質な勧誘現場への潜入取材は、これまでに100か所以上。その体験をもとにした著書『ついていったら、こうなった』(彩図社)はフジテレビで番組化され、2007年から2011年にかけて特番として第8弾まで放送された。旧統一教会の元信者という経歴を持ち、教団を提訴して最高裁まで争った当事者でもある。2017年から2018年にかけては消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員も務め、現在は日本消費生活問題研究所(JACARIN)の主任研究員として、詐欺・悪質商法や特殊詐欺、ロマンス詐欺の手口に精通し、被害防止のための啓発活動や講演を続けている。
「詐欺に遭わないための知識は、そのままビジネステクニックとしても使える」——多田さんが語ったのは、100か所以上の潜入取材で見えてきた、詐欺師たちの”再現性のある話術”だった。番組サムネイルに刻まれた「ビジネステクニックを使った組織的犯罪の実態」という言葉どおり、この日語られたのは犯罪の恐ろしさだけでなく、その裏にある人を動かす技術そのものだ。
宮城県仙台市出身、日本大学法学部卒業。近著には、詐欺商法の事例をまとめた著作のほか、旧統一教会の元信者としての経験を綴った『新興宗教ぶっちゃけ話 入信したら、こうなった。』(清談社Publico)などがある。テレビ・ラジオへの出演のほか、Yahoo!ニュース エキスパートのオーサーとして記事を執筆し、2024年からは自身のYouTubeチャンネルでも情報発信を続けている。肩書きを並べるだけでは伝わらない”現場で騙されかけた人間だからこそ言えること”を、この日は30分の放送の中で惜しみなく語ってくれた。
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なぜ詐欺の手口が「ビジネステクニック」なのか
上條: 簡単にプロフィールのご紹介です。2001年から2002年まで「誘われたらついていく」雑誌連載を担当。潜入は100か所以上。20年の取材経験からあらゆる詐欺、悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」は番組化し、特番で第8弾まで放送されました。旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題や詐欺・悪質手法の被害防止のための講演も行っていらっしゃいます。
多田: はい、よろしくお願いします。
越川: もう多田さんのことを知っている方も多いんじゃないかなと思います。日々メディアにパネリストとして出演したり、コメント出演したり、特番であったりと引く手あまただと思うんですが、ぜひ今回リスナーの方に向けて最も伝えたいグッドな点、教えていただいてよろしいですか。
多田: いわゆる詐欺に遭わないためには、詐欺師たちが使う手口とか、ビジネスにも通じるテクニックというのをぜひ知っておいてほしいというふうに思います。
越川: これはもう本当に一次情報ですし、AIが導き出さない経験を基にしているのがすごいですよ。100か所以上潜入、20年の取材経験。これを聞いて終わりじゃなくて、聞いたものを詐欺に遭わないためのアクションにつなげるということがすごく重要だなというふうに思うんですけども。今回の詐欺に遭わないテクニックというのは、ビジネスでも活用できるものですかね。
多田: そうですね。今は組織的詐欺というのが非常に被害が大きくなってるんですけど、彼らはやはり非常にビジネステクニックを使っているということがよくわかるんですね。特に私もいろんな悪質業者に潜入する中で、その話術を本当にいい方に使ったら、これは間違いなく売り上げが上がるというような方法を様々使っているということになりますね。
「彼らはビジネステクニックを、本当にいい方に使ったら間違いなく売り上げが上がるというような方法で使っている」
越川: なるほど。ある意味、人を騙すテクニック、話術というのは、例えばトップセールスとしても活用ができるという、そんな意味なんですかね。
多田: そういうことなんですね。
犯罪の手口を暴くはずのジャーナリストが、その手口を「ビジネステクニック」と言い切る。この逆説こそが、多田さんが20年以上メディアから声をかけられ続けている理由なのだろう。悪質な業者やカルト団体が使う話法は、相手を追い詰めるための特別な技術ではなく、むしろ「信頼を作る」「相手のニーズを引き出す」といった、まっとうな営業やコミュニケーションの基本と地続きにある。だからこそ多田さんは、詐欺の手口を伝えることが、そのままビジネスパーソンへの学びにもなると考えている。
「誘われたらついていく」——潜入ルポライターになった経緯
もともとライターとしての素質があったわけではない、と多田さんは振り返る。詐欺・悪質商法の世界に足を踏み入れたきっかけは、決して華々しいものではなかった。
越川: そもそもすごく興味深いのが、この詐欺とか、こういった事件に着目した理由ってもともとは何だったんですか?
