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仕事はデキるが、態度は悪くてクビ。会社を訴えた裁判の判決は?

上司にタメ口、お客様とはケンカする…けれども仕事はバツグンにできる、なんていう社員の扱い、困るものですよね。特にそれが営業マンで売上げが良かったりすると、会社側も強く出られないケースが多いようです。今回の無料メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』は、そんな「社内の問題児を辞めさせられるのか」というお話です。さて、裁判所はどのような判決を下したのでしょうか?

「仕事ができるから許される」は解雇事由にあたるのか

カワイイから許される

みなさんの周りにこのような人はいないでしょうか(または、これを「カッコイイから許される」に置き換えても良いかも知れません)。

「少々のミスなら許される」
「何をやっても許されるし、何もやらなくても許される」

賛否はもちろんあるでしょう。ただ、結論としては「可愛い子は得」というのは多少なりともあるようです。また、「カッコイイ」も同様です。

「カッコイイ」には程遠い私からすると、それを実体験としてお伝えするのは非常に難しいですが、世の中にはそのような羨ましい(?)人がいるというのが事実なのでしょう。

では、これが会社の場合で「仕事ができるから許される」というのはどうでしょうか。これについて裁判があります。

ある住宅販売の会社で、「上司の指導に従わない」「顧客からのクレームが多い」などを理由として、社員が解雇されました。そこで、その社員は「解雇に納得いかない!」として会社を訴えました。

上司の指導に従わないとか、顧客からのクレームが多いとか、その時点でその社員の言い分は認められづらいように感じる人もいるかも知れません。

ただ、実はこの人は「仕事ができる」社員でした。同期で最も早く昇進し、何度も会社から表彰を受けるほどの営業成績が優秀な社員だったのです。そこで、会社が解雇理由とした「勤務成績または能率が不良で、就業に適しないと認められたとき」には該当しないと主張したのです。

確かに、たとえ態度が悪いにしても営業成績が良いのであれば、仕事としての成果は上げているわけです。考え方によっては正しい主張と言えるかも知れません。

では、その裁判の結果はどうなったか?

会社が勝ちました。ポイントは「勤務成績や能率の不良をどう捉えるかです。この裁判では、「勤務成績や能率の不良」は「勤務態度も含めた評価とするのが当然」と認められたのです。つまり、営業成績は良くても勤務態度が悪いのは、この会社の解雇規定にあてはまると判断されたということです。

営業成績の良い社員が、「仕事ができるから自分は許される」と考えて態度が悪かったり、規則をしっかり守らないというご相談は、私も結構いただきます。そして、まわりもそれを「仕事ができるから」と遠慮して注意できなかったりすることが現実としては多かったりするのです。中には、懲戒処分に該当するようなことがあっても、「彼(彼女)の売上が下がるのは困る」と厳しい処分に踏み切れない会社もあります。

ただ、もしこのような状況があるのであれば早急に改善するべきでしょう。これでは、会社の規律を守れないからです。会社内には営業成績も素晴らしく、かつ勤務態度も良い社員もいるはずです。その社員のモチベーションダウンや退職を促進してしまうことにもなりかねません。

売上はもちろん会社にとって大切です。営業であれば、それを評価されるのも当たり前でしょう。ただ、評価はその営業成績だけではなく「勤務態度も含めたものとする」とすべきです。それが、会社のためだけではなく社員のためにもなるのです。

さて、みなさんの会社はいかがでしょうか。

image by: Shutterstock

 

「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理
【経営者、人事担当者、労務担当者は必見!】
企業での人事担当10年、現在は社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツをわかりやすくお伝えいたします。
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