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今年こそ。京都で最も有名な桜、円山公園のしだれ桜を愛でる旅に

今年も各地から桜の開花を告げるニュースが次々と舞い込んできています。京都の桜も満を持して観光客の訪れを待っていますが…、今回の無料メルマガ『おもしろい京都案内』では著者の英学(はなぶさ がく)さんが、「京都でいちばん有名な桜」とも言われる、円山公園の枝垂れ桜を紹介しています。

京都で最も有名な桜

桜の名所が数多くある京都の中でひときわ有名なの桜と言えばやはり、円山公園のしだれ桜でしょう。桜が咲き誇る園内で、「祇園しだれ桜」の名で親しまれているしだれ桜はとても堂々としています。

image by: 京都フリー写真素材

このしだれ桜、実は2代目で初代は江戸時代からこの地に存在していたのですが、樹齢200年程経った後枯死してしまったのです。その後2代目が植樹されて90年近く経ちます。

青空のもと仰ぎ見る祇園しだれ桜もいいですが、夜桜としても名高いですよね。かがり火に浮かび上がる様は祇園という場所にあってか妖艶な美しさを感じます。

さて、この2代目の祇園しだれ桜は第15代佐野藤右衛門により植えられました。当代当主のお父さんです。佐野藤右衛門は、代々仁和寺の造園を担ってきた庭師の名跡です。屋号は植藤です。アメリカやフランスをはじめ世界各地で日本庭園を手がけています。桜を守る活動でも有名で、当代16代の佐野藤右衛門氏は日本を代表する桜守さくらもり)です。他には京都では、小川治兵衛率いる植治が庭師としては有名です。

さて、江戸時代から円山公園にあった初代の桜の孫も存在します。この桜、なんと京都府庁に咲くしだれ桜なんです。毎年3月下旬から4月上旬まで観桜祭が開かれ、中庭が公開されているので是非見てみて下さい。祇園しだれ桜と見比べて下さい。親子なので似ていますよ。

image by: 京都フリー写真素材

京都府庁の旧本館は、後期ルネッサンス様式を採り入れたもので、全国の庁舎では現存最古の建造物です。旧本館をバックに咲くしだれ桜はとても絵になる光景です。

さて2代目の円山公園のしだれ桜なんですが、近くでよく見るとあまり元気がないことに気づきます。枝ぶりもいまいちボリュームがありません。実はこのしだれ桜、毎年少しづつ小さくなっているというのです。とても悲しいことが起きてるのです。

カラスに葉や枝を食い荒らされてしまっているのです。祇園しだれ桜があまりに美しくて有名なのでこのようなことになってしまったのです。毎年花見の時期になると円山公園には沢山の花見客が訪れます。辺り一面に座り込み、宴会をする人で賑わいます。宴会が終わると、花見客が捨てたゴミが大量に出て、それを目当てにカラスが来るのです。

出したゴミを、きちんと持ち帰えれば問題は起こりません。春に円山公園を訪れた方は分かると思いますが、花見のため一面ブルーシートで覆われます。花見客はとても楽しそうですよね。でも自分たちで出したゴミは持ち帰らないと祇園しだれ桜がこのままではいつか見れなくなってしまうかも知れません。

この桜は地元の人や毎年訪れる観光客の方に愛されている桜です。少しでも長く、その美しい姿を見たい気持ちは、いつの時代も一緒です。優しい気持ちで花見をして、未来永劫美しい姿を守っていかないといけません

円山公園の園内には多くの料亭や茶店が散在しています。中でも料亭左阿弥は、江戸初期1617年織田信長の弟長益有楽斎の子頼長によって建てられたものです。庭園も当時の作庭なんですよ。是非機会があれば訪れてみて下さいね。

いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほんの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

image by: Shutterstock.com

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毎年5,000万人以上の観光客が訪れる京都の魅力を紹介。特にガイドブックには載っていない京都の意外な素顔、魅力を発信しています。京都検定合格を目指している方、京都ファン必見! 京都人も知らない京都の魅力を沢山お伝えしていきます。

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【著者】 英学(はなぶさ がく) 【発行周期】 ほぼ週刊

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