多田: まあ、もともとは成り行きなんですね。言ってしまえばですね、私、旧統一教会の元信者だったんですね。それでもうお金も奪われ、毎日外に出て伝道とお金集めしかしてないですから、何のスキルもない。信者辞めた途端にもう無一文で何もないというところで、じゃあ何しようかと思った時に、当時ダ・カーポっていう雑誌があって。
越川: ありましたね、ダ・カーポね。
多田: すごい安いんですよ。安いのでこの私でも買えるっていう。それを読みながら、当時は情報も全然遮断されてたんでね、今のニュースとかどんなふうなものがあるかっていうのを読んでいた時に、たまたま編集部と繋がる機会があって、投稿したんですね。あることを投稿したらそれが採用されて。
当時読んでいた『ダ・カーポ』(マガジンハウス)は、情報が遮断された生活を送っていた多田さんにも手が届く安さだったという。その誌面への投稿がきっかけで編集部とのつながりができ、野球部の助っ人として誘われて飲み会や草野球にも顔を出すようになった。あるカラオケの席で、勧められるままに郷ひろみの曲を歌ったところ、編集長から「お前、これだ」と声をかけられたのが転機だったという。旧統一教会の元信者であることも、多田さんはその場で包み隠さず話していた。周囲は面白がりながらも、「そこまで騙されたお前だからこそ書ける」と背中を押した。
多田: じゃあお前はここまで騙されたんだから、今、路上にものすごい悪質な勧誘、キャッチセールスについていったものをルポして連載してみろと。もう経験があるから、これ以上騙されることないだろうと。それをぜひ伝えていったらどうだっていうことで連載が始まったと。
こうして始まった連載が、後に100か所以上の潜入取材、そしてフジテレビでの番組化へとつながっていく。自身の被害体験を隠さなかったことが、結果としてキャリアの原点になった。「元信者だから、これ以上騙されることはないだろう」という編集部の見立ては、しかしこの後の放送で語られる通り、必ずしも正しくはなかった。手口を知っていることと、感情まで防げることは別物だったからだ。
マニュアル化された詐欺——なぜ「次に何をするか」が分かるのか
越川: なんか興味深いのが、その文章にあんまり興味がなかったのに、後にこれだけ掲載してメディアに出まくるっていうのは、本当なんかキャリア人生ってわかんないものですね。
多田: 本当に。一番驚いたのが、その悪質業者に潜入すると、その潜入した人たちが次何をするかわかるんですよ。
越川: それは自分の経験でですか。
多田: そうなんですよ。何の経験かっていうと、一番の組織的なものは、旧統一教会がやってたお金集めの活動っていうのはマニュアル化されていて、話術も全部決まってるんですね。全く同じことを喋ってるわけですよ。
越川: やっぱそれは再現性があるものなんですね。じゃあ次に何来るかっていうのも分かってたんですね。
多田: だからね、例えば統一教会の中では、褒めて相手の個人情報を引き出す。今まさに個人情報を引き出して詐欺をするっていうのがすごく流行ってるんですけど、それを40年以上前からやってんですよ。それで褒めるんですよ。だから悪質業者に行くと必ず褒めてくれるんで、それで気持ちよくなっちゃうんですけどね。それで口を軽くして個人情報を得て、そこから契約に持ってくっていうね。
「褒めて気持ちよくさせ、口を軽くして個人情報を引き出す」——これは特殊詐欺やSNS型投資詐欺で今まさに使われている手口と地続きだと多田さんは指摘する。組織化された詐欺には、時代を超えて受け継がれる”型”があるということだ。フィッシングメールの文面や、還付金詐欺のATM誘導トーク、SNSでの投資勧誘の口説き文句——手段が新しくなっても、根っこにある「相手を持ち上げて情報を引き出し、断りにくい流れを作る」という構造は驚くほど変わらない。だからこそ、旧統一教会時代の勧誘手法を知る多田さんは、今のSNS型詐欺の展開もある程度読めてしまうのだという。
知っていても危ない——デート商法で味わった恐怖
手口を知り尽くしているはずの多田さんでさえ、潜入取材の最中に危うく被害に遭いかけた経験があるという。
越川: 多田さんが潜入した時に、あ、褒めてきてる、褒めてきてる、情報取られてるんだ、取られるだろうなってことも分かったってことですね。
多田: 分かってるんだけど、それでも危ない商法ってあったんですね。当時まだ独身でしたからね(笑)。あの当時独身だった時に、デート商法って流行ったんですよ。本当に褒めたり、すごく手を握られたりとか、スキンシップしながらこっちの恋心を煽って、また綺麗な人なんですね。で、最終的に宝石を売ろうとするんですけど。
多田: この宝石を買ったら私がついてくるんです、みたいなことを耳元で。私、耳が弱いんでね、耳元で囁かれたりしたら、えーっと思っちゃうぐらいの。百何十万だったんで買わなかったですけどね。
「皆さん絶対真似しないでくださいね。絶対危ないところまで行ってしまう可能性はある」
越川: でもギリギリまで行きそうだったってことですか。その詐欺とか騙される経験があるから、ある程度何してくるかって分かってる時でも、デート商法っていうのは結構やっぱりすごかったんですか?
