無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』でも度々お伝えしてきた、電力の完全自由化に伴うマンションの一括受電に関するトラブル。著者の廣田信子さんの元には、これらの悩みを抱えるマンション居住者の方から数多くの相談が寄せられているそうです。今回はそんな方々のために、過去の記事がまとめて紹介されています。
一括受電切り替えで住民を追い詰めないで
こんにちは! 廣田信子です。
電力の完全自由化を前に、今週の「東洋経済」に私のコメントが掲載されたことから、マンションの一括受電に関するトラブル相談がまだまだ来ます。「東洋経済」の記事を読んで、私の名前を頼りに連絡先を探してメールを送ってくる方はそうとう追い詰められている様子です。ということは、それ以外にも困っている人はかなりいるんだろうと改めて感じています。で、もう一度、この問題について書いておこうと思いました。
これまで、相談や質問が続いたテーマは、きっと多くの人が知りたいことなのではないかということで、できるだけ、情報を整理して、自分なりの考え方をメルマガやブログに書くようにしています。
電力の自由化については、過去に5本記事を書いています。最近、質問のメールをくださる方は、私の過去の関連ブログを読んでいない方がほとんどなので、改めて、ここでまとめておくことにしました。
まず、「東洋経済」の記事は、今年1月18日の「電力の完全自由化を前にして」というブログがもとになっています。
完全自由化になったら各住戸の契約がバラバラになり、一括受電の実施が難しくなるから、今のうちに何とか話をまとめたいという業者から、「判を押さないで裁判になったらあなたが負けますよ」と迫られて困っているという相談を受けたものです。この記事を読んだ「東洋経済」の記者の方から電話があったのですが、聞かれたのは、
「1月18日のブログにあるようなトラブルがたくさんあるんですか」
で、私は、
「同じような相談が複数あったので、困っている人が少なからずいるのではないかと思い参考なればと書きましたが、トラブルがどのくらいあるのかは把握していません」
と答えたのですが、私がものすごくたくさんトラブルが発生していると言っているような内容の記事になっています。で、問題なのは、ブログに書いた一番大事な部分、
承認の判を押さなかったからと言って、そのことだけで、あなたが訴えられ責任を取らされるようなことにはないですよ
というところを記事に書いてくれていないのです。いつものことですが、雑誌の記事は、本当に困っている人には不完全な情報で、不安を煽るだけになってしまっています。
で、私のところに、
「専有部分の電気ぐらい自分が好きなところから買いたいと思うことは許されないのですか」
「自由化の方向を見定めてから判断したいと思うことはそんなに罪なのですか」
「裁判に訴えられてしまうのというのは本当ですか」
「判を押せと毎晩のように家に押しかけられておかしくなりそうです」
といった話が来るのです。こういったことに対する回答は、だいたいメルマガやブログに書いていますので、必要な方は、ぜひ読んで下さい。
まず、昨年の8月13日、電力自由化についてセミナー等で質問を受けるようになったので、小売り電力の自由化と専有部分の電気も含めて管理組合が一括受電を進めることの関係について書きました。
これに関連して、数年前、一括受電の話が持ち上がった時に、「私は、自由化したら、クリーンエネルギーを供給する電力会社から電気を買うつもりなので、承認できません。」といって、管理組合で戦犯扱いされた方の話を書きました。
また、読者の中には、新電力会社を入れずに、管理組合で設備投資して、一括受電にすればもっと経費節減できるという方もいました。で、その場合は検針も集金も管理組合が行うことになり、電気料金の滞納問題はどうするのかという問題提起をしました。
電気をどこから買うかは自分で選択したいというのはわがままなのかについて私の考え方を書きました。
で、先日2月9日に、電力の自由化は本当によいことばかりなのだろうかという質問を受け、先行した諸外国の状況について調べて書きました。
電力の自由化が、必ずしも電気料金の削減にはつながらないかもしれません。共用部分の電気料金の削減には、一括受電の方が上回ると言われます。それでも、これだけ電力自由化に伴うサービスの宣伝合戦がされている中で、「今後10~15年は、専有部分に関しても電力会社を固定します。管理費からの支出の削減になるのだから…協力して」といって、ことを運ぶのは相当難しいと思います。ましてや、居住者に精神的な苦痛を与えるやり方は、たとえ、理事が直接関わらずに新電力の営業の人がやっていたとしても、ものすごく大きな禍根を管理組合に残すことになると思います。
image by: 資源エネルギー庁
『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』
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