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戦わずして中国に勝つ方法。カギを握るのはロシア

読者からたびたび寄せられる「あなたは中国と戦争をするつもりか?」との質問にハッキリNOという、無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さん。しかし「情報戦」を戦争に含めるのなら、すでに日中間で戦争は始まっているとも語ります。これを知ってか知らずか、アメリカと韓国を味方につけた安倍総理。今後の日中、そして日ロ関係はどのように変わって行くのでしょうか?

孫子の教え~戦わずして中国に勝つ方法

時々、「あなたは、中国と戦争をするつもりですか!?」というメールをいただきます。この質問に対する私の回答は2つです。

1.「軍事力」を使った戦争について

私は、日本の自衛隊と中国人民解放軍が実際に戦闘するような、軍事力を使った戦争に絶対反対しています。私の言論活動、主な目的は、2012年以降「日中戦争阻止」にあります。ですから、私は「中国と戦争をする気」なのではなく、「中国と戦争しないつもり」なのです。

RPEで書かれていることと、日本政府の行動が一致することがあります(たとえば、日米関係強化、集団自衛権行使容認など)。それによって、日中関係は悪化するどころか、逆に改善しつつあります。あれだけアグレッシブだった習近平も、最近は「朋有り遠方よりきたる」などといって微笑んでいるではないですか?

2.戦争に「情報戦争」も含めた場合

軍事力を使うだけでなく、「情報戦も戦争に含める場合があります。このケースでは、「戦争はすでに始まっている」と考えられます。もちろん、始めたのは日本ではなく中国です。日本は「情報戦=戦争」を考えないので、「サンドバック状態」にある(例えば、中国は最近、国連で、「女帝を認めない日本の皇室は、女性差別だ!」という運動を開始しています)。

では、いつ「情報戦争」は、始まったのでしょうか? 2012年11月に始まったのです。なぜ始まったのでしょうか? 2012年9月、日本政府は、尖閣を国有化」しました。これに中国が激怒して、「情報戦」を開始したのです。

とはいえ、目標は、情報戦にとどまらず、「尖閣のみならず沖縄を中国領にすること」にあります。昔からの読者さんは、もう聞き飽きていますね。そう、「反日統一共同戦線」戦略のことです。2012年11月、モスクワを訪問した中国代表団は、今後の「対日戦略」を明らかにしました。「平和ボケ」している日本人には、まったく想像もできない驚愕の戦略です。骨子は、

  1. 中国、ロシア、韓国で「反日統一共同戦線」をつくりましょう。
  2. 中国、ロシア、韓国で、日本の領土要求を断念させましょう。
    日本に断念させる領土とは、「北方4島」「竹島」「沖縄」。日本に「沖縄」の領有権はない!
  3. 中国、ロシア、韓国にとどまらず、「アメリカ」を「反日統一共同戦線」にひきいれましょう。

これ、新しい読者さんは、「トンデモ陰謀論」と思うでしょう? 証拠のページを貼付けておきますので、必ずご一読ください。いえ、日本人には想像もできない内容ですから、10回ぐらい読んで「事の重大さ」を理解してください。証拠はこちら。

反日統一共同戦線を呼びかける中国

そして、中国は2013年から、全世界で本格的に「反日プロパガンダ」を開始しました。そう、彼らは「情報戦争」を開始したのです。皆さん、奇妙だと思いませんか? 2011年3月11日、「東日本大震災」が起こった。その後、日本では暴動も起こらず、食糧の配給時も皆整然と並んでいた。全世界が日本に同情しただけでなく、大不幸の中でも冷静さと人間性を失わない日本人を尊敬していました。

ところが、2013年12月に安倍総理が靖国を参拝した。すると、中韓のみならず、アメリカ、イギリス、ドイツ、EU、ロシア、オーストラリア、シンガポール、台湾などなど、それこそ世界中がこれを非難した。「そりゃあ安倍さんが悪い」という人もいるでしょう。しかし、小泉さんは在任期間中6回も靖国を参拝しました。それを問題視したのは、中国、韓国だけだったのです。