多田: やっぱり恋心を、いわゆる結婚できるのかなって思わせてくるんですよ。その人に合わせた形で本当に。まあでもある程度のところで——皆さん絶対真似しないでくださいね。絶対危ないところまで行ってしまう可能性はあるということですね。
手口を理解していることと、感情を揺さぶられないことは別問題だ。多田さんのこの経験談は、「知識があれば大丈夫」という油断こそが一番危ないということを教えてくれる。デート商法は、恋愛感情や結婚への期待といった、誰もが持ちうる感情の隙を突いてくる手口だ。相手が親身になってくれているように感じるほど、冷静な判断が難しくなる——それは詐欺の現場に限らず、対人関係全般に通じる落とし穴でもある。
被害者が声を上げなければ、被害者は生まれ続ける
なぜリスクのある取材や発信を、今も続けているのか。その答えは、多田さん自身が「被害者」だった経験に根差している。
越川: でもその話を聞いてると面白い反面、やっぱりリスクもあるじゃないですか。自分が騙されちゃう経験もある中で、なぜ今も犯罪抑止・防止に向けるという、ある程度リスクがある仕事を今やられているのってなぜですかね。
多田: やっぱり自分が旧統一教会もそうでしたけど、被害者だったんですよ。そうした被害者が被害者のままであったとしたら、そういう悪い商法とか、悪くお金を集める人たちがたくさん生まれてしまうということなんですね。常に被害者を出さないために、被害者が声を上げないといけないし、手口を知らせないといけない。だから、それを身を持って——でも私も被害者の聞き取りを様々しますけど、本当にひどいんですよ、今、ロマンス詐欺っていうのはね。
越川: 今、史上最大額だって言われてますよね、被害額が。
多田: ロマンスにいわゆる投資を合わせたような詐欺っていうのはすごいんですけど、実はもっと前からあって、コロナ前ぐらいからあって、その頃からずっと記事にしてて。警察もそれ海外の組織なんで、被害届を受けてくれないみたいな、ものすごい声を聞いていて、みんなが苦しんでる中で、ようやく今年になって初めてロマンス詐欺とか特殊詐欺の枠組みに入ったんですね。ようやく様々な捜査がまた進んだっていうこともあって、そういうのは伝え続けていかないと、パイオニアでないといけないなと思ってますね。
実際、警察庁がまとめた2025年の特殊詐欺およびSNS型投資・ロマンス詐欺の被害総額(確定値)は約3,257億円と、前年から6割以上増えて過去最悪を更新している。そのうちロマンス詐欺単体の被害額も前年比で4割近く増えており、多田さんが取材の現場で感じてきた「史上最大額」という実感は、統計の数字にもそのまま裏付けられている。多田さんは2017年から2018年にかけて消費者庁の検討会委員を務め、現在も日本消費生活問題研究所(JACARIN)で研究者としての立場から被害実態の分析に関わっている。現場での潜入取材と、行政の検討会での知見の両方を持っているからこそ、「海外組織が絡むと被害届すら受理されにくかった」という制度の壁についても、当事者の声として語ることができる。
自身が旧統一教会を提訴し、最高裁まで争って判決を得た当事者であることも、多田さんが実名で発信を続ける理由と重なる。
多田: 隠しても隠しちゃいけないというか、もっと言ってしまえば、私、旧統一教会を訴えて最高裁まで行って判決を取ってる人間なので、とにかく悪いものは悪いってしっかり言わないといけないっていうのがあるので、だからそこはしっかりと自分を隠して何かするっていうんでなくて、ちゃんと話すということは大事だなと思ってますね。
共通項づくりとナッジ理論——詐欺の話法はビジネスにも使える
詐欺師の話術は、なぜここまでビジネスに応用できるのか。多田さんは具体的な手法を挙げていく。
越川: コミュニケーション術で、詐欺師の人たちが使うコミュニケーションテクニック——さっきの褒めて自己開示させて、それから本質を突くみたいな、ビジネスのテクニックとして役立てられるものって他にありますかね?
