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働くことを邪魔しない―。松下幸之助の言に学ぶ、優秀な人材の育て方

本来「人事評価」というのは個人の「成果」を正当に評価し、モチベーションUPに繋げる制度のはずですが、近年、この人事評価を「ダメ出しするためのツール」と捉えている会社も多いといいます。無料メルマガ『戦略経営の「よもやま話」』では、松下幸之助やアドラー、ドラッカーなどの考えを取り上げ、人材の育成にもっと注力すべきと指摘しています。

人事評価の「思い込み」

「人事評価制度」は最も誤解されている制度の代表です。その誤解には、大きく分けて2つの事柄が含まれます。1つは「評価するべき基準についての思い違い」、もう1つは「把握しやすい数値」のみを用いてパフォーマンスで評価することです。経営者の役割は、成果が実現するように人材を育て支援することです。

心理学者アドラーについてのテレビ番組を見ていました。そこでおもしろい「勇気くじき」というフレーズに、出くわしました。この言葉は「勇気づけ」と対極のもので、人の持つ「やる気」や「上昇志向」を「くじきさる」ものです。「悪い人事評価」は、貴重な人的財産をマイナスの資産にする力があります。

ドラッカーは、マネジャーとしてなくてはならない資質がある、「それは真摯さ」であると言っています。困る上司の典型は「真摯さ」がなく自身の劣等感を誤魔化すために部下の失敗を見つけてことさらに「勇気くじき」する人物です。上司の仕事は、部下を勇気づけして成果の実現を支援することです。

人事は採用に始まり育成それから適正配置、そして活用、評価と続きます。中小企業でよく聞かれるのは「当社にはろくな人材しか来ない。だから業績が、良くならないのは当たり前」というため息の声です。けれど、財閥系の一部の企業は別として多く大手企業に成長した企業は、ろくでもないと称される従業員を育成活用して大きく成長して来ています。

日本電産の永守さんも、創業時には一流大学の優秀な人材を採用しようとしたのですが応募してくるのは三流大学の「ブンブン、可可可」の成績の学生ばかりで優秀な成績の者は一人もいなかったそうです。この中でも素直な人材もいて、一見して不可能と思われる要望に対して知らないことの強みか根気よく挑戦して成果を上げていったそうです。

業績が良くなってはじめて一流大学の優良な成績の学生も採用できるようになったのですが、その学生の人となりを面白く人物評価しています。これらの新入社員に、困難な課題を求めると「できません」と答え理路整然と不可能であることを証明するのだそうです。けれど、いったん道筋がついたものをまとめて行くのはさすがだそうです。

また、松下幸之助さんなのですがこう言っています「人間は本来働きたいもの。働くことをじゃましないことが一番うまい人の使い方である」と。ドラッカーは「専門分野の1つに優れた人を、いかに活用するかを知ることである」と言っています。人事評価を成果に結び付けるには、知恵と技術がなければ適えられません。

image by: Shutterstock

 

戦略経営の「よもやま話」
著者/浅井良一
戦略経営のためには、各業務部門のシステム化が必要です。またその各部門のシステムを、ミッションの実現のために有機的に結合させていかなければなりません。それと同時に正しい戦略経営の知識と知恵を身につけなければなりません。ここでは、よもやま話として基本的なマネジメントの話も併せて紹介します。
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