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8.4兆円が吹っ飛んだFacebook。世界は「反SNS」の時代へ

2016年の米大統領選でトランプ氏を勝利へと導いた英国の選挙コンサル会社「ケンブリッジ・アナリティカ」へ、およそ5000万人分のユーザー情報を提供していたとして、世界中で「フェイスブック」に対する風当たりが強くなっています。この問題をきっかけに、SNSへの広告から引き上げ始めている大企業が続出していると語るのは、メルマガ『高城未来研究所「Future Report」』の著者で国際経済にも精通する高城剛さん。高城さんは今後、この事件に端を発して企業や著名人による「反SNS」のうねりがしばらく続くと見ています。

フェイスブック情報漏えい問題が波紋、世界は「反SNS」へ

今週は、世界中でトップニュースとなっている「フェイスブック情報漏えい問題」につきまして、私見たっぷりにお話ししたいと思います。

この一年ほど、先方と僕のスケジュールがなかなか合わなく、お目にかかれなかった人がいます。

それが、英国のデータマイニングを駆使し、政治マーケティング行う企業「ケンブリッジ・アナリティカ」のCEOアレキサンダー・ニックスです。

「ケンブリッジ・アナリティカ」は、2016年5月の英国EU離脱投や、同年11月の米国大統領選選挙コンサルティング会社として注目を集め、代表のニックスは、「ネットワーク化された現代社会を動かせる人物として知られていました。

しかし、数ヶ月前から、一切の連絡がとれなくなってしまったのです。

そして先々週19日、乗り換え時の欧州の空港で、僕が偶然見たBBCニュースによれば、英国のデータ保護を管轄する情報コミッショナー事務局ICO)が、「ケンブリッジ・アナリティカ」が使用したデータベースとサーバを調べるため、捜査令状を請求する方針を明らかにした、と報道しました。

疑惑は、2016年に行われた米大統領選時に、フェイスブック・ユーザーの心理的傾向を分析するためのアプリで23万人から情報収集し、そこから「友達経由で5000万人分のデータを収集したことにあると言われています。

また今週、米連邦取引委員会FTC)は、フェイスブック・ユーザー5000万人の個人データがどのようにして「ケンブリッジ・アナリティカ」の手に渡ったのか、「フェイスブックを調査すると発表しました。

このような一連の流れで、「フェイスブック」の株価は暴落し、わずか数日で8.4兆円の資産が吹き飛びました

ちなみに、「フェイスブック」は、有形資産をほとんど持っていない企業です。

この一連の報道のあと、もともと関係性が良くなかった米電気自動車メーカーの「テスラと米宇宙ベンチャーの「スペースX」のCEOイーロン・マスクが、「フェイスブックの公式ページを削除。ロイター通信によると、ドイツ金融大手「コメルツ銀行」なども「フェイスブック」への広告出稿を見合わせており、企業や著名人のフェイスブック離れ」が急速に進みつつあります。

しかし、「ケンブリッジ・アナリティカ」が利用していたSNSは、「フェイスブック」に限りません。

グーグル」や「ツイッターからのデータを表に裏に収集し活用しており、今後表面化する危惧から、表明こそしませんが、いくつかの企業はSNSからそっと広告を引き上げはじめています

特に「YouTubeへの広告掲載は、企業が意図しない映像、例えば、ISISやヘイトスピーチ映像の上に自社名がオーバーレイされるのは、明らかに逆効果でリスクも高いと考えています。

また、2ヶ月後から、欧州ではGDPR(EU一般データ保護規則=General Data Protection Regulation)がはじまります。

これは、欧州連合(EU)における新しい個人情報保護の枠組み、個人データの処理と移転に関するルールを定めた規則です。

これにより、いままでのようにSNSやアドネットワークで利用されていた情報を、シリコンバレーに集めることはできなくなります

かつて、独善的だった政府体制に反旗を翻し、民主化する運動を「xxxxの春」と呼びましたが、現在、「ケンブリッジ・アナリティカ」に端を発する「反SNS運動は、独善的だったシリコンバレー体制に反旗を翻す「インターネットの春」になるかもしれません。

このうねりは、もう少し続くと見られます。

image by: Dedi Grigoroiu / Shutterstock.com

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高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けするメルマガ「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

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