多田: そうですね、いくつもありますけど。一つはやはり共通項を見つけるってことですね。詐欺師は嘘の共通項を出すんですけれども、事前に相手がどんな人かっていうのをある程度知っておいて、どういうところで自分が共通項があるのかなというのを、その接点をすり合わせてお話するっていうことがまず一つですね。
越川: なるほど。確かに仕事ができる人たちって興味関心が相手に向いていて、雑談の中でその共通点を二つ以上見つけるみたいなのは、確かに似てる感じですね。
初対面の商談で、相手の出身地や趣味、過去の実績を事前に調べておき、雑談の中でさりげなく触れる——トップ営業パーソンがよく使う手法も、構造としては多田さんの言う「共通項づくり」と変わらない。違いがあるとすれば、その共通項が「本当か、作られたものか」という一点だけだ。
多田: であともう一つは、これ話術というか、ナッジ理論ってあるんですけど。今、還付金詐欺ってあるんですけどね。ATMに誘導するときも、そっと背中を押すんですよ。その道筋をうまく誘導しながら話を進めるっていう、それで詐欺に遭っちゃうっていうところがあるので。だからさりげなく、こっちの方に話を進めたいなっていう向こうの意図とこちらの意図を示しながら、話の筋道をある程度頭の中にストーリーをちょっと作っておく。
越川: なるほど。他部署の人に協力してもらいたい時には、そのストーリーをある程度細かく念頭に入れておいて、丁寧にコミュニケーションを取ると相手が思い通りに動く、みたいな。
多田: そうですね。
事前に相手を知り、共通点を探ってから話す。行動経済学の「ナッジ理論」を使い、強引にではなくそっと後押しする。どちらも詐欺の現場で磨かれた技術だが、社内交渉や営業の場面にそのまま置き換えられる普遍性を持っている。
ナッジ理論とは、選択肢を無理に狭めたり禁止したりするのではなく、環境や見せ方を少し変えるだけで人の行動を望ましい方向にそっと後押しする、行動経済学の考え方だ。本来は健康増進や環境配慮といった公共政策の分野で使われることが多い理論だが、多田さんの指摘は、この”そっと後押しする”という性質そのものが、還付金詐欺のATM誘導のように悪用され得ることを示している。良い方向にも悪い方向にも使える技術だからこそ、まずその構造を知っておくことが防御になる。
「じわじわ」戻される——マニュアルから外れた話を元に戻す技術
上條: 結構ね、今流行ってる詐欺とか聞くとやっぱり身近ですし、なんかこうじわじわこう……っていうのを今お話聞いてて思い出しました。
越川: ちょっとポイントですね、じわじわっていう言葉が。
多田: そうですね、実際あの、もともと詐欺グループの場合はマニュアルがあるんでね。そのマニュアルから逸れると怒り出したり、軌道修正したりするんですけど。だからそうしたうまい詐欺師っていうのは、そのマニュアルにそーっとまた戻すっていうところをやってくるんですよ。私わざと話をそらすんですよ。外れようとすると、もう戻してきた、戻してきたっていう。
越川: でもそれは自分が犯罪に遭わないためにも、そのストーリーは知っておいた方がいいってことですね。じわじわいきなり本質についていくんじゃなくて、じわじわ近づいてくることと、離れたら絶対元に戻るっていうことを理解しておくと、これやっぱり被害に遭う確率下がりますかね。
多田: 下がります。いわゆる戻そうとした時に戻さないように、また話を外に持っていけばいいんですね。元に戻らないように。さっきの宝石だったら、宝石に行かないように逸らしておくということですね。
「話がマニュアルから外れようとすると、詐欺師はもう戻してきた、戻してきたっていう」
会話の主導権を握られていると気づいたら、あえて話をそらす——多田さんが潜入取材の中で身につけたこの防御術は、しつこい営業や強引な交渉から自分を守るときにも応用できそうだ。
関心のない人にこそ届けたい——多田さんが描く今後のビジョン
越川: こういった内容を情報番組以外にも多くの方に。今回はビジネスパーソンの方が結構深夜に聴いてる方が多いと思うんですけど、ぜひ多田さんが今後この犯罪を抑止する、防止するためにこういう活動したいっていう何かビジョンがあればぜひ聞かせていただきたいなと思うんですが。
多田: そうですね。いずれにしても、やっぱり記事を書き続けて、皆さんに読んでいただくということですね。あとYouTubeもやってるんですけど、詐欺の情報っていうのは、関心のある人は見る。でも見ない人が騙されるっていうところなんで、やはりそこをなんとか埋めて、関心のある人に引き寄せられるようなことを今後していきたいですね。
