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隠れた落し穴。まだシニア向けマンションを購入してはいけない理由

食事や生活支援のサービスがつき、1階にはデイケアセンターが、といったシニアマンションが近年徐々に増えてきています。確かに、一見とても便利のように思えるのですが…、無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者の廣田信子さんが、その「問題点」を記すとともに、安易な入居に対し注意喚起を促しています。

シニアマンションのサービスは多数決になじまない

こんにちは! 廣田信子です。

最近、特に関西圏でシニアマンションの問題を聞きます。食事、生活支援のサービス付で、1階にはデイケアセンターが入っているので、介護が必要になっても安心という触れ込みで、分譲されていても、サービスは管理組合との契約で、建物の維持管理とごっちゃになって、管理費等から費用が支出されていて、管理組合の総会の多数決の予算でサービスの質が左右され、場合によっては、経費削減で廃止させてしまうことも。人によってサービスの必要度や経済状況が違いますから、とても不安定な運営になってしまいます。

また、1階にデイケアセンターがあるといっても、店子として入居しているのですから、経営状態が悪いと簡単に閉鎖になってしまいます。その後、新たな事業所を誘致するのは至難の業です。ひどい話になると、高齢者の体調不良の緊急連絡を受けるのが普通の管理会社の社員で、設備トラブルの緊急連絡と同じレベルということも。

で、ある特定の理事が、自分に都合がいいように、独断的な運営をしてしまう事態が発生してしまうのも、一般の管理組合と同じです。高齢者の生活そのものと深くかかわり、人の命にもかかわるサービスまで、管理組合の守備範囲となると、その影響は計り知れません。

また、管理組合運営が混乱すると、何かの意図を持って、管理組合をビジネスの対象としてアプローチする人たちもいて、よけいに混乱がおきます。これも、一般の管理組合と同じです。内部に対立や不安や疑心暗鬼が広がると、一番大切な良好なコミュニティも損なわれてしまいます。

そもそも、高齢者へのサービスの約束は、シニアマンション購入時の最も重要なものですから、売買契約に付随する契約と考えるべきで、管理組合による団体自治にはなじまないものです。

そのへん、まだ法整備がされていないので、シニア向けマンションの購入を考えている方は、その運営の仕組みをしっかりチェックして頂きたいと思います。

また、きちんとしたサービスが提供されているシニアマンションでも、今後、様々な課題が発生するものもあると思います。

これ以上高齢化が進むと、第三者管理という選択も必要になってくると思われますが、誰がどのような仕組みで高齢者の権利を守るのかまだまだ不透明です。

一番、大変になると思われるのが、認知症の居住者の増加です。身体介護が必要な人に対しては、在宅介護サービスである程度対応が可能ですが、認知症の進んだ居住者との共存は、簡単ではありません。

また、認知症ではなくても、極端に周りの人に恐怖や不快感を与える言動をする共同生活不適応者の存在も問題になります。分譲で所有しているので、簡単に出て行ってもらうという訳にはいきません。このような方にどう向き合うか、シニアマンション運営には、かなり高度な知恵が必要になります。そういったことも想定して、マンションを選ぶ必要があると思います。ぜひ、パンフレットの文言だけで、これなら安心と、購入を決めないで、慎重になりましょう。

シニアマンションは、あくまでアクティブシニアが安心して第二の人生を楽しむためのもの。で、介護が必要になったときは、普通のマンションに居住しているのと同じだという覚悟はあった方がいいと思います。それでも、見守り体制や支援体制が充実している分、一般のマンションよりは環境が整っています。

シニアマンションにもいろいろあり、私が把握してることは、ごく一部です。契約内容を事前によく確認して、様々な場面を想定した上で、元気な時間を豊かに過ごすことに力点をおく居住形態がシニアマンションなのかな…と私は思いました。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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