映画やマンガに描かれる未来の店は店員がロボットであることが多いですが、「現実の未来」はロボットさえいない無人店舗ばかりになるかもしれないようです。今回の無料メルマガ『MBA流 大人の学ぶ技術』では著者の若林計志さんが、すでに一部コンビニで始まっているセルフレジなどの「自動化」を取り上げつつ、少子高齢化が進む日本では近い将来、人間の店員がいない店が増えていく可能性が高いとの見方を示しています。
無人化コンビニに見るビジネスの進む道
最近、近所のスーパーやオリジン弁当がセルフレジになりました。またオフィスの近くにある銀だこは、あらかた焼きあがると鉄板が振動してたこ焼きが自動でくるくる回ります。だから店員さんには高度な技術が不要です(実際店員さんのほとんどは学生バイトか外国人の方です)。
ビジネスをスケール(拡大)させるには、オペレーションの標準化(マニュアル化)が必須です。そして「ホスピタリティ」(おもてなし)を売りにしていないビジネスは、この標準化の道を加速しながら無限に突き進んでいきます。
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昔自分でたい焼き屋を経営したことがあったのですが、たい焼き屋 vs たこ焼き屋のビジネスモデルを比較すると、たい焼き屋の優位性は、調理が簡単で、バイトスタッフの育成が簡単なことがありました(たこ焼きをくるくる回して焼くのは、それなりに技術がいるのです)。
ベテランの技が要求されるはずの「外カリ中トロ」を作るテクニックを始め、あらゆる作業の標準化(マニュアル化)に成功したからこそ、築地銀だこ(運営会社はホットランド)はテキ屋稼業から抜け出て、上場を可能にしました。
そして標準化できる仕事は、必ずITによって自動化されていきます。コンビニの業務は標準化の最たるものなので、遅かれ早かれセルフレジがほぼ100%導入されます。
実際にセルフレジが導入されているコンビニも少しずつ増えていますが、業界的にはコンビニ大手連合と経産省が一緒になって、2025年までに全店舗にセルフレジを導入する動きとなっています。その背景にあるのが、日本の超高齢社会化と人口減少です。
今後各業界で人材を確保するのがどんどん困難になってくるのは分かりきった未来であり、セルフサービスやロボットの導入、そして無人化は不可避なのです。
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オペレーション上でネックとなるお金のやり取りも、電子通貨による決済や、顔認識による自動支払いにより解消されるでしょう。むしろ機械にまかせた方が、ミスもなく、スタッフによる犯罪リスクも減らせます。
これらの動きが進めば、最後は人間が全くいなくても店舗経営ができるようになります。アメリカで「Amazon GO」が話題になりましたが、日本でもセブンイレブン、ファミマなどコンビニ各社が無人化への布石を着々と打っています。
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中国は世界でもっとも電子決済が進んでいる国の一つなので、すでに無人コンビニが実用レベルで運営されているそうです。
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(ありえなそうですが)もしコンビニでの接客に人間性を求めるニーズが高いなら、AIで動くバーチャルキャラがホログラフィーで映し出されるか、ソフトバンクのペッパーの発展版のようなロボットが登場するはずです。もしくはガソリンスタンドのように「セルフサービス」と「人間」の2つのレジに分かれ、人がいるレジの方が少し料金が高い設定になるかも知れません。
そして、さらにその先の未来では、購買履歴などをベースに、お客様が買いたくなる商品とタイミングをAIが予測して、玄関を開ければ先回りしてドローンが待っている世界になるでしょう。
もちろん逆張りで人間による「おもてなし」を売りにする商売も出てくるはずですが、ビジネスがスケールしないため、ニッチなサービスとしての生き残りを模索する構図になるはずです。
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