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突然の訪問者は見知らぬ外国人…日本で広がる「ヤミ民泊」の実態

民泊禁止と定められたマンションにはびこる「ヤミ民泊」。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、実際に隣の部屋が民泊に使用されているという方からの体験談を紹介されています。犯罪すら招きかねない「民泊」、あなたにとっても他人事ではないかもしれません。

突然隣の民泊ゲストに助けを求められたら…

こんにちは! 廣田信子です。

住宅宿泊事業法の施行期限は6月ですが、何だか早まりそうな勢いです。すでにヤミ民泊は、規約に民泊禁止と定めているマンションの中にも確実に入り込んでいます。

先日、実際に隣で民泊が始まっている方から聞いた話がすごかったです。

ある日、玄関のドア前のインターホンが鳴り続けます。モニターには子供連れの女性が立っています。要件を聞くと、片言の日本語で助けてほしい…と。何事だろうとドアを開けると、韓国から旅行に来ている隣の部屋の民泊ゲストらしいのです。

両手に食材がいっぱい入ったスーパーの袋を抱え、部屋で鍋をしようと、こんなに食材を買ってきたのに、部屋のガスは止められていて料理ができない、子供もお腹を空かせているし、何とか助けてくれというのです。

小さな子供を連れてくるのも作戦かもしれませんが、子供の顔を見ると放っておけずに、結局、彼女は、卓上コンロとお鍋を貸して上げたのです。

民泊の部屋では、危ないのでガスの調理器が使えないようになっているものも多く、事前に料理はできないと明示しているのでしょうが、隣に言えば何とかなる…と思う人もいるみたいです。なにしろ、民泊ですから。

彼女は、「なんで私が、民泊禁止の規約破りの人を助けなくちゃいけないの~」と思いながら、冷たくできなくて、結果として民泊を黙認してしまったような自分にもやもや気分でいるのです。そのマンションでは、掲示板に、日本語、英語、中国語、韓国語で「民泊禁止」と明示されているのに…です。

でも、思いました。私でも、目の前に困っている人がいたら、思わず貸しちゃうだろうな…と。そして、いいことばかりが並べられている民泊サイトで部屋を申し込んできたゲストは、自分たちが歓迎されていない…という意識が薄く、旅先で困っている人がいたら、当然助けてくれるでしょう…と思っているんだな~と。

「民泊で国際交流しよう」というようなキャンペーンが今後いろいろな形で打たれると、海外から来たゲストに罪はないからと、隣人が助けざるを得ない場面も増えてくるように思います。大地震が来たらどうするのでしょう。助けないわけにはいかなくなります。

そういう気持ちに付け込んで、ヤミ民泊がやったもん勝ちになるのは、何としても防ぎたいです。

お隣の住戸で民泊をしているらしいと分かったら、バルコニー側のサッシを開けておくこともできません。隣から、仕切り板の向こうを乗り越えてバルコニーに侵入するのは簡単です。

そうなったら、自分や家族が家にいる時も侵入されそうで怖いですし、ちょっと留守をしている間に、金品を盗まれてもわかりません。私だったら、たぶん貴金属や通帳がなくなっていてもしばらくは気づかないで、あれ~どうしてないのかな、どこにしまったのかなと探すことになりそうです。

ひょっとしてお隣から…なんて気が付いたときにはお隣の旅行者は本国に帰ってしまい、泣き寝入り…なんていうことになりそうです。

私たちがサッシを開けて安心して風を通せるのは、両隣の住人に対する信頼があるからです。マンションは、不特定の人が住戸を使うようにはできていないのです。バルコニー側にも施錠が必要で風を通せないマンションなんて、絶対にいやですよね。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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