プロ野球選手の野球賭博、バドミントン選手の違法賭博、そして清原和博さんと高知東生さんは覚醒剤の使用で逮捕され、表舞台から姿を消しました。これら「依存性」が認められる事件の逮捕者に「男性」が多いのはなぜなのでしょうか? メルマガ『そうだったのか! この違いがわかれば、きっと許せる「男女の違い105」』で、わかりやすく解説しています。
なぜ、男性はギャンブルにはまるのか
厚生労働省の2014年の調査で、「ギャンブル障害(依存症)」者は、国内に536万人いると発表されました。(※成人約4000人に面接調査、国際的に使われる指標にて)
これは、諸外国に比べても3~6倍くらいも高い数値だそうです。
この背景にある原因の一つに、日本には、パチンコ・スロット(法律上は「遊戯」として扱われているが実質的にギャンブル)が、身近にあること、そしてその台数がなんと、460万台!
これは、国民30人につき約1台という数で、世界に720万台あるギャンブル機器の64%にあたるそうです。
日本は、ギャンブルが身近にある、どの町にもある、そんな環境にあるのですね~(泣)
そして、男性がはまってしまう率が高い、そうです。
さて、今回のキーワードは…
【男性】スリルとリスク
【女性】安心と安定
どんなことなのか、最後まで読んでみてくださいね。
ギャンブル依存症の男女比率
さて、上記の厚生労働省調査で「ギャンブル障害(依存症)」は、以下の比率であることがわかっています。
〇男性の8.7% 438万人
〇女性の1.8% 98万人
圧倒的に、男性が高くなっています。男性は、ギャンブルにはまりやすく依存症になりやすい、ということですね。
依存症になると何が恐いのか…精神医学の分野では、こう考えられているようです。
- 「やめられない、止まらない」
- 「その行為によって支払う代償が大きい」
いちばんの問題は、自分でコントロール不能ということ、体が勝手に動いてしまう、体が欲するなどで、自分で抑えようない、強い欲求が働いてしまう、ということです。
また、もう一つは、これがバレたら支払う代償が大きい、例えば、仕事を失う、社会的地位を失う、離婚、持っているものをすべて失う、借金をすることになる、そうわかっていても、その行為を止められない、ということです。
これはアルコール、薬物、覚醒剤、セックス、恋愛、性的錯綜などの「依存症」も同様だといわれています。
自分で、コントロールできている間は大丈夫ですが、知らずにこの境界を越えてしまうことが多いそうです。
なぜ、自分をコントロール出来なくなってしまうのか? その1
生物学的な研究で、ギャンブルにはまった患者さんの尿の成分や髄液をとり調べたところ、
「報酬系を司る神経伝達物質ドーパミンが増加している」
ということがわかってきました。
ドーパミンとは、脳内物質の一つで、「自分にとって意味があり、何らかの行動を起こすような場合には必ずドーパミンが活動している」といわれています。
つまり自分に「報酬が得られる」とわかると反応し、さらにどうしたらいいかを学習していく強化物質でもあるのです。やる気の元のような物質で、人間誰にでもあり、このドーパミンがあるので、行動を起こしやすくなります。
例えば、仕事でも報酬があるから、働いていますし、どうしたらもっとよくなるか考えますし、愛されたいと思うと、それに向かって自ら動きますが、そんな元となる物質なのですね。
こんなありがたいドーパミンですが、増加すると、問題を起こすようになるのです。
いったいどんな問題を起こすのか…ドーバミンの報酬回路には、
- 衝動的な報酬回路
- 思慮的な報酬回路
の2つがあるといわれています。
ドーパミンが増加すると、残念なことに、いますぐの報酬を求める「衝動的な報酬回路」が優位に立ち、「思慮的な報酬回路」を押しとどめてしまう、というのです。
先日のバドミントン選手も、
「悪いと思っていても、ダメだと思っていてもやめらない」
というようなことを言っていましたが、まさにこのドーパミンが増加していたのでしょうね。
しかし、なぜ、このドーパミンが男性に影響を及ぼすのか。それには、もう一つ原因があるようです。
なぜ、自分をコントロール出来なくなってしまうのか? その2
それは、男性を男性たらしめているホルモン「テストステロン」です。
「テストステロン」については何度か書いていますので、詳細は省きますが、以下のようなことが起こっていると推測されています。
