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【書評】だいたいやねぇ、英会話は19個の単語さえ覚えればOKや

中学・高校そして大学と長年英語を学んできたのに、海外に行くとちょっとした会話も覚束ない。……そんな方に向けて、人気の無料メルマガ『ビジネス発想源』の著者・弘中勝さんがオススメしているのが、政治評論家・竹村健一氏が30年以上も前に上梓した英語学習法の本。なんでも“英会話は基本19語でなんとかなる”という、驚きの内容のようで……。

基本を絞り込む

最近読んだ本の内容からの話。

ジャーナリストで政治評論家の竹村健一氏は、フルブライト奨学金制度の第1号生として海外の大学で学び、英字新聞の記者となり、テレビでも数多くの外国の要人にインタビューしてきた。

英語を道具に多くの外国人と付き合い、ビジネスに役立ててきた竹村健一氏だが、同時通訳者のような滑らかな発音もできないし大学教授のように難しい単語も知らず、自分は英語が下手だ、と自認する。

それでも、テレビ番組でレーガン大統領やキッシンジャー元国務長官などとやりとりをしても、十分に相手に通じ国際政治上の難しい内容のことも自由にディスカッションできてしまう。

実は、インテリ中のインテリである彼らも、普段からやさしい英語を使っている。

また、アメリカの商務省が内外の新聞記者向けに流しているニュースを読んでみると、輸入鉄鋼の最低基準価格を steel trigger prices というが、この特殊用語を除いて、れっきとした政府文書が、中学英語で十分に理解できる平易な英語で書かれていた。

竹村健一氏は、大学3年の頃にダンスのレッスンに通い、完全性を求める性格からか、ダンス教師の免状を取るまでのめり込んだ。

このレッスンでは、ウォークという、ただ前に行ったり後ろに行ったりする基本の型を何百回と練習するところから始め、次は鏡を前にダンスの相手を想定して一人でホールド(腕の構え方)や、足の向きを確かめるシャドー・ダンシングを繰り返す。

竹村氏はダンスとはこのような厳しい練習を経て、初めて踊れるようになるものだと思っていた。

ところが、アメリカのシラキュース大学に留学した時、クリスマスにダンスパーティーが行われることになり、学生自治体がダンスの講習会を開くというので参加してみると、竹村氏は驚いた

そこでは最初の最初からパートナーと組ませ、前へ2歩、後ろへ2歩と、ものの10分で動き方を教え、腰はフラフラしているが、彼らは実に楽しそうに踊った。

ダンスはもともと楽しむためのものであり、楽しく踊れてパートナーと仲良くなれればよいので、きれいなダンスが踊れるか、ステップが完全であるか、などは二の次であり、日本でのウォークの練習やシャドー・ダンシングなど全くお呼びでなかった。

英語もこれと同じことで、日本人が英語を学ぶのは時間をかけて英語屋になることではなくて、海外旅行を楽しんだり、ビジネスをしたり、外人の女性と付き合ってみたかったりするものだ。

第二次世界大戦中、アメリカが同盟国の空軍兵士を訓練する際に英会話を集中的に講義したところ、わずか60時間でどうにか話せるようになったという。

それに対して、日本人の英語の学習は、英語そのもの目的となり、後がない

頭の働きが一番活発な、中学・高校・大学の10年という長い歳月をかけてまでやるシロモノではない。

例えば、「陽は落ち、潮は引き、風が凪いできた」という文学的な文章を、英語に置き換えるとどうなるか。

日本語の「落ちる」「引く」「凪ぐ(なぐ)」といった表現の違いは難しそうだが、「The sun is down, the tide is down, and the wind had been going down.」と、英語では全部 down という一語で済んでしまい、日本語にこだわりすぎると絶対に出てこない。

竹村氏は、自分のなに不自由ない英語力は

・be, do, have, keep ,come, go, ___, ____, ____,____, ___, ___ の動詞

・in, out, on, ___, ____, up, down の前置詞(副詞)

この中学校でも習う基本的な19個の単語の徹底利用だと述べる。

まだ文章や単語の適切な用法が分からないうちから無理して難しい単語を使おうとするのは、ボロをまとった人がダイヤモンドをはめるようなものでまったくちぐはぐで似つかわしくない。

これら、基本19語だけを徹底的に使いこなせば、そのいろいろな使い方や組み合わせ方で、ほとんど完璧に英語力を飛躍させることができる、と述べている。

出典は、最近読んだこの本です。

政治評論家・竹村健一氏が英語上達の秘訣をまとめた本。読み物としても大変面白く、英語が楽しくなります。


『基本19語の英語術―これで、旅行も商談もOKや』竹村健一氏著

何を習うにしても「完璧な基礎」を求めたがる人が、とてもたくさんいます。例えば、カルチャースクールに行かなければならない、基礎を1日何時間かけなければならない、という感じ。

そしてまた、教える側もそういう意識の人が多くて、この基礎を完璧に仕上げないと次に行けません、ということを繰り返しさせてしまう。

そういう大人たちが、今度は子供たちに習い事をさせると、また同じように地道な長時間の基礎を強制してしまうから、子供たちも楽しくない時間を費やされてしまう。それでいて、結局はそこから抜きん出てくる者はほとんどおらず、たいがいが中途半端に終わります

でも、大抵のことはもともとのルーツが、そんな小難しい鍛錬ではなかったのではないでしょうか。

料理は「美味しく食べる」、茶道は「お茶を楽しむ」、英語は「楽しく会話する」、ピアノは「音楽を愛でる」、スポーツは「楽しく汗をかく」と、気楽に楽しむものである場合が多いのです。

それなのに、多くの人が最初から楽しくない覚悟を決め、教える側も楽しくない鍛錬を強いてしまいます。理想とする型から外れると「それは違う!こうだよ!」と一つの型に矯正してしまう。

そのように鍛錬していったものは、「理想とする状況では、理想とする型で対応できる」ようにはなるものの、「いろんな状況で、使いこなす」ことにはつながりません

気楽に楽しむことができれば、どんな状況や環境でも「ラケットとボールさえあれば、テニスができるよね」という感覚で、どんどん使いこなすことができるのに、「いや、コートとネットとシューズがなければテニスとは言えない」などという狭い状況に押しやってしまう人が多いのです。

「このいくつかの動作さえ知っておけば、どこでもやっていける」

「このいくつかの道具さえ使いこなせば、どんな状況でも対応できる」

「このいくつかの表現だけ知っておけば、大抵のことは言い表せる」

何かあったら、この方法をやればいい」

というような、基本を絞り込める人ほど、本当にその世界に精通し、本質を理解し尽くしていると言えるでしょう。

自分の仕事の世界、または自分の趣味の世界を、「この◯個のことさえ知っておけば、ほぼ大丈夫」と言い表すことができるでしょうか。

 

【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)
・自分の仕事について、「この◯項目を使いこなせばやっていける」という項目を箇条書きでまとめる。項目数はなるべく少なく、多くても20個まで。

image by: Shutterstock

 

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