読者からのさまざまな質問に回答してくれる、メルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』の著者で人気コンサルの永江一石さん。今回は、仕事で上海によく行くという男性から「日本はなぜキャッシュレス化が他国より遅れているのか?」という質問です。確かにキャッシュレス化が進めば、外国人観光客などとのやり取りもスムーズになりそうですが…。永江さんが考える日本のキャッシュレス化を阻む「たったひとつの原因」とは?
日本でキャッシュレス化が進まない理由は?
Question
いつも楽しく拝読させていただいてます。日本はキャッシュレス化が他の先進国、世界都市より遅れていると感じます。キャッシュレス化(カードでなく特にスマホ決済)が浸透するためには、何が必要なのでしょうか。
もっと最先端では、体にチップを埋め込むというのもありますが、そこまではまだ望みません。せめてスマホ決済ができればと思っています。
「LINE Pay」のサービスは浸透するのでしょうか。できれば、中国のアリペイやWECHATPAYではなく、純国産のサービスが普及して欲しいと願っています。
LINEは純国産でしょうか?いろいろな記事を見てもよくわかりませんでした。
永江さんのご見解を伺いたいです。
東京都内でも、カードすら使えないという店が多く、歯がゆさを感じてなりません。外国人観光客だけでなく、日本人にもニーズはあるはずです。個人的に上海に滞在することが多いのですが、スマホのみのキャッシュレス文化が根付いていて、便利で仕方ないです。都心部の普及率は98%だそうです。どこかの統計で見ました。
上海で現金が必要なのは、物乞いとスーパーのカルフールのカートを借りる時くらいです。(物乞いすらQRコード提示している人もいると聞きますが、見たことはありません)屋台・出前・シェアサイクル・ガチャガチャ・自販機・個人間の支払いなど、あらゆるものがQRコードをスマホで読み取って決済可能です。
メニューがなく、スマホ内でメニューを見て選んでスマホで決済というレストランもあります。日本もなんとかならないでしょうか。
永江一石さんからの回答
おっしゃる通り、日本のキャッシュレス化は非常に遅々とした歩みであり、LINE Payも物凄く浸透することはないと思いますね。理由はたった一つで、以前ブログにも書いた通り経営トップがリテラシーの低い高齢者ばかりだから。
中国の起業家は若く柔軟な人が多いですが、日本の社長の平均年齢は60歳を超えています。70代もかなり増えました。どんどん高齢化しているわけです。
60代になるとITリテラシーががぐんと落ちるエビデンスがあるため、SlackなどのビジネスICTツールはおろか、ソーシャルの利用率すら約3割なんです。
いくら現場がキャッシュレス化を推しても、社長が使えない、理解できないものを導入するはずがないので全く浸透してないのだと推測します。すかいらーくがカード決済可になったのだって最近ですし、スシローはいまだに不可・・こういう老害が経営者である限りいつまで経ってもキャッシュレス化は進まないでしょう。
解決策としては、あと10年ほど待てば今の団塊の世代がこぞって引退するので、そこからですね。日本の保守的な経営者はまるで危機感がないですが、経営者の退職制度でも作らない限り中国並みのキャッシュレス文化を浸透させるのは難しいと思います。
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