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接客のおもてなしは「お客様のために」を履き違えると行き詰まる

ホスピタリティという言葉は日本語でよく「おもてなし」と訳されますが、「お客様の手間を削る」ということだと解釈すると接客のレベルが高くなる、と言うのは無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさん。「お客様の手間を削る」という感覚がおもてなしのレベルを高くする、いったいどういうことでしょうか?

お客様の手間を削る感覚

“おもてなし”とか“ホスピタリティ”とか呼ばれるものの感覚のひとつには、「お客様の手間を削る感覚」があります。個人的に、この感覚を持っている人は、ホスピタリティのレベルが高いんじゃないかと思っています。

例えばですが、飲食店などで、お客様が注文をする際には、お客様が店員を呼ぶという行為が起きますよね。普通の店員であれば、お客様から「すいません」と声をかけられて、要望を聞きに行くのですが、ホスピタリティレベルの高い店員は、「すいませんを声をかけられる前に、お客様に気づいて、近寄っていくわけです。

これも、お客様が声を出して店員を呼ぶという手間をひとつ削ることができているということになります。だから、ホスピタリティのレベルが、普通よりも一段階高いと感じるのです。

同じようなことは、どんな業種でも、どんなお店でも考えられます。レジで釣り銭をお客様にお渡しする時に、お札の向きを揃えるかどうかもそうだと言えます。お客様がお札の向きを揃えてお財布にしまう方ならば、お札の向きが揃っていないと、向きを揃えるという手間がかかりますよね。そのことを理解していれば、事前にお札の向きを揃えておけば、お客様の手間をひとつ減らすことができます。

サインをもらうボールペンをノックして芯を出しておくのも、芯を出さないでお渡ししてしまうと、お客様は芯を出すという手間が発生するので、その手間を減らすことになるわけです。

たったひとつ、たった数秒のことだと思うかもしれませんが、それでも、お客様にとっては、何かしら手間をかける必要が出てきます。その手間を減らす感覚を持っている店員は、お客様の小さなストレスをなくせるので、ホスピタリティのレベルが高いのです。

だから、店側(店員側)は、お客様の手間になっていることは何かを、ちゃんと考えておかなければいけません。その手間をどんどん減らすことができている店や企業は、明らかにお客様から支持されていきます。

実際、以前は、電話予約でしか予約を受けていなかったのに、ネットで簡単に予約ができるようなシステムを導入した店は、お客様の支持を得られる場合が多いですよね。これも、

といったお客様の手間を省くことができているからです。何か質問など、問い合わせをする時に、チャットシステムで気軽に問い合わせができるのも、同じように、電話をかけるという手間を省くことができ、お客様から重宝されるということもあります。

もっとわかりやすいもので言うならば、ポイントカードがアプリになっているというのも、いちいちポイントカードを発行したり、ポイントカードを財布に入れて、店で出してという手間を減らすことができているから、お客様も楽なのです。これらも全て、お客様の手間を削るという感覚で、考えられているからこそ、支持されているのでしょう。

「お客様のために」という感覚で、ホスピタリティを考えると、「じゃあお客様のためにってどういうこと?」と、行き詰まってしまう人が多くいます。でも、そういう時は、「じゃあお客様の手間をひとつでも減らすにはどうすればいいのか?」という視点をもって考えると、案外簡単にできることが見つかります。それを実際にやることができれば、自然とレベルの高いホスピタリティにつながっていくのです。

あなたの店のお客様の手間になっていることは何でしょうか? その手間をひとつでも削るためには、どんなことができますか?

今日のおさらいです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 坂本りゅういち 【発行周期】 日刊

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