つまり、日本がバッシングされたのは、安倍総理の靖国参拝が根本原因ではない。根本原因は、「反日統一共同戦線」戦略に基づく、「反日プロパガンダ」だったのです。まったくプロパガンダは強力ですね。2011年には、世界から尊敬されていた日本が、わずか2年後には「軍国主義を復活させたい危険な国」にされてしまった。

この戦略、幸い、うまくいっているとはいえません。2013年12月、中国は、見事に日本を孤立させることに成功しました。しかし、それは長続きしなかった。2014年3月、ロシアがクリミアを併合した。それでオバマは、「対ロシア制裁」をさせるために安倍さんと和解した。日本は、プーチンに救われました。2015年3月、「AIIB事件」が起こった。日本はアメリカ以外の大国で唯一AIIB不参加を表明。これで日米関係は、とても良好になった。同年4月、安倍総理、「希望の同盟」演説。結果、オバマが、「日米関係がこれほどまで強固だったことは、かつてなかった!」と言うほどになります。

こうして、「アメリカを反日統一共同戦線に引き入れる」という中国の戦略は、現状挫折状態にある。しかし、私たちは、中国の「反日統一共同戦線」戦略が、今も続いていることを、決して忘れてはいけないのです。

孫子の教えで、戦わずして中国に勝つ

孫子はいいます。

最上の戦い方は、敵の謀略、策謀を読んで無力化することであり、その次は、敵の同盟や友好関係を断ち切って孤立化させることである。

孫子は、「これができなければ、実際の戦争になる」といっている。つまり、「これができれば、軍事力を使った戦争を防ぐことができる」ということでもあります。

もう一度。

最上の戦い方は、敵の謀略、策謀を読んで無力化することであり、その次は、敵の同盟や友好関係を断ち切って孤立化させることである。

どうやって?

私たちは、すでに中国の謀略、策謀を知っています。骨子は、

  1. 中国、ロシア、韓国で「反日統一共同戦線」をつくりましょう。
  2. 中国、ロシア、韓国で、日本の領土要求を断念させましょう。
    日本に断念させる領土とは、「北方4島」「竹島」「沖縄」。日本には【沖縄】の領有権はない!
  3. 中国、ロシア、韓国にとどまらず、「アメリカ」を「反日統一共同戦線」にひきいれましょう。

これは、中国の「戦略」であり、「謀略」「策謀」です。無力化させる方法は、簡単ですね。中国が「反日統一共同戦線」を作りたい、アメリカロシア韓国と強固な関係を築いていけばいい。本当に簡単でしょう?

上にも書きましたが、皆さん、最近中国、少し大人しくなったでしょう? 「景気が悪くなってきたから」と思うでしょうが、実際は2015年5月から良くなってきました。3,000人の訪中団が大歓迎された。なぜか? 安倍さんが、知ってか知らずか「孫子の教え」に従い、「アメリカを反日統一共同戦線に引き入れる」という中国の「謀略」「策謀」を「無力化させた」からなんです。これで、日中戦争実戦の可能性はだいぶ減りました(中国も、日米と戦争するほど馬鹿ではない)。

そして、韓国との電撃和解。さまざまな問題はありますが、孫子の観点からすると、中国の「謀略」「策謀」を「無力化させた」ともいえます。

残るはロシアですね。日本と米韓の関係はよくなっていますが、日ロ関係はますます悪化しています。会うたび会うたび「島返せコラ!」などといわず、もっと戦略的に考えてほしいと思います。

「島返せ! というのは当然」と皆さん思うでしょう。そのとおりです。しかし、日本政府は、世界有数の「反日国家」韓国に対し、「竹島返せコラ!」とは決していわない。その一方で、世界有数の「親日国家」ロシアに対しては、「島返せ!」以外の話はほとんどしない。だから、ロシア政府は、どんどん反日になっているのです。

実際、ロシアが日米側につけば中国と戦争が起こる可能性はほぼゼロになることでしょう。

 

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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