男性は、太古の時代から獲物をとり、家族を危険から守るために、他の民族や敵と戦ってきた。そのために、男性には、男性ホルモンの「テストステロン」が活発に働き、攻撃性がプロミングされるようになった(詳細はメルマガ第74号、75号にまとめてあります)。時がたち現代では、このような狩りや戦いは少なくなった。しかしながらこの攻撃性はまだまだ残っている
そしてこの「攻撃性」を出せるものの一つがギャンブル、というわけです(その他、スポーツ、ケンカ、犯罪などもあります)。もう少しいえば、獲物を取るためのスリル、リスク、緊張感、興奮、一発で仕留める快感、やった感がギャンブルにはあるというわけです。これが、さきほどの報酬系ドーパミンを刺激し、増加させることにつながっているようなのです。
さらに、男性は「システム化」するのが女性より得意な脳といわれています。
ギャンブルも研究したり、勉強したりして、なんとかシステム化して「勝ちたい」、ギャンブルを征服したいなどという思いもあるようです。
そのため、男性誌、男性向け新聞などには、ギャンブル「必勝法」などという記事も多く見かけます。
そしてさらに、もう一つ男性特有の事情があるようです。
いつか一発当てるという夢が捨てられない
男性は、縦社会、組織で動くことが多いので、どうしても自分の力を試したい、誇示したい欲求が女性より強く働き、以下のような思いが強くなるようです。
- 男性としての甲斐性を示したい
- 自分の強さを誇示したい
- ストレスに負けない自分を感じたい(ストレスを忘れたい)
- いつか一発当てるという夢(そうすればいい生活ができる、モテる)
- ギャンブルを研究(知れば)勝てるように錯覚している
- 一発で負けを取り戻すことができる
- ストレス発散
それを手っ取り早く、手軽にできることでかなえたいと思い、そうできる可能性が高いのがギャンブルというわけです。
しかし、誰もがわかっているように、ギャンブルはそうそう儲からないようになっているし、一攫千金などは宝くじに当たるようなものです。また、ギャンブルで儲かったとき、貯金や蓄財に回す人はほとんどなく、それをまたギャンブルで使いきってしまう、ということはよく知られています。
それでも「いつか」という夢は捨てられずはまり、知らず知らずのうちに自分でコントロールできなくなり、借金をし、
仕事も失い、家族も失い、愛も失い、社会的な立場も名誉も失う、そればかりでなく、自分の自信も信頼も失う…そんなことになっていくことが多いのですね(泣)
ギャンブルに対する考え方の男女の違い
女性は、勝負事やギャンブルに男性ほど、熱くなりません。
「テストステロン」も男性よりずっと少ないですし、ドーパミンの増加も男性よりゆるやか、だからです。
また、興奮、スリル、リスクより、安定や安心を求めます。これは、太古から、安定や安心がなければ、子育てができなかったことに由来しているといわれています。
もちろん、女性ギャンブラーもいますが、男性の約1/5で、する理由も「生活費を稼ぐため」という理由からが多いようです。
なお、参考までに…
このような状況にあったら、男女別なく、立派な依存症なようですので、チェックしてみてください。
(●参考)
※パチンコとなっていますが、アルコール、薬物、覚醒剤、ギャンブルなどと置き換えてみてください。
- 持ち金を全部失っても(もう何万円も負けている)、そのまま帰る事ができず、カードで借金してでもパチンコしてしまう
- 会社の飲み会の会費などで、一時的に手にしたお金でパチンコをしてしまう
- 家族の事は大事に思っているけれど、残業と嘘をついて仕事帰りにパチンコをしてしまう
- 例え勝っていても、なかなかやめる事ができずついつい閉店までパチンコを打ってしまう
- パチンコをしている間は、朝から晩まで何も食べない
- 「もうパチンコはしない」といくら誓っても、どうしてもパチンコに行ってしまう
- パチンコ以外の事にほとんどお金をつかわない
- 初めて行った街で、パチンコ屋をみかけると自分の中で何かが反応する感じがする
自分はギャンブルなどには縁がないと思っていても、ギャンブルは身近にあります。
接するときは、気をつけていきましょう。
image by: Shutterstock
『そうだったのか! この違いがわかれば、きっと許せる「男女の違い105」』 より一部抜粋
男女の違いを、様々な年代層への取材などを通じて自ら検証。「105の違い」にまとめました。「105もあるのぉ?」大丈夫です! むずかしいことは書いておりませんし、事例も身近で、読めばきっと、「そうそう」と頷かれることばかりだと思います。楽しみながら読んで、ちょっと実行して……みてくださいね。
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