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人種のるつぼ・アメリカで企業が祝祭日の設定に苦労している理由

訴訟の国・アメリカでは、会社規定の作成も一苦労…。そう記すのはメルマガ『NY在住となりの起業家中川扶二夫「誰でもなれる海外起業家論」』の著者・中川さん。油断すると裁判沙汰に発展するので注意が必要、中でも意外と大変なのが祝日の設定とのことなのですが…、そこにはアメリカならではの理由がありました。

社内規程

9月の第1月曜日はLabor Day(レイバー・デー)。アメリカ合衆国の祝日です。

日本で言うと多分勤労感謝の日になるのですが、でもどちらかと言うとメーデー(May Day)に近いですね。では、何故「May Day」と同じ日にしなかったのかと言うと、世界のMay Dayのきっかけとなったある事件を彷彿させたくないからですね。

さて、レイバー・デーは全米でパレートが行われます。今ではこの日はパレードがある楽しい休日となっています。余談ですが、レイバー・デー最初のパレートは1982年にここニューヨーク(NYC)で行わました。

NYCに住んでいると分かりますが、レイバー・デーは夏休み最後の休日となっています。9月の第1月曜日のこの祝日が来ると夏が終わり、秋が始まります。

実際、学校も夏休みはレイバーデーまでで、翌日の火曜日から始まるところが少なくありません。私の娘の学校なんかも9月8日からです。しかし娘の学校は、6月8日(月)から9月7日のレイバー・デーまで丸3か月間夏休みです。親の私からすれば、もっと勉強させろ! 授業料安くしろ! と言いたくなる長さです(笑)。日本よりも夏休みがかなり長い分、年間の祝祭日は日本の方が多いですね。

さて、アメリカで起業する場合、会社規程の作成が必要です。Employee Handbookと言います。この作成は大変ですので専門家に依頼することを勧めます。が、小さな起業なら、費用もかかりますので…まあ、ご自分で作成されても問題ないかと思います。サンプルはWEB検索もできます。また、他社から入手して真似ても良いかと思います。

さてこの社内規程のポイントは、「レイバー・デー」の制定に至ったある事件の原因である「労働時間の明記」です。

アメリカでは1日8時間労働、週に40時間労働が基本の基本です。これを超えた場合は法律に則って残業手当を支給する必要があります。

また、営業や管理職等で残業手当の支給が不要な社員も法律上います。これはExamtionと言います。これを経営者として把握することが大切です。把握することにより、経費削減やモチベーションアップが可能です。

社内規程にはもちろん祝日も明記する必要があります。これも意外と大変です。日本では当たり前ですが、日本人労働者が大多数なので、祝祭日もすべてが日本国の制定です。しかし、人種のるつぼであるアメリカには国の祝祭日だけでなく、国籍ごと宗教ごと祝祭日があるのです。これらすべての日を会社の休みにする必要はありませんし、すると大変です(笑)。

また、日本とのビジネスが重要な会社なら、アメリカの休日よりも、日本の祝日に合わせることが必要であり大切な場合があります。

弊社はアメリカの会社ですが、日本のように年末年始は休みとしています。社内規程で大晦日とお正月の三が日は休日としています。社内規程は基本さえ守っていれば独自で構いません。

しかし、アメリカは合衆国なので、州ごとに州の規定が異なります。これがまたまた頭痛の種で大変なんです。有給休暇の消滅や退社時の買取り規則、あるいは病欠の規程等が州によって異なります。会社によっては一番厳しい州に合わせるところもあれば州ごとに規程を変える会社もあります。

次に健康保険退職金制度についてが独自の項目となります。

このような独自の規定を決定し、州の規則をクリアーすれば、後はひな形通りの人種・宗教・性別・年齢等の差別をしない事、雇用はお互いの意思である事、等を明記するだけです。

案ずるより産むが易し的ではあります。

が、油断すると訴訟問題へ発展しますので、ご注意ください。専門家が必要であればご紹介できます。お知らせください。

さらに、会社規程での健康保険の会社負担額、退職金制度401kの有無や内容、有給日数等を社員は転職の時に他社と比較します。内容を常に把握し、アップグレードしておかないと、社員の流出となります。定期的に会社規程のReviewが必要です。

image by: Shutterstock

 

NY在住となりの起業家中川扶二夫「誰でもなれる海外起業家論」』より一部抜粋

著者/中川扶二夫
日米での起業家。ノマドライフ家。29歳の時に単身ニューヨークへ渡り起業。現在では全米に6業種6社(20支店)を展開中。毎週水曜配信のメルマガには、起業やトラブル解決法などビジネスヒント満載です。
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