白Tシャツ好き3人組が始めたという白無地Tシャツ専門店「シロティ」。扱うのは白Tのみということだけでも驚きなのに、営業日は週に1回土曜日だけ、けれども絶大な人気を誇っているそうです。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者の青山烈士さんが、この不思議なお店の魅力を徹底解析しています。同店が売るコト(=体験)とは、一体どんなものなのでしょうか?
コト(=体験)を売る
世界初の白無地Tシャツ専門店で注目されている企業を分析します。
● シロティ(白無地Tシャツ専門店)
戦略ショートストーリー
白Tシャツが好きな方をターゲットに「白Tシャツとリアル店舗へのこだわり」に支えられた「自分に合った1枚に出会える」「限定感、特別感」という強みで差別化しています。
実際に見て、触って、試着して、比較して、店員のアドバイスを受けながら、自分に合った1枚を探すという体験を提供する事で、顧客の支持を得ています。
■分析のポイント
コト(=体験)を売る
ZOZOTOWN(ゾゾタウン)などのファッション通販サイトなどが躍進している一方で、苦戦している店舗が多いアパレルのリアル店舗の中で、なぜシロティは人気を得ているのでしょうか。
少し考えてみましょう。
最近、「モノではなくコトを売る」という言葉をよく耳にしますが、シロティはまさにコト(=体験)を売っています。具体的には、自分に合った1枚を探すという体験です。
このような体験をすることはネットでは難しいでしょう。なぜなら、ネットでも多数の商品の中から比較することはできますが、あくまでも、目に見える情報でしか比較できません。
一方でシロティは、実際に見て、触って、試着しながら、その場で店員にアドバイスをもらうこともできます。いまのところ、この一連の流れはネットでは体験できないことです(VRなどの技術進歩で近い将来、ネットでも体験できるかもしれません)。
もちろん、ネットで十分という方もいらっしゃると思いますが、シロティの顧客ターゲットは白Tシャツにこだわりのある方が中心となりますので、この顧客ターゲットが求める体験、楽しいと思える体験を提供することが重要ということです。
もともと、シロティの店主が白Tシャツ好きで、シロティのような体験ができる店がないことに疑問を感じて、お店を開いたようですが、まさに白T好きによる白T好きな方のためのお店となっています。
要するに、白T好きが体験したいことを体験できる場をつくったということです。
しかも、世界初ということは、恐らくここでしかできない体験ということになりますから、白T好きの聖地を目指すというのもうなずけますね。
上記のようなシロティの戦略や戦術は、リアル店舗がネット店舗との競争に生き残るためのひとつの道筋を示しているといえるでしょう。
今後のシロティの躍進を楽しみしています。
◆戦略分析
■戦場・競合
- 戦場(顧客視点での自社の事業領域):白無地Tシャツ専門店
- 競合(お客様の選択肢):セレクトショップ など
- 状況:Tシャツの市場規模は縮小傾向のようです
■強み
1.自分に合った1枚に出会える
- 見て、触って、試着して、自分のお気に入りが見つかる
- 多様な白Tシャツから自分に合ったものを探すのが楽しい
2.限定感、特別感
- 毎週、品揃えが変わる→常に新しい発見がある
- 店が営業しているのは土曜日のみ
★上記の強みを支えるコア・コンピタンス
「白Tシャツとリアル店舗へのこだわり」
- 白Tシャツ好き3人組が、実際に見て、触って、試着して、比較しながら自分に合った白Tシャツに出会ってほしいという想いでスタートした店舗です。
上記のようなこだわりが支えているからこそ、強みを実現できているといえます。
■顧客ターゲット
- 白Tシャツが好きな方
- 自分に合った白Tシャツを着たい方
◆戦術分析
■売り物
「国内外から厳選した白Tシャツ」
- 国内外の様々なメーカーのブランドを取り扱う
- 毎週、品揃えが変わる
- 生地の厚さも異なる様々な素材を使った多様なデザインの白Tシャツを常時20種類以上品揃え
■売り値
- 4,000円~5,000円台が中心価格帯
■売り方
「世界初というインパクトで行列が出来るほど注目を浴びています」
- 試着して自分にあった白Tを探すことができる
→Tシャツは試着できない店舗が多い中で、シロティは全商品(白Tシャツ)が試着可能 - スタッフに希望を伝えれば、提案してくれる
→白Tシャツ初心者でも安心して購入できる
■売り場
- 東京・千駄ヶ谷にマンションのガレージを改装した店舗を展開
- 営業日は毎週土曜の1日のみ
- 内装も白で統一
※売り値や売り物などは調査時の情報です。最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。
image by: FFFFFFT_sendagaya(シロティ千駄ヶ谷)公式Facebook