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『紅白』終われば鐘が鳴ってお正月。この良さは海外に住むとわかる

日本人の大晦日、といえば『紅白歌合戦』ですよね。実はこれ、日本独自の文化なんだそうです。海外で長く生活しているメルマガ「ニューヨークの遊び方」の著者・りばてぃさんがグローバルな目線で、日本人からは分かりにくい『紅白歌合戦』のレアリティを解説してくれます。

音楽の力

先週、日本では、毎年恒例になっているNHKの『紅白歌合戦』の出場者や司会者が発表されたようで、さっそく大きな話題になっているようだ。

1960年代には、視聴率74.0%~81.4%!! という、まぁ、深夜営業するお店や施設もなく、みんなが家にいるのが当たり前じゃないとありえない水準だったこともあり、日本国内では、昔と比べると『紅白歌合戦』を見る人は減ったという声も出てるが、それでも、昨年、2014年も、前半平均35.1%、後半平均42.2%、瞬間最高47.5%(大トリの松田聖子さん)と高視聴率を記録

今でも『紅白歌合戦』は、日本国内の方々から大きな注目を集める特別な番組と言えるだろう。

いや、日本国内だけじゃない。

紅白歌合戦』は、日本で生まれ育った後、長年、海外に住むことになった日本人にとって、また格別な魅力がある。

たぶん、海外に住むようになって2~3年くらい、いや5年くらいまでの方々より、10年超えて住んでいる日本人の方が、『紅白歌合戦』に対する特別な思いは強くなってるかもしれない。

昔からずっと出場し続けている歌手の方々の変わらぬお姿(SMAP23回目!!!)とか、今年、日本でブレイクした方々とか、幅広いジャンルの方々が集まって、今年1年を締めくくる、いかにも日本らしい、日本ならではの雰囲気を、感じられる『紅白歌合戦』のような番組は他になかなかない。しかも、「音楽」を通して!!!

日本ならでは

海外在住者にとって、『紅白歌合戦』が特別なものになっている背景には、日本と諸外国での大晦日の過ごし方の違いもある。

例えば、アメリカの場合、大晦日の過ごし方は、日本とぜんぜん違う。

先週のこのメルマガで詳しくお伝えしたとおり、アメリカでは、ちょうど今の時期、だいたいサンクスギビングからクリスマスくらいまでが、いわゆるホリデー・シーズンのピークとなり、クリスマスを過ぎると、世間は、徐々に、そろそろ仕事するぞっ!!! という雰囲気になっていく。

年明け、元旦は祭日だが、2日からは通常営業になる。

お正月休みという概念はない。

むしろ、長いホリデー・シーズンも終わったから、バリバリ働こうという感じになる。

そういう感じなので、大晦日だからと言って、日本のように何か特別な雰囲気にはならない。

そう言えば、日本では、大晦日の夜は、『紅白歌合戦』だけでなく、テレビ局各局が特別番組を放送するのが当たり前になってるが、アメリカでは、そうではない。

一応、アメリカにも、大晦日ならではの番組はあるにはある。

今から40年ほど前から、なんと、放送するテレビ局を変えて(1972~73年はNBC、74年以降はABC)続いている、『Dick Clark’s New Year’s Rockin’ Eve』という番組だ。

主に、ニューヨークのタイムズ・スクエアでの年越しカウントダウン・イベントの様子の一部を生中継する内容で、長く続いているだけあって、アメリカで知らない人はまずいないと言ってもいいくらいだ。

〔ご参考〕

タイムズ・スクエアの年越しカウントダウンは、ストリーミング・ライブ中継の実験場に?!

かなり演出に違いはあるが、『行く年、来る年みたいなもの、かもしれない。

しかし、この番組以外には、大晦日だからと言って、何か特別な大晦日っぽい番組があるわけではない。

というか、そもそもその年、1年間に活躍した、1年を代表する歌手の方々を男女2つのグループに分けて対決するという『歌合戦』形式の歌番組がない。

アメリカには、MTVのような音楽専門チャンネルがいくつもあるほか、1959年から続き、世界の音楽業界で最も権威のある賞の1つとされる『グラミー賞』(Grammy Awards)の授賞式や、先日、開催された1973年から続く『アメリカン・ミュージック・アウォーズ』(the American Music Awards)の授賞式とか、近年のカントリー・ミュージック人気を背景に、2010年から新たにはじまった『アメリカン・カントリー・アウォーズ』(American Country Awards)の授賞式など等のほか、数々の特別な音楽番組が存在するが、日本の『紅白歌合戦』のようなフォーマットの歌番組は、存在しない。

