休みの日にボーッとテレビを見ていたりすると、テレビショッピングでいろいろなモノが売られていて、ちょっと心が揺れたりしませんか?その際の買うか買わないかの決め手となるのが、販売員の「この価格は今だけ!」「お急ぎください!」などの煽り文句です。しかし、メルマガ『ビジネス発想源 Special』の著者・弘中 勝さんは、多く売るために安易に「煽り文句」を使うのは危険だと説いています。その理由とは…?
煽りの限界
レベルの高いお客様に来て頂こうと思ったら、意識しておくべきことがあります。
「煽らないこと」です。
煽る(あおる)所には、レベルの低いお客様しか集まりません。
例えば、テレビで昼間や深夜などに流れている健康食品のショッピング番組を見てみて下さい。
「健康でなければ、こんなにつらいですよね」
「こんなこと、ご存知ないですよね」
「このチャンスを逃したら、もったいないですよね」
と、煽りまくっていますよね。
それを見て、
「お客様を集めるには、こうするんだな」と単純に捉えてしまってはいけません。
あれは、なぜ煽っているのかというと、「レベルの低いお客さんをかき集めるため」です。
なんかよく分からないけれど、そんな煽られるんだったらヤバいから言うこと聞いちゃおうかな、という情報弱者を集めるための方法なのです。
煽られたらパッとお金を払ってしまうような、そういうレベルの低いお客様を集めるほうが簡単に儲かるから、そうやっているのです。
そうやって儲けたいという人であればどうぞ勝手に自由にやって頂いて結構ですが、この手法は必ず限界が来ます。
というのは、情報弱者相手にはよくても、レベルの高い人から簡単に論破されて、簡単に行き詰まってしまうのです。
情報弱者というのは良さげな情報につられるので、「あの業者はインチキだよ」という根拠のない情報にも簡単になびきます。
だから、レベルの低い人を集める方法を、
「あれはレベルの低い人を集める方法だぞ。バカを集めようと思っているんだぞ」
と、誰かが言い始めると、手のひらを返して反対派に回ります。
そういう理由も一つにはありますが、何と言っても、煽る手法を取っていると、事業者自身がだんだんおかしくなってくるのです。
事業者にとって、一番気持ちのいい商売はどういう商売かと言うと、
「煽らなくてもどんどん買ってもらえる」
「売り込まなくてもどんどん利用してもらえる」
という商売です。
しかし「煽らないと」「売り込まないと」という商売に走り出すと、全然気持ちが良くないのです。
「煽らないと売れない」
「売り込まないと売れない」
というビジネス構造を確立してしまったら、ずっと気持ちの良くない商売を続けることになります。
すると、自分自身も苦しくなってくるし、なんといっても社員やスタッフの皆さんがものすごく憔悴していってしまいます。
お客さんを煽る、焦らせる、挙げ句の果てには騙すことまでやってしまい、経営者は「売るためだ」と開き直っていても、社員の皆さんは罪の意識にさいなまれます。
そんな、誰も幸せになっていない商売が、長続きをするわけがないのです。
でも、どうしても目先の利益が欲しくてついつい煽ってしまいがち、焦らせてしまいがちという、セールス体質になっている人が抜け出すならば、冒頭でも書いたように、
「煽ると、レベルの低いお客様しか集まらない」
ということを強く意識するといいでしょう。
売上金額を見るのではなく、
「良いレベルのお客様に向いているか」
ということを常に見るようにするのです。
レベルの高いお客様が集まるような商品ほどレベルが高いのだ、と思っておくと、自分たちの事業のレベルを高い位置に置きたければレベルの高いお客様に認められなければなりません。
レベルの高いお客様は、
「ほら、あなたはそんなレベル低くていいんですか?」
というような煽りには、全く動じません。
そんな人たちに見向きもされない商売や情報発信は、いつまで経っても向上していきません。
でも、レベルが高いお客様とは言っても、煽ってもなかなか動じないような気難しい人はお金を払ってくれないじゃないか、と思う人も多いかもしれません。
それでいいのです。
気難しい人は、そう簡単には心を許しません。
だからこそ、自分がレベルの高い事業者であれば、自分だけには心を許してくれる、そんな可能性を秘めている人たちなのです。
つまり、お客様も高いレベルの方々で、自分たちも高いレベルを目指しているのであれば、そこには認め合えるかどうかという緊張状態で、お互いを高め合う切磋琢磨が生まれます。
そうすると、自分たちは、他の事業者が追いつけない高い位置へと上り、その高い位置にいるお客様の信頼を一手に引き受けることになるのです。
そんなステージで認め合っていける商売は、必ず「気持ちの良い商売」となります。
そこを目指さない限り、ずっと「気持ちの良くない商売」に悩まされ続けることになります。
特に小さな規模で事業を始めるには、そのような意識が必要です。
レベルを低くするのは、いつでもできます。
しかし、レベルの低いところから始めると、高いレベルで認められるのは難しくなります。
いつ、意識を切り替えるかが大事です。
それはもう、早ければ早いほど、つまり今からもう意識を切り替えるべきなのです。
【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)
- お客様を煽ること、焦らせることにつながる、「自社では今後使わない」という言葉を、ノートに列挙する。
- 自社が望む「レベルの高いお客様」とはどのようなお客様か。ノートにまとめる。
※本日の「今日の発想源」はいかがでしたか?ぜひ実践した意見や感想を、筆者までお伝え下さい。
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