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アジア大学ランキング「東大が7位」が意味するもの

アジアにおける大学ランキング「Asia University Rankings 2016」が発表されましたが、東京大学は首位から転落してしまいました。東大からトップの座を奪ったのは、シンガポール国立大学。その差は一体何だったのでしょうか。

3年連続1位東大は7位へ。トップの座を奪ったのはシンガポール国立大学

先日ご紹介したイギリスの教育専門誌「タイムズ・ハイアー・エデュケーション (THE) 」による「世界大学評判ランキング」では、世界第12位にランクインした東京大学。

ところが今回、同誌が発表したAsia University Rankings 2016 (中東を含むアジア地域の大学のランキング) では、3年連続の首位から第7位まで転落しました

同様に、昨年9位の京都大学も、今年は2ランクダウンの第11位。

代わって首位に浮上したのはシンガポール国立大学 (NUS) でした。

シンガポールの大学と聞いても、あまりピンとこない方も多いと思いますが、近年確実にその教育レベルを高めているシンガポールの飛躍の理由と、日本の大学の将来について、一緒に考えてみましょう。

Asia University Rankings 2016トップ10

1位 シンガポール国立大学(シンガポール)

2位 南洋理工大学(シンガポール)

3位 北京大学(中国)

4位 香港大学(香港)

5位 清華大学(中国)

6位 香港科技大学(中国)

7位 東京大学(日本)

8位 浦項工科大学校(韓国)

9位 ソウル大学校(韓国)

10位 KAIST(韓国)

資金不足が原因?日本の大学がランクダウンする理由

同じくTHE誌による「世界大学ランキング」においても、前年からその順位を大きく伸ばしたシンガポールの大学。

シンガポール国立大学は、2012年から14位ランクアップして昨年は第26位に。

また、シンガポール国立大学に次いでアジアの大学ランキング第2位にランクインした、同じくシンガポールの南洋理工大学 (NTU) も、2011年から何と119位アップして第55位となりました。

ちなみに東大は43位でした。

一方、今回のランキングでは、日本と中国もそれぞれ上位200位中39大学をランクインさせています。

しかし、中国がトップ100位内に22大学をランク入りさせ、うち2大学がトップ10位内であるのに比べ、日本は東大が第7位にランクインしたものの、それ以外の大学はすべて10位圏外となり、50位内に13大学がランクインしただけにとどまっています。

何だか日本はシンガポールにも中国にも先を越されているようですね。

アジア地域でどんどんランキングを伸ばしているシンガポール・中国に対し、低迷する日本の大学、この対照的な変化は一体何が原因なのでしょうか。

香港大学の教授であるGerard Postiglione氏は、「グローバル経済の中での競争を強く意識したシンガポール政府は、大学のレベルがその国のレベルを表すと考え、大学での研究に多額の投資をしていることがランキングに大きく影響している」と分析。

アジア圏以外の数々の一流大学との提携も、シンガポールの大学にとって大きなメリットだと語っています。

また、「日本のグローバル競争や国際化のための投資プログラムは、他国に比べて非常に小規模、消極的である」との声も。

今回のランキング結果について、国内では、さまざまな意見が飛び交っています。

そのほかにも、「東大がランクダウンした判定基準がよくわからない」「それでも一番ノーベル賞受賞者が多いのは東大では?」、「他の大学に比べて日本の大学が見劣りするのは、授業が日本語で行われているため、海外からの人材を確保しにくいからだ」などの声も上がっています。

確かに、シンガポールはアジアにおける人種のるつぼであり、多国籍国家として近年目覚ましい急成長を遂げています。

国内外からのより優秀な人材を育てることが国の利益になるとすれば、国のレベルと大学のレベルが比例するという考えも納得できるような気がします。

では、日本政府がもっと大学に資金を提供し、名門大学の授業を英語で行うようにすれば、再び日本の大学が上位にランクインし、結果として日本の「国のレベル」が上がるのでしょうか?

多くの人種が共存する国と、そうでない日本。

何が国のレベルを決めるのか、そもそも「国のレベル」とは何なのか、日本の今後のために一度、客観的に比較して考えてみる必要がありそうですね。

Image by: EQRoy / Shutterstock.com

Source by: タイムズ・ハイアー・エデュケーション (THE)HUFF POST

文/貞賀 三奈美

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