薄毛の原因は「減量」の場合もある…という話をご存じですか? よくストレスがの原因という話は知られていますが、なぜ「減量」が薄毛を引き起こしてしまう可能性があるのでしょうか? メルマガ『届け!ボディメイクのプロ「桑原塾」からの熱きメッセージ』では、著者である桑原塾長の実体験を中心に、薄毛を引き起こすメカニズムと、その予防対策について記しています。
薄毛対策
Q.薄毛で悩んでいます。普段はさほどでもないのですが、減量をすると一気に髪の毛が減ってしまい、その後も回復する兆しがありません。あきらめた方がいいのでしょうか。何か対策はありますでしょうか。
(41歳、男性)
桑原塾長の回答
私も毎回減量のたびに同様の体験をしています。
しかしお蔭様でと言いますか、減量を終えると徐々に復活していきます。
私の師匠のミスターユニバースの杉田会長は親戚もみな髪の毛が濃いらしいのですが、会長だけはある年齢から薄くなりはじめていて、それは紛れもなく減量のせいだとおっしゃっていました。
確かに減量は様々な栄養素の摂取量が減りますから、脂肪だけではなく髪の毛にも栄養があることは否定できないでしょう。
髪の毛も、筋肉とはその組成は異なるもののアミノ酸でできていますから、その原料が足りなければ細くなるのは当然ですし、その合成能力も衰えていくのでしょう。
女性は男性ホルモンが少ないので結果として薄毛にはなりにくいのですが、世界的な登山をする人の場合は、仮に女性であっても下山すると髪の毛が抜けたり薄くなったりしてしまいます。
数か月かけて準備をして登山にも数週間を費やしますが、荷物の制限がある関係上、どうしてもタンパク質(アミノ酸)の栄養素が足りなくなるのです。
登山の際に1番大切なのはなんといっても酸素ですが、その次に水が貴重となり、更にその次はエネルギー源となる糖質のため、どうしてもタンパク質が足りない状況を数週間過ごすことになるからです。
タンパク質(アミノ酸)という髪の毛の材料が足りなければ薄くなるのは当然でありますし、もう1つは栄養素のバランスが大きく崩れていることも要因と思われます。
私は毛髪の専門ではないので経験的な回答になっていまいますが、いくつか対応策はあるように思います。
まず栄養素的にキーとなるのは亜鉛です。
これは40代から50代にかけて自身も実感をしています。これまで私は髪の毛を染めたことがありません。
もちろん襟足などに白髪はありますが、同年代の中では比較的白髪率が低いのではないかと思っています。
ちょうどエキストラ・アミノアシッドを飲み始めたのが40歳ですから、その中に含まれている亜鉛との因果関係は強いのではないかと思っています。
薄毛は男性ホルモンが原因だと言われますが、単に男性ホルモンがあれば薄毛になるのではなく、ストレスなどの外部要因によって、正常な男性ホルモンがDHT(ジヒドロテストステロン)という、変形した男性ホルモンへと変換してしまうことによって、引き起こされています。
つまりこのDHTこそが薄毛の原因といえます。
DHTは一言でいえばストレスによって作られてしまうので、ストレスを減らすことも薄毛対策のポイントとなるのですが、ストレスとなっている減量自体を止めるわけにはいかないでしょうから、その他の要因で解決するための1つが亜鉛というわけです。
亜鉛はDHTを作り出す酵素(5αリダクターゼ)に反応して、その変換を抑制しているため、結果として薄毛や白髪の対策に有効となります。
また少し間接的な作用となりますが、関節の成分でもあるグリコサミンも薄毛に効果があると言われています。
こちらは血流を促進させるという観点からの効果が言われていて、少し亜鉛と比較すると間接的かもしれません。
個人的な経験からの話になりますが、ちょうど40代に突入をして減量を始めた頃から、亜鉛が配合されているエキストラ・アミノアシッドとグルコサミン(現在ではN-アセチルグルコサミン)を配合しているジョイントプラスを飲み始めたことは、何かと薄毛や白髪対策となっているのかもしれません。
それと同時に単なるシャンプーではなく、頭皮を洗うという発想をもった洗髪をし始めたことと、少し高めの毛髪剤を使うようにし始めました(毛髪剤については素人なので何がいいのかのコメントはできません<(_ _)>)。
減量はカロリー制限もですが、その他の栄養素も意図的に偏らせなくてはなりません。高タンパクは原則となりますが、低脂質や低糖質を進めてなくてはなりません。
しかし栄養素は非常にうまく出来ていて、バランスをとることでより機能が発揮されていきます。逆に言えばバランスを崩すことで機能の発揮が弱くなるということです。
強い低糖質の状態を長期間続けていくと、低糖質であるにも関わらず糖化が進むという不思議な現象が起こってきます。これは糖質を補うために脂肪が分解されてケトンという物質が作られるのですが、このケトンが長期間続くと一部ケトンがアセタールという有機化合物へと変換していき、このアセタールが体内のタンパク質と結びつくことで糖化が進んでしまうのです。
また脂質カットを長期間継続することは、体内の脂質代謝能力を落とすことになります。
このように減量によってバランスを崩すことは、各栄養素が本来以下の能力になってしまうという難しい状況が生まれてしまうのです。
逆に三大栄養素のバランスが整うと、今度はそれぞれの代謝がよりスムーズに進むこととなり体内での利用効率もぐっとあがっていきます。
減量は栄養素のバランスを崩さざるを得ない行為でありますが、そのしわ寄せを減量期以外においては如何に取り戻すかが重要なのです。過剰は悪という発想は正しいのですが、同様に不足も悪ということです。
オフの時こそ、より栄養素のバランスや過不足に気を付けていく必要があるかもしれません。
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