車を運転する人にとって、常に「~かもしれない」と様々なシーンを想定することが事故防止につながるという事実はよく知られています。この考え方は仕事にも応用できるとするのは、無料メルマガ『ビジネス真実践』の著者で戦略コンサルタントの中久保浩平さん。究極のリスクヘッジと言っても過言ではないようです。
「かもしれない」の効用
運転免許をお持ちの人なら、必ず教習所で習うことなので「だろう運転は危険なので、かもしれない運転をすること」という教えはよくご存知だと思います。
免許の無い方のために簡単に説明しておきますと、だろう運転とは、たとえ見通しの良い直線道路であっても「飛び出してくる子供や自転車はいないだろう」というような「~だろう」という意識のまま運転することで事故を起こす危険が高まるということです。
逆に、かもしれない運転は、見通しの良い直線道路であっても「もしかして急に子供が飛び出してくるかも知れない」という「~かもしれない」意識で運転をすることで、事故のリスクを大きく減らすということです。
つまり、だろう運転は、注意が散漫になりがちで危険性があるけど、かもしれない運転は、注意力が高まり、視野も広くなることから不測の事態への準備をしながら運転することになるのでより安全ということです。
これは普段仕事をしているときにもいえることです。たとえば、お客さんから受ける問い合わせで「こんなことは聞かれないだろう」と、勝手な判断によりQ&Aを削ってみたり、お客さんへ商品説明するWEBサイトや広告で、「この説明で十分商品のことはわかるだろう」という判断で説明文を掲載するも、実はお客さんにとっては不十分で全然伝わっていなかったり、取引先とのアポイントで14時頃という約束をしていて10分程度遅れそうになったとき、「14時頃って約束だから10分くらいどうってことないだろう」と先方への連絡を怠ったり…など、こうした「だろう」という意識で仕事をしていては決して相手の立場、目線に立つことが出来ませんし、お客さんからの信頼を得ることは出来ません。
また、社内においても…、部下に対して明確な指示を出さなくてはいけない場面でも「特に説明するまでもなく、Aくんならわかってくれているだろう」と指示や確認を怠ったばかりに後で大きな失敗に繋がることも有り得ます。なので普段から「だろう」ではなく「かもしれない」という意識を持つことが大切なのです。
「もしかしてこの看板だとお客さんには何屋さんかわかってもらえないかも知れない」
「お客さんは商品のこのことについてもっと知りたいのかもしれない」
「待ち合せ時間は14時頃としていたけど、先方にも後々予定があるかも知れない。だから10分前には着いておくようにしよう」
「Aくんなら指示を出さなくても大丈夫だと思うけど万が一、意図が伝わっていないかもしれない。今一度、確認してみよう」
など、ちょっとした「かもしれない」という意識を持つことで、相手のことを汲み取り、十分な確認を行う上で、リスクを極力回避することができるのです。相手の立場に立ち、配慮し、リスクの芽を摘み取るには「かもしれない」が必要不可欠なのです。
「~だろう」は相手のことを考えているようで実は一方的な判断によるものです。「かもしれない」は相手の考えや意図を汲むことで相手の立場に立つということです。
御社では、顧客対応やスタッフへの対応等含め、様々な場面で「だろう」になっていませんか? また「かもしれない」を徹底するにはどのような工夫や教育が必要ですか?
■今日のまとめ
『常に「かもしれない。」と考える』
- 「~だろう」という勝手な判断で仕事をしていないか社内で話し合う。
- 「かもしれない」という意識を徹底するためにできる工夫をみんなで話し合う。
- お客さんや取引先から「こんなことを聞かれるかもしれない」ということを制限無く列挙する。
- 列挙したことに対しての具体的な応対策をみんなで講じる。
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