行政の後押しもあって、多くの企業において「働き方改革」への取り組みが定着してきました。それでも、まだまだ労働基準法が順守されていない職場は少なくありません。今回の無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では、休日の運用について、企業側の立場にたってわかりやすく解説しています。あなたはどこまで知っていますか?
御社では、従業員にきちんと休日を与えていますか?
前回の「1日16時間労働で休憩1時間のみ。これって労基法違反にならない?」では「休憩」についてお話しました。今回は、「休日」についてお話します。
「休日」については、就業規則や労働条件通知書等で必ず記載しなければならない事項です。そして、労基法35条で、(法定)休日は原則、1週間に最低1日は与えなければならないことになっています。
例えば、毎週日曜日とか毎月曜日など、曜日を特定するに越したことはありませんが、法的には、そこまでの必要はありません。就業規則等への記載については、「週1回与える」というような定めでもOKです。ただし、そのような定め方では、働く人にとっては、とても働きにくい会社ということになるでしょうから、従業員の募集や定着のためにも、休日は特定しておいた方が良いと思います。
ところで、「休日」について勘違いしている方も多いので、改めて説明しておきます。「休日」とは、簡単にいうと、労働義務のない日のことです。この「休日」は暦日、すなわち、午前零時から午後12時までの暦日24時間をいいます。
ですから、休日前に残業が長引いて、休日の午前零時を回ってしまった場合、その日は「休日」とは扱われません。別途休日を与えなければ、休日を与えていないこととなり、労基法35条違反となります。
※ ただし、多くの企業は、36協定で休日労働について労使協定を結んでいるでしょうから、その場合には法違反とはなりません。ちなみに、上記例では、残業が法定休日の午前零時を回ってからの割増賃金は、「休日労働1.35+深夜労働0.25=1.6割増」となります(午前零時前までは、時間外労働1.25+深夜労働0・25=1.6割増)。
夜間専門の仕事であっても、暦日で「休日」を与えなければなりません。勤務就業後からの継続24時間では、「休日」を与えたことにはなりませんから注意が必要です。ただし、工場などで三交替制が行われている場合の夜勤番のときには、就業後の継続24時間を休日として扱えます(そうでないと、三交替制がうまく回っていきませんから…)。
ここで、よく質問を受ける「休日の振替(振休)」についてお話します。
「休日の振替(振休)」とは、「あらかじめ」休日と決まっている日を労働日にして、その代わり、他の労働日を休日とすることです。要は、「あらかじめ」休日と労働日を入れ替えることです。
これは、「あらかじめ」が大切! 休日労働させた後で、労働日を休日に変更しても、それは振休にはなりません。この場合には、休日労働の事実は消えないので、休日労働として割増賃金支払が必要です。
正しい振休の場合には、休日労働とはならないので、休日労働割増賃金の支払いは不要です。ただ、振休を行ったことで、週の労働時間が40時間を超えてしまえば、時間外割増賃金の支払いが必要となります。
また、振休を行ったことで、「1週間に1回の休日」を確保できない場合には、4週4日の休日が確保されていなければなりません。
以上のように、「休日」といっても、突き詰めていくと結構奥が深かったりします。もし、御社の休日の与え方に疑問が生じたならば、一度、専門家に相談してみては如何でしょう?
「休日」は、従業員の健康や業務の生産性向上にも関わる大切な問題です。最近では、就職先を選ぶ際、「休日数」は重要な要件の1つとなってもいます。休日を如何様に与えるか? 真剣に考えていく必要があるのではないでしょうか?
以上を踏まえて、改めてお聞きします。
「御社では、従業員にきちんと休日を与えていますか?」
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