よく「会議の時間は無駄だ」などと言われますが、果たして本当に会議はすべて無駄なのでしょうか? 無料メルマガ『販促アイデアと経営活性化』の著者・前沢しんじさんは、30年間で500回以上の会議を主宰した経験をもとに、「いい会議の作り方」をメルマガ内で明かしています。
教育会議で若手を育てる
筆者は、同一の企業で30年間に500回以上の会議(ミーティングは別)を主宰してきました。
店長会議を中心にしながら、部門会議、全員会議、新商品開発会議、教育会議、女性会議など、会議を使って全員の意志統一を継続的に行いました。
そのスタイルも、現場でやったり、立ち話的にやったり、仕事を終わってみんなで車座になって話したり、飲み会をやったり、テーマを絞ってその場でやったり、若い社員を集めてやったり、会議というよりミーティング形式のものもどんどん実施しました。
「勉強会」を教育会議として実施した具体例
会議は最高の教育機関でもあります。入社1年程度までの社員を定期的に集めて、先輩社員が経験談や仕事感、また実際の業務の心構え、技術的なことを語ることによって「OJT」としても機能します。ここでは前沢しんじが企画進行した、先輩社員による教育会議を取り上げます。
ベテラン店長(精肉チェーン店)による講義
≪テーマ…仕事に対する考え方、取り組み方、進め方≫
- 今後は何ランクも上げていかなければ生き残れない時代だ。のんびりかまえていてはいけない。頭で思っていることと現実はちがう。何でもやってみてはじめてわかることが多い。まずやってみることだ。
- オンリーワンを目指そう。よそが真似できないことをやろう。強みをどんどん前面に出すことだ。
- こまめの積み重ねが大きい。例えば冷蔵庫管理の場合でも、肉にタオルをかけるという簡単なことで肉質の劣化ロスが防げ、年間にすると大きな利益になる。これで肉の劣化が3日から5日に伸びた。またスライサーからこぼれる肉にしても、受け皿をつけるだけでロスが防げる。そういう細かい積み重ねで粗利が格段に向上した。できることは何でも考えてやってきた結果だ。会社全体できめ細かくできるようになったら、まだまだいい会社になる。ちょっと気をつけたら防げるロスがいっぱいある。
- 人に聞くのもいいがまず自分で考えてやってみる。体験するのが一番効果的だ
- 店をお客様の立場から見て改善してゆく。基本はお客さん中心だ。その地域のお客さんの要望を生かすことが大事。
- 仕事はいやいややったらダメだ。目標を持つことが自分を伸ばす秘訣だ。自分の目標を決めよう。目標があるとそのためには何をするかと考えなくてはならん。仕事はそのくり返しだ。私自身毎年目標を作っている。
- ミスをしないこと。それがプロだ。気をつければ100%改善できるミスがある。
- 仕事は一人ではできない。回りのことも考えよう。回りを生かせば自分も生きる。
- 仕事の勉強はとにかく体験すること。体験して失敗を減らしていく。その繰り返しだ。
- 今お客様は変わってきている。我々は常に勉強しなければならない。答えはお客様が持っている。どんどん聞き出そう。お客様に教えてもらおう。
大事なこと
現場でたたき上げの幹部が話せば、実のある話ができる。頭だけのコンサルタントには無理なのです。最高のコンサルタントは社内にいます。
テーマを1回ごとに決めて、それにふさわしいベテランを講師にします。今回のような「仕事に対する考え方、取り組み方、進め方」といった基本的なことから、「技術に関すること」、「計数に関すること」、「商品知識に関すること」、「業界情報に関すること」、「営業に関すること」、「接客に関すること」、あるいは社長が「自分が創業したころの話」や、これまでの人生経験などを語ってもいいでしょう。
社内で培った、生きた経験を若手に伝えていく。それが「教育会議」です。それはまた社風を作っていくことにもなります。優れた人材は社内にいます。ぜひ活用してください。
結果
若手を集めて2週間に一度勉強会を続けましたが、結構熱心に取り組んでくれました。その成果や、あるいは教育の効果というものはすぐ出るようなものではありませんが、社長の息子(3代目)と若手社員のコミュニケーションが円滑になったことや、その後の会議での発言が積極的になったことなど、意識改革は確実な効果として実感しました。
大事なこと
直接顔を合わせて話す、話を聞くという会議ならではの相互コミュニケーションは、電話やメールにはない特長です。テーマを決めてそこに集中すれば、話が進みやすく、情報共有が正確で速やかです。会議をうまく活用すれば、何かが動き、何かが形になっていきます。
いい会議してますか?
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