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正社員とパートに待遇の差がある理由を合理的に答えられますか?

短時間労働者のための法律「パートタイム労働法」。平成27年に改正パートタイム労働法として施行され、より公正な待遇になるよう企業に働きかける法律となりました。ところでパートと正社員で「待遇に差があってはならない」と、この法律で定められていることをご存知ですか? 今回の無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では、その改正パートタイム労働法を詳しく解説しています。

御社では、パート・アルバイトの労務管理、できていますか?

パートタイム労働法では、「1週間の所定労働時間が正社員より短い人」を“短時間労働者”と呼びます。ですから、パート・アルバイト・嘱託・契約社員等々、呼び方は関係ありません。1週間の所定労働時間が少しでも短ければ、皆“短時間労働者”として、この法律で保護されます。逆に、正社員と同じ所定労働時間であれば、たとえパートと呼ばれていても、この法律の保護は受けられません。

これから、パートタイム労働法のポイントをいくつか紹介していきます

1.短時間労働者の待遇の原則

御社では、正社員とパートとの待遇に違いがあると思います。たとえば、正社員は月給制、パートは時給制。正社員はボーナスあり、パートはボーナスなし。正社員は昇格制度があり、パートにはない、等々。

これらが直ちに違法となるわけではありません。正社員とパートとの待遇に違いがあるのは当然です。しかし、その違いが、単に短時間労働者であるからという理由では、違法と判断されかねません。法8条で、「待遇の差が不合理であってはならない」とされているからです。

ですから、パートと正社員との待遇の差がどうして生じるのか、合理的な理由を説明できなければなりません。

なぜ待遇の差が生じているのか、御社でも、あらためて考えていただきたいと思います。その待遇の差は、本当に合理的なものなのか? もう一度、確認・点検してください。

いま話題の「同一労働同一賃金」ですが、これも「均等・均衡待遇」を定めたものになります。「全く同じ仕事・全く同じ期待度であれば、賃金に差があるのはおかしいよね! 仕事内容や期待度等に違いがあるなら、それに見合った賃金・待遇にすべきでしょ! バランスが大事!」というもの。

この「均衡(バランス)」については、裁判所が判断します。裁判での結果を予想しやすくすることで、不合理な待遇差の是正を求める労働者が裁判で争えるように、その根拠となる法律を整備することが立法の目的です。

2.正社員への転換推進措置

会社は、パートなどの短時間労働者が正社員になるためのチャンスを与えなければなりません。これは、絶対に正社員になれる制度というわけではありません。あくまでも、チャンスを与える制度を設ければOK!

具体的な制度を挙げると…

等々。この制度は、いきなり正社員ということでなく、ステップを踏んでいくことも認められています。たとえば、パートからフルタイムの契約社員に転換し、その後に契約社員から正社員へステップアップする制度であってもOKです。ただ、実際には転換することができないような制度を作っても、正社員への転換推進措置を講じたとは判断されません。

以上を踏まえて、あらためてお聞きします。

「御社では、パート・アルバイトの労務管理、できていますか?」

image by: Shutterstock.com

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【著者】 飯田 弘和 【発行周期】 週刊

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