越川: 注意を払っている人たちはアンテナが立ってるから自分で防御できるけど、自分は大丈夫だとか、そんなに興味持ってないっていう人たちが被害に遭っちゃうから、いろんなメディアで発信を続けるということなんですかね。
多田: そうですね。今、闇バイトっていうのもありますね。高校生とかは自分のことだってあんまり考えなかったりしますので、じゃあそこをどういうふうに持っていけるかとか、幅広い世代で考えていかないといけないなと思います。
「詐欺の被害というと高齢者を狙った特殊詐欺のイメージが強いが、闇バイトの実行役として巻き込まれるのは、むしろ若い世代だ。「自分は騙される側にも、加担する側にもならない」という思い込みこそが一番の弱点だと、多田さんは20年の取材経験から繰り返し指摘する。
越川: 僕もまぐまぐでクリエイターとしてメルマガ出してますけど、まさに今日の内容の一部も含めて多田さんがもうメルマガを出してますのでね、まずはそこを見ていただくっていうことですよね。もうあっという間ですね。素晴らしい、参考になりました。さっきの「じわじわ」と「遠回り」は肝に銘じたいと思います。
上條: 気をつけていきたいと思います。多田さん、ありがとうございました。
多田: はい、ありがとうございました。
今日から使える、多田さん式「詐欺に遭わないための視点」
この日語られた内容を振り返ると、多田さんが繰り返し強調していたポイントはおおむね4つに整理できる。
一つ目は、「褒められて気分が良くなったら、まず疑う」ということ。詐欺師が真っ先に行うのは、相手を持ち上げて口を軽くさせることだった。二つ目は、「示された共通項が本当に事前の接点によるものか確認する」こと。偶然の一致を装う手口は、ビジネスの場でも起こり得る。三つ目は、「話がそっと元の筋道に戻されようとしたら、いったん距離を置く」こと。うまい話し手ほど、自然に軌道修正してくる。そして四つ目は、「知識があっても感情までは防げないと知っておく」こと。多田さん自身のデート商法の経験がその何よりの証拠だ。
いずれも、詐欺の被害を防ぐためだけでなく、商談やチーム内のコミュニケーションを見直すきっかけにもなる視点だろう。
詐欺の手口を知ることは、そのまま人を動かす技術を知ることでもある——多田さんが100か所以上の潜入取材と自らの被害体験から導き出した結論は、犯罪抑止の啓発でありながら、ビジネスパーソンへの実践的な示唆にもなっていた。「じわじわ」「共通項」「ナッジ」というキーワードは、詐欺の現場でも、日々の商談の現場でも、驚くほど同じ形で機能している。
放送の中で越川氏が繰り返し口にしていたのは、「これは一次情報だ」という言葉だった。元信者としての被害経験、100か所以上への潜入、20年にわたる取材の蓄積——AIがどれだけ発達しても再現できないのは、こうした”自分の身体を使って確かめた情報”なのだろう。多田さんが最後に語った「関心のある人には届くが、関心のない人が被害に遭う」という課題は、詐欺対策に限らず、あらゆる情報発信に通じる本質的な問いでもある。手口を知ってもなお危ういことがある、という多田さん自身の告白も含めて、この30分は「知っているつもり」を揺さぶる時間になったはずだ。
多田さんの詐欺・悪質商法に関する記事や発信は、まぐまぐの有料メルマガでも読むことができる。
●多田文明さんのメルマガはこちら(https://www.mag2.com/m/0001696348)
番組概要
- 番組名:Why So Good?
- 放送局:interfm
- 放送日時:毎週木曜25:00~25:30
- 出演:越川慎司氏(株式会社クロスリバー 代表取締役)
上條美沙子氏 - ゲスト出演:多田文明氏(犯罪ジャーナリスト)
- プロデューサー:エダコDX
- ラジオ本編はこちらから https://www.interfm.co.jp/whysogood
- interfm(東京:89.7MHz 横浜:76.5 MHz) https://www.interfm.co.jp/
- 番組TikTok(https://www.tiktok.com/@whysogood_radio)
※本記事は、トーク番組「Why So Good?」の放送内容をもとに再構成したものです