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部下は見ている。若手にご馳走しない上司には、誰も付いてこない

部下が「仕事を辞めたい」と相談してくるときには往々にして既に離職の意思は固まっているものですが、なぜ、このような事前に相談もないケースが発生するのでしょうか。今回の無料メルマガ『がんばれ建設~建設業専門の業績アップの秘策』では著者の降籏達生さんが、何より必要なのは日頃からの「社員の連携」で、そのためには時として上司が自腹を切る会食を設定するなどして「人望」を集めておく必要性があることを、元プロ野球監督の野村克也氏の言葉等を引用しながら説いています。

部下との食事は自腹で払おう

このところ、社員の離職をいかにして防げば良いかという相談が多く寄せられます。社員の離職を防ぐためには、上司が部下の話を聞く機会を増やすことが大切です。

「辞めたいです」と言われてから踏みとどまらせることは難しいことです。しかし部下がちょっと悩んでいるときに気軽に上司に相談できる関係ができると未然に問題を解決することができます

そのためには上司と部下の人間関係が良くなければなりません。人間関係をよくするためには食事をすることが一番でしょう。

そんな話しを建設会社ですると「部下と食事する費用は会社負担でしょうか、それとも上司の自腹でしょうか」という質問を受けることがあります。

私はそのような経費は会社負担してもよいと考えています。そのことで部下が元気に働いてくれるきっかけになるとしたら有効な経費です。

一方、部下との食事費用がすべて上司の自腹(自費負担)という建設会社があります。その会社の上司に「すべて自腹だと負担になりませんか」と聞いたところ次のように話されました。

「私も若いころ、よく上司に食事をごちそうになりました。あまりにおごってもらえるのである日『たまには私に食事代を払わせて下さい』といいました。すると上司が次のように返答されたんです。

『私も若いころ上司にずいぶんごちそうになったものだよ。たまには払わせて下さいと上司にいうと『そのお金は、将来部下との食事代に使ってくれ。俺も上司からそう言われたんだ』と言われたんだ。だから君も部下ができたら食事をごちそうしてあげてくれ』と」

元プロ野球選手、監督の野村克也さんは『運 「ツキ」と「流れ」を呼び込む技術』にて次のように書かれています。

人柄がいい監督というのも、チームにいい作用を及ぼすことがある。早い話が、監督の人柄のおかげでチームが勝つことがある。「この監督を勝たせてあげたい」選手たちに自然にそう思わせる監督の人柄が、チーム力となって優勝するということがある。さほど指導力があるようにも見えないし、卓越した野球理論や戦術を備えているというわけでもない。

 

ただいつも穏やかな顔でベンチに立っている。たったそれだけなのに、その人の存在感が選手に大きな力を与えているのだ。

 

そして、その反対にケチな人というのは、人望がなくなる。プロ野球の世界は、高い給料を得ている人が多いところだというのに、昔もいまも、意外なほどケチな人が多い。私の現役時代にもそういう同僚がいたし、各球団にもケチで有名な人たちがいた。みんな立派な成績をあげて地位も名誉も金もあるはずなのに、なぜかケチなのだ。

 

たとえば、私の南海時代の先輩の中にも「ミスターケチ」とでも呼ぶべき人がいた。名前も実績もある選手なのに、絶対に他人にものをあげたり、ごちそうしたりしない。反面、人からものをもらったり、ごちそうしてもらったりすることは大好きだった。

 

その後も、他球団の選手を見て、「あんなにいい選手なのにチームで人望がないのはなぜだろう」と思っていたら、やはりケチな人だというのを知って、貧乏な家に生まれ育った私でさえ「ケチはよくない」と肝に銘じた。プロ野球選手は、遠征先などで、みんなで連れ立って焼き肉を食べに行ったり、さまざまな料理屋さんに出かけたりすることが多い。

 

体が資本の職業だから、みんなよく食べる。そういうときは、高給取りの先輩たちが若い選手たちを連れていく場合が多いが、たいてい先輩たちが何人か持ち回りで自腹を切るものだ。

 

「でも、あの人が払っているのは一度も見たことがないんですよ。他の先輩が払ってくれることはあっても、あの人が払ったことはありません」

 

後輩たちは、そういうところをよく見ているものだ。「きょうは俺が払うから」とだれが言うのかちゃんと見ている。

上司と部下が賑やかに笑顔で食事をするような社風を作りたいものです。

image by: Shutterstock.com

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ダム、トンネル等大型建設工事の参画経験を有し、テレビ、ラジオ、新聞に出演中の降籏達生さんが、「儲かる」「身につく」建設(土木、建築、設備、電気、プラント)関連情報を厳選。建設業の業績アップ、技術者育成、技術提案、原価低減ネタを紹介します。

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【著者】 降籏達生(建設コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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