たぶん、今から作ろうと思っても、無理だろう。

アメリカに、すでに存在する様々な音楽賞とかぶらない独自基準で、多様なジャンルの音楽から、どの歌手を選ぶのか・・・とか考えたら、絶対に無理だと思う。

シングルCDやアルバムの売上げや、デジタル・ダウンロード数ほか、コンサートやライブの興行成績など、いわゆる人気を基準にしたら、既存の音楽賞と絶対にかぶる。

じゃぁ、『アメリカン・カントリー・アウォーズ』みたいにジャンル分けしたらいいじゃんって話になるけど、それでは、いろんなジャンルの歌手が一同に集まる日本の『紅白歌合戦』のようなフォーマットには絶対にならない。

そうやって改めて考えてみると、いかに、日本の『紅白歌合戦が特別な歌番組なのかがよく分かる。

よくもまぁ、演歌からポップス、ロック、ベテランから新人アイドルまで何でもアリという、あのフォーマットで、毎年、続けられるものだと感心してしまう。

しかも、日本国内の歌手だけではなくて、例えば、

シンディー・ローパー(アメリカ) 『I Drove All Night』(90年)

サラ・ブライトマン(イギリス) 『オペラ座の怪人』(91年)

スーザン・ボイル(イギリス) 『夢やぶれて』(09年)

など等、外国人歌手の方々が出場することだってある。

そうそう、昨年2014年も、映画『アナと雪の女王』の劇中歌で世界的なヒット曲になった『ありのままに』(Let It Go)ほか数曲のメドレーを、本家のエルサ役で、ブロードウェイ・ミュージカルの歴史に残る歌姫イディナ・メンゼル(Idina Menzel)さんと日本語版のアナ役の神田沙也加さんが、ニューヨークの劇場でデュエットするという、『紅白歌合戦』だからこそ実現可能なすごい企画があった。

イディナ・メンゼルさんが、いかにすごい経歴の持ち主かを知ったら、そんな彼女の歌声を、大晦日に、気軽にご家庭のテレビで楽しめたことのすごさをより実感して頂けるだろう。

〔ご参考〕

感動的な姉妹共演「アナ雪メドレー」NHK紅白歌合戦でNY中継

「アナ雪」本家のイディナ・メンゼル(Idina Menzel)さんの凄すぎるご経歴

あまりにも当たり前のように、毎年、続いているので、『紅白歌合戦のすごさについて、日本国内の日本人は意識したことないかもしれないけれど、よくよく冷静に考えてみると、こんな番組、世界でも極めて稀な存在だ

外国から見ると、その異質さがよく分かる。

そう言えば、近年、インターネットの影響もあって、海外でも日本の歌謡曲(邦楽、J-Pop)を日本語で歌う外国人が増えている。

昨年まで2年連続でご出場されたクリス・ハートさんなんて、まさに、そんな外国人のお一人だ。

2011年に第一回目が日本テレビで放送され、その後、回数を重ねて放送されている『のどじまん ザ!ワールド』で注目を集め、日本でデビューした。

〔ご参考〕
Youtube効果? 邦楽を日本語で歌う海外の方々が急増中!!!

相変わらず素晴らしい「のどじまん ザ!ワールド」

紅白歌合戦』は、1年に一度しか放送されていないが、こうした外国人の方々が世界中で増えていけば、多様なジャンルの日本の歌を楽しめる『紅白歌合戦』のすごさが、世界中で評価されるようになるかもしれない。

特に、「文化」に関わるものは、日本国内で軽んじられていたものが、海外で高く評価されることは、過去にも多々ある。

紅白歌合戦』も、そういう感じになるかもしれない。いろいろな意味で、いかにも日本らしさや、日本文化も感じられるし、将来的には、いずれ無形文化財とかに指定されたりするかもしれない?

image by:Shutterstock

 

メルマガ「ニューヨークの遊び方」』 より一部抜粋

著者/りばてぃ
ニューヨークの大学卒業後、現地で就職、独立。マーケティング会社ファウンダー。ニューヨーク在住。読んでハッピーになれるポジティブな情報や、その他ブログで書けないとっておきの情報満載のメルマガは読み応え抜群。

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