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なぜ宅配ロッカーのあるタワマン住人は受取りに苦労するのか?

ネット通販が当たり前のように使われるようになってきた昨今、注目を集めているのが「宅配受取りシステム」が手厚いマンションなんだそうです。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、その全容を紹介し今後のマンションのあり方について論じています。

宅配受け取りシステムが重要ポイントに

こんにちは! 廣田信子です。

築10年ほどのタワーマンションに暮らす知人が、荷物の受け取りに苦労している…とぼやきます。共働きで子育て真っ最中なので、インターネット通販のヘビーユーザーですが、生鮮品や冷凍ものは、宅配ロッカーに入れられないし、自宅から宅配ロッカーまでかなり距離があるので、重い荷物を宅配ロッカーに入れられると、それを自宅には運ぶのもたいへんで、時間指定で受け取ろうとすると、休日や夜の幅のある時間帯をずっと縛られていることになり、ストレスが溜まる…なんとかならないかな…と。

夏休み、小学生の子供が自宅で留守番していることもあるけど、宅配のように見えても、絶対にインターホンに出て鍵を開けないようにきつく言っていると言います。荷物の受け取りは、ドアを開けなければならないので、親としては心配なのです。昔のように、荷物が届いたら受け取るのが留守番している子供の役割…ではなくなっているのです。

で、最近、マンションでも、個別宅配ロッカー付きのマンションが売り出されることになりたいへんな人気だといいます。三菱地所レジデンスが2019年に文京区で引き渡し予定の物件では、全戸、玄関横の壁に個別宅配ロッカーが埋め込まれるといいます。横50センチ、高さ15センチ、奥行き60センチで、飲料水の段ボールから、ゴルフバックまで入ります。

提携するヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の大手3社は、ICカードを使って建物内に入ることができ、ロッカーを開錠して荷物を入れることができます。ロッカーの開閉履歴は、その都度、電子メールで住民に伝えられます。で、この3社以外の荷物は、これまで通り共用の宅配ロッカーで預かるしくみです。

今日のモデルルームオープンを前に、1,000件を超える問い合わせがあり、宅配ロッカーに強い関心を持っている人が多いといいます。この話を、荷物の受け取りがストレスという知人に話したら、引っ越したい~と言うんじゃないかな…。

で、これまでほとんど宅配ロッカーがなかった戸建て住宅でも個別宅配ロッカーの設置が進んでいるといいます。留守中に受け取れるのはもちろん便利ですが、在宅でも、ドアを開けずに荷物を受け取れるというので、利便性と安全性の観点から急速に取り入られています。もう、住宅に個別宅配ロッカーの設置は当たり前の時代が、すぐそこまで来ていると感じます。

戸建ての場合は、中古住宅でも、リフォームの時に新しい設備を導入できますが、マンションは、途中から導入するのが難しいという悩みがあります。玄関脇に宅配ロッカーを設置できる可能性がある間取りは、マンションではなかなか見当たりません。10年前に最新設備満載で造られたタワーマンションも、すでに設備が古くなり、簡単には変えられないのです。

また、個別宅配ロッカーではなく、マンションで荷物をまとめて受けとり、仕分け・各戸への配送システムを持つ物件も出ています。2020年完成予定の三井不動産レジデンシャルの横浜のタワーマンションです。ここは、大規模にも関わらず、売り出し8か月で完売しているといいます。荷物の受け取りシステムが、マンションを選ぶ重要なポイントになってきていることは間違いありません

利便性と安全性確保の荷物受け取りの切り札が、人の手による仕分けと配送…というのは、なんだか時代の流れに逆行しているようにも思いますが、これなら、大型既存マンションでも導入可能と言えます。時代の流れに合わせて、つねに魅力的なマンションであり続けるのは、なかなかたいへんです。

そして、時代にはつねに動いています。10年後には、まとめて受け取った荷物を在宅時間に合わせて、ロボットが自宅まで届けくれる…そんな姿も目に浮かびました。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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