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「学校へ行きたくない」という子どもは何をわかってほしいのか?

新学期の始まりと前後して、不登校に関する報道が多く見られるようになりました。「もしも自分の子どもが学校に行きたくないと言い出したら、どう対処すれば」とお考えの親御さんも多いかと思います。『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』では、大切なのは「共感」であって、安易な同情・同意は禁物、さらに不登校解消にもつながる「子どもが胸の内を語ってくれるような親」になる3つのポイントを紹介しています。

子どもが学校に行きたくないと言い出したら?

9歳の息子が「学校へ行かない」と言い出しました。しばらく前から登校を渋るようになっていたため気になっていましたが、不登校が始まるかと思うと気が気ではありません。

「行かなくていい」と同意していいのか、「行かなきゃ」と指示すればいいのか、
「なぜ?」と理由を探ればいいのか、どう声をかければいいのでしょう?」
(12歳、9歳姉弟のお母様)

 

家庭教育アドバイザー 柳川由紀さんの回答 

ただ見守るだけでは期間を長引かせてしまいます。なぜ学校に行きたくないのか原因を考え、それに沿った学校復帰への支援計画が必要です。

学校、家庭、医療機関との連携も必要になります。けれどもその前に、まず親が子どもの気持ちを充分にわかってあげること、つまり「共感」することです。不安や心細さを覚えたとき、「この人だったらわかってくれる」「この人だったら信頼できる」と思えればその人に胸の内を話します。まずは親がそういう人になりましょう。以下の3点がポイントです。

1.同情、同意、反発はしないこと

共感とは、相手と自分とを置き換えて、相手の気持ちを感じる力のことです。自分の感情で相手を見ることではありませんし、「判断」も入りません。

子どもへの同情「何かあったのね、かわいそうに」や、同意「行かなくていいわ」、反発「休むのはよくないわ、行きなさい」は、自分の感情で子どもの気持ちを判断するので、共感ではありません。子どもは自分の気持ちをわかってくれない、と感じてしまいます。

2.相手の状況や気持ちをイメージする

私たちはイメージしたことに従って感情も出てきます。例えば、楽しかったことや、TVのお笑いで笑った瞬間を思い出してみてください。何か楽しい、面白い気持ちが湧きませんか?

逆に、嫌なことをされた記憶やケンカした状況を思い出してみてください。悲しい気持ちや落ち込み、悔しさ、怒りなどを感じませんか?

共感も、相手の話を聞き、イメージした結果、心に浮かんでくる感情です。ですから子どもの状況や気持ちをイメージすることが大切なのです。

3.「あなたの気持ちはわかる」は嘘

共感したいからと言って安易に「あなたの気持ち、よくわかる」というのはよくありません。

しかし、「あなたの気持ちがわかる」と言える方も存在します。それは、同じ体験をしたことがある方です。

例えば、家族を亡くした方が「辛いです」と言ったら「その辛い気持ち、わかります」と言うのではなく、「今、辛いんですね」というのが共感です。

こちらがどうかではなく、相手の気持ちに寄り添い、確かめるように話を聞くことが本当の共感なのです。

次ページ>> 親として言いたいことは、子どもは必要としていない

◆家庭教育アドバイス……「同感せずに共感を!」

「どうして?」「行かなきゃだめよ」「行かなくていいよ」など親の判断を伝えるのではなく、まず子どもの心に耳を傾けて「そう、行かないのね」と答えましょう。この共感が、信頼関係の第一歩です。

「同感」は、自分の価値観を優先するので、子どもの言動に納得できれば頷き、そうでなければ自己主張します。これでは、子どもにとってただのお説教に聞こえてしまいます。

親として言いたいこと、例えば「行かなくちゃ」、「行かなくていいわ」といった判断は子どもに必要ありません。子どもは、自分の気持ちを分かってほしいのです。

もしかしたら親から共感してもらったことで子どもは安心し、「行かない」と決めたのに、「やっぱり行こう」と思い直すかもしれません。

共感され「自分の気持ちをわかってくれる」と言う安心感が、子どもに力を与えます。その力は、「前向きな行動へ変えさせる力」です。

image by:Shutterstock

 

子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育

家庭教育のプロとして、教育相談員の経験を生かしながら、親としての接し方のコツをお伝えします。専門である教育心理学、家庭教育学をベースに家庭の中でできる「子どもを伸ばすためのコミュニケーション術」を「親の力」に視点を置き、毎週月曜、木曜の二回に亘って配信予定です。乳幼児、小学生、中学生、高校生、大学生など発達段階に応じた子どもへの声掛けを具体的にご紹介します。
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