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震災からアベノミクス、そして爆買。この4年で日本が変わったこと。

アベノミクスや海外情勢などの記事でお馴染みの国際関係アナリスト・北野幸伯さんはモスクワ在住。今回、日本の夏の季節に帰国されたのは4年ぶりだそうで、「これぞ日本だ!」と感嘆された出来事があったようです。無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』よりお送りいたします。

2年ぶりの日本で感じたこと

全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!北野です。少しごぶさたしています。

実は、7月の後半から8月はじめにかけて、日本にいました。一時帰国するのは、約2年ぶりになります。そして、夏に帰国するのは4年ぶり。

ということで、今回は、「久しぶりの祖国で感じたこと」を書こうと思います。

ネクタイの人が、ほとんどいない……

日本は暑いですね。

私がいる間、ほとんど35度以上の「猛暑日」でした。8月2日にモスクワに戻ると21度だったので、ものすごい差があります。

暑い東京を歩きながら、気がついたことがあります。
スーツの上着を着ている人、ネクタイをしている人がほとんどいないのです。

日本に住んでいる皆さんは、「何をいまさら」と思われることでしょう。

しかし、4年ぶりに日本の夏を見た私は、その変化にびっくり仰天したのです。

私は、08年の夏に帰国したときのをことはっきり覚えています。

お世話になっている出版社にいく道すがら、「うわ~~この暑いのに、みんなスーツ、ネクタイで大変だよね~」と思いました。

灼熱の東京を、黒、紺系のスーツを着て歩くビジネスマン軍団の姿。今でも映像が浮かんできます。
それで、今回来て、変化にすぐ気づいたのです。

(スーパー)クール・ビズ

これ、環境省がはじめた運動なのですね。
05年スタートですから、環境省は10年で、驚くべき成果をあげたことになります。

それで思ったのは、「国が主導すると、変わるのが速い」ということ。

別に、県や市でもいいのですね。

たとえば私の故郷長野県は、男女とも「日本一の長寿県」として知られています。

なぜそうなのか?

きっかけは、県がはじめた「減塩運動」だったのです。
だから、行政は、これからもどんどん「いい運動」をやってもらいたいと思います。

たとえば、こんなのはいかがでしょうか?

・完全米飯給食運動
・朝食米飯給食運動 (ロシアには朝食給食があります。)
・残業禁止運動
・ドンドン結婚して、子供をバンバン産みましょう運動
・社内保育園をつくりましょう運動

などなど。

日本人の特性は、「素直でルールをよく守ること」だと思います。
だから環境省が、「夏は、ノージャケット、ノーネクタイにしましょう!」と旗を振ると、「アッ」という間に変わってしまう。

この特性をよい方向に活かしていけば、日本はさらによい国になるでしょう。

外国人が多い

アベノミクスで進んだ「円安」。
最初は、輸入品の値段が上がって大変でした。

しかし、原油・ガス価格が下がったので救われていますね。大問題だった「エネルギー輸入費増大による貿易赤字増加」も解決しつつある。
日本の貿易赤字は、急速に減っています。そして、円安で、外国人がメチャクチャ増えているのですね。

今年上半期の外国人観光客数は914万人だそうです。

通年で1800万人の予測。
2000年は、通年で476万人。
15年で3.78倍増えています。

東日本大震災があった2011年。
東京は暗く、外国人がまったく見当たらないので、とても心配になったものです。

しかし、あれから4年。
どこにいっても外国人が山ほどいて、どんどんお金を落としてくれる

ありがたいことです。

もちろん一番多いのは「爆買」中国人ですが、欧米系の人たちも、あらゆる場所で見かけました。
ある日松本城にいったら、日本人より白人のほうが多いくらいで驚きました。

郵便局事件

日本に行くと、モスクワにないものを買うので、どんどん荷物が増えてしまいます。
(特に、本を大量に買うので、かなり重い。)

2年前に帰国したときは、それこそ「お引越しですか?」状態になってしまい、空港で「恥ずかしい」と思うほどでした。

そこで、今年はじめて、「荷物を郵便局で送ってみる」ことにしました。
いままで「きちんと届くだろうか?」と不安で、試したことがなかったのです。

郵便局にいくと、お姉さんが「船便、航空便、EMSなどありますがどうされますか?」と聞きました。
私は、「高速郵便EMSは高い」と思ったので、「航空便でお願いします」といいました。
船便だと、「いつ届くかわかったもんじゃない」と思ったからです。

すると、郵便局のお姉さんは、「箱の大きさと重量にもよりますが、EMSのほうが航空便より安くなるケースもありますよ」といいました。

私は驚いて、「え、そうなんですか?」といいました。そんな話は聞いたことがなかったからです。
するとそのお姉さんは、「しばらくお待ちいただければ、航空便で送った場合とEMSで送った場合の料金を計算できますけど」といいました。

そして、神のようなスピードで、航空便、EMSの料金を計算してくれました。
ちなみに私は、なんとダンボール箱4つをモスクワに送りました。

だから、お姉さんが「航空便とEMSの料金比較をする」のもとても面倒くさい作業なのです。
(サイズと中身の重さを測らなければならない。)

計算結果を見せられて、私は唖然としました。
なんと高速郵便EMSのほうが、航空便より、ひと箱につき1000円程度安いのです。
しかも、航空便の3分の1ぐらいの速さで到着する。

郵便局のお姉さんの親切心と機転により、私は4000円ほど節約でき、さらに速やかに荷物を受け取ることができます。
彼女は、「航空便ですね」といって、さっさと料金を請求することもできたはずです。

ところが、「EMSのほうが安くなることもありますよ」といってわざわざ両方の料金を計算してくれた。
それで、彼女の収入が増えるわけでもなく、上司からほめられるわけでもない。
自分で自分の仕事を増やしただけともいえます。

しかし、私はこの上なく、幸せでした。

嗚呼、これが日本だ……

そう思ったのです。

image by:Shutterstock

 

『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯
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