私達人間が生きていくために「糖」は必要不可欠なものです。この「糖」は、ダイエットによって控えすぎても、過剰に摂取しすぎるのもダメなんだとか。特に過剰な糖質がもたらす弊害の一つ「糖化」は、肌の老化や心筋梗塞、骨が脆くなるリスクなどが指摘されています。今回のメルマガ『届け!ボディメイクのプロ「桑原塾」からの熱きメッセージ』では、この糖化を防ぐ「抗糖化」のためのコツと、有効な成分をもつ果物を紹介しています。
最近話題の抗糖化
抗糖化という言葉を最近よく耳にするようになりました。糖化は具体的にどういった弊害があるのでしょうか? また抗糖化のためには、日々何に気をつけておけばいいのでしょうか。抗糖化用のサプリメントって何かありますか?
(38歳、女性)
桑原塾長の回答
抗酸化という言葉は完全に浸透していると思います。活性酸素によって細胞が錆びついていくことを防ぐための様々な方法です。
一方、最近話題の抗糖化ですが、言葉の通り糖化に抗うという意味です。
ではその糖化とは何かと言えば、過剰な糖によって細胞が焦げつくというイメージです。
酸化が錆で糖化が焦げというわけです。
糖は即効性をもつ非常に重要なエネルギーです。特に脳は(ぶどう)糖を主要なエネルギーとしますから、生存していくうえで必要不可欠な栄養素です。
実際、日本人の理想的な栄養素のバランスは、エネルギー比にして糖質を50~60%としていますから、まさに栄養の主役といっても過言ではありません。
しかし、いかに重要な栄養素であっても、過剰分はさまざまな弊害をもたらします(不足分も当然に弊害があります)。
その過剰な糖質がもたらす弊害の代表が糖化といえます。
体内で使い切れない糖が長時間体内を滞留することでタンパク質と結びつき、更には体温による加熱が加わることでAGEs(終末糖化産物)が作り出されます。
このAGEsは毒性をもつため、お肌のシワや老化など美容の敵として主に女性には意識されていますが、単にお肌のトラブルにとどまるのではなく、血管に蓄積されれば心筋梗塞などのリスクを高め、骨に蓄積されれば骨が脆くなります。
通常の健康診断の際の血液検査の項目で必ずある、ヘモグロビンA1cは、まさに糖化の指標でもあります。
血液中のブドウ糖が赤血球の主成分であるヘモグロビンというタンパク質と結合した状態が、糖化ヘモグロビンであり、体内の糖化の状態を示す代表的な指標となっています。
ボディビルダーはじめ多くのアスリートの場合、糖質を摂ってもそれを使うというサイクルが出来ているため、さほど糖化への心配はありませんが、オフなどに常に糖質を摂取するという習慣だけが残って、一方で運動強度が下がっていくと糖化への心配は生まれてきます。
そんな糖化を防ぐ一つの方法は、糖質を控えめにするということです。
元々ローカーボダイエットが栄養学的にも医学的にも支持された理由のひとつが、この抗糖化にあります。
糖は最優先で必要な栄養素ですから、利用される範囲内においては体へのデメリットは皆無なはずです。つまり、過剰な分がNGとなるわけですから、それを抑えようというのがローカーボダイエットです。
どこまで抑えるかは差がありますが、いずれにしても糖質を控えめにした食生活を送ることで糖化を防ぐことができます。焦がそうにも焦がす材料がないのですから、当たり前と言えば当たり前です。
もう一つ大切なのは、一度に摂取する糖質の量もさることながら、常に糖質を入れていることで糖化は進みやすくなります。これはスナック菓子やデザートといったオヤツにも注意が必要です。
通常、食事はお腹が膨れればそれ以上食べることはしなくなりますが、お腹が空いていなくても食べてしまうオヤツやデザートは、まさに過剰な糖質であり糖化の温床となります。
そういった日常の食生活にプラスして役立ちそうな抗糖化の成分が分かってきました。
それはマンゴスチンに含まれるポリフェノールです。
マンゴスチンは熱帯地方で栽培されている、果物の女王と賞される甘味と酸味の調和が絶妙なフルーツです。白い中身はまさにフルーツとして人気がありますが、実は紫色の果皮に含まれるポリフェノールには強い抗酸化力があります。
通常、ポリフェノールには抗酸化力がありますから、それ自体は珍しいことではないのですが、その果皮の水溶性ポリフェノールを更に分析していくとマクルリン配糖体という特有成分があり、そのマクルリン配糖体に非常に強い抗糖化作用が見つかったのです。
体内での糖化の際のタンパク質側の主役の一つがコラーゲンです。コラーゲンはアミノ酸組成が極端に偏っているタンパク質ですが、お肌、関節、骨といったところの主たる材料であり、体内のタンパク質のおよそ3割がコラーゲンですから、筋肉以外では主役のタンパク質といっても過言ではありません。
このコラーゲンの糖化を防ぐ効果がマクルリン配糖体に見つかったのです。
まず美容という観点からはお肌の抗糖化となります。
ヒアルロン酸などを単独で摂取するよりも、マクルリン配糖体が入ることで、お肌の繊維芽細胞の賦活作用が増加されることが確認されていて、お肌の粘弾性と水分量の改善の確認もされています。
またトレーニーや年配の方にとっては骨の抗糖化という点でも期待がもてます。
ペントシジンというAGEsがありますが、骨にこのペントシジンが蓄積すると骨の強度が落ちることが報告されています。
また骨のペントシジンと血中のペントシジンの濃度には相関があることがわかっています。
マクルリン配糖体の摂取は血中のペントシジンの濃度が低減されることが確認されているので、結果として骨中のペントシジンの蓄積が抑えられて、骨の強度が維持されていると思われます。
マクルリン配糖体はマンゴスチンアクアという素材名で日本新薬から原料供給されているので、今後サプリメントとして市場に登場すると思われます。
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