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中国で金融業者が相次ぎ倒産。泣き寝入りしかできぬ市民の阿鼻叫喚

銀行金利を遥かに上回る利率を売りに中国で急速に広まったピア・ツー・ピア(P2P)金融が続々と破綻、中には日本円にして数千万の被害に遭った投資家も存在し、大きな社会問題となっています。台湾出身の評論家・黄文雄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、P2P金融が立ち行かなくなった理由を紹介するとともに、抗議集会に参加しようとした被害者に対する中国政府の非道な扱いについても記しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年10月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国】ハイリスク金融の破綻続々の中国、ついに景気悪化報道も規制

中国でネット金融P2P業者が相次ぎ倒産 7月にすでに131社

独裁色を強めている習近平体制のほころびが経済面で露呈してきたようです。中国で大流行している「P2Pピア・ツー・ピア金融プラットフォームの倒産や閉鎖が相次いでいます。

これは、インターネット上で中小企業や個人である借り手と一般投資家を仲介する融通事業で、より多くの貸し手を呼び込むために、銀行の預金金利よりはるかに高い利回りを掲げ、なかには10%や20%の利回りを提示する業者もいるといいます。しかし、うまい話には落とし穴があるのが世の常です。当然ながら、一部の業者は市民の資金をだまし取る詐欺集団でした。

P2Pについて、もう少し詳しい説明を以下、記事を引用します。

P2P金融は、個人投資家から資金を集め、小規模な企業や個人の借り手に融資して高いリターンを約束するもので、中国では2011年、ほぼ規制のない状態で始まって盛んになった。ピークとなった2015年には、こうしたビジネスが約3,500社を数えた。

 

だが、中国政府が国内の肥大化したノンバンク融資セクターを含む債務バブルの抑制と経済のリスク低減を目指すキャンペーンを開始した後、投資家が資金を引き揚げ始めたことにより、ほころびが目立つようになった。

P2P金融という分野を開拓したのはレンディングクラブ(LC.N)などの米国企業だが、大規模な拡大がみられたのは中国である。資金調達に悩む中小企業を対象とした政府の金融イノベーション推進に企業がただ乗りした格好だ。

 

業界の拡大があまりにも急だったため、規制当局も追いつけなかった。P2P金融サイトの多くは、商業銀行にとってはリスクが高すぎるとみなされかねない顧客に融資している。融資が焦げ付きそうな場合に資金を即座に引き揚げたいという投資家が多すぎると、流動性危機につながる場合がある。

 

また、露骨な詐欺の例もみられる。最も有名なのはe租宝で、90万人以上の投資家を巻き込む76億ドル(約8,400億円)規模の、いわゆる「ネズミ講」詐欺である。

 

中信証券による7月の調査報告では、中国国内の株式市場に上場している企業100社超がP2P金融ビジネスに関与しており、そのうち32社はP2P金融企業の株式を30%以上保有している。

焦点:中国「金融難民」の怒り爆発、P2P業者の破綻急増

つまり、ハイリスク・ハイリターンな投資として、一般投資家に爆発的な人気を得て急速に中国国内で広がりました。その後、今年夏ごろまでは参入業者もどんどん増え、投資者も増え、流動資金も潤沢にありました。

そこに水を差したのはほかならぬ中国政府でした。以下、記事を一部引用します。

香港紙・香港経済日報によると、7月2日から16日までの14日だけで、国内131社のP2P業者が突然閉鎖・倒産した。一部のP2Pプラットフォームの経営者は貸し手の資金を持ち逃げ、行方をくらましている。投資家に約1,000億元(約1兆6,300億円)の被害をもたらした。資金回収の見込みがほぼないとみられる。

 

P2P業者の大半は北京、上海、深センなど大都市に集中している。

 

また同紙は、5月以降に債務不履行(デフォルト)や倒産となった業者のうち、国家資本のP2P金融会社も多数あったと指摘した。

 

主因は、金融リスクを回避するため、中国当局によるデレバレッジ(債務圧縮)政策、理財商品業界やP2P金融などへの規制強化、国内金融市場における流動性の低下が挙げられる。

中国でネット金融P2P業者が相次ぎ倒産 7月にすでに131社

投資した資金を回収できないと知った投資者たちは、SNSで声をかけあい抗議集会を開こうと北京に集合しましたが、情報を事前にキャッチしていた警察に待ち伏せされ、抗議集会が予定されていた場所についた参加者は全員強制的にバスに乗せられ収容所に運ばれたそうです。

中国政府は、少しでも秩序が乱されることで、政府への不満が表面化して集団抗議に発展することを最も恐れています。たとえ資金を持ち逃げされた被害者たちが、政府への陳情のために集会を開こうとしていても、その機会は絶対に与えてはいけないのです。当然ながら、中国国内のマスコミもこのことは知ってて知らぬフリです。

中国人はだんだんと豊かになってきており、休みには海外旅行を楽しむようになりました。少しでも資金に余裕があれば、投資して増やそうとする。中国のバブル経済の様子が、このP2Pの件でもよくわかります。

抗議に参加しようとした人々の多くは、指紋と血液サンプルの採取を強制され、北京への旅行を禁止された。130万元(約2,100万円)の損失を経験した上海のP2P投資家によれば、抗議を前に北京行きの列車から排除された人さえいたという。彼女は身の安全を懸念して、氏名を明かすことを拒んだ。

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このように、政府が人々の頭を押さえつけ声を上げることさえもできないようにする。被害にあった投資家のなかには、日本円にして1,000万円単位での損害を被った人も多くいます。彼らの怒りや不満は、マグマのように中国内に蓄積し、活火山のようにいつ爆発するかわからない状態にあるのです。

利に聡い中国人は、儲かると聞けば怪しい投資にもすぐに手を出しがちです。これまでもシャドーバンキングが貸し出したリスクの高い債権から組成された理財商品を中国人が購入し、その資金が中国経済を回してきました。もしもこの仕組が崩壊すれば、300兆円ともいわれる不良債権が発生すると言われています。

数字の粉飾と、作られた不動産バブルによってこれをなんとか維持してきましたが、ここに米中貿易戦争という、自国だけではどうにもならない事態が発生しました。もはや偽りの経済繁栄を継続することは不可能となりつつあります。

そのため、中国では経済情勢について悲観的に報道するメディアへの取締を強化するようになりました。つまり、中国では景気悪化予測を報じることが禁じられるようになったのです。

中国、メディアの締め付けを強化 経済悲観論が原因か

米中貿易戦争は冷戦の後につづく「戦争」であり、サイバーウォー以上の米中対立です。一部では、これはトランプ大統領による瞬発的な摩擦だという見方もありますが、一方では米中「百年戦争」だという声もあります。

この経済戦争が表面化してからの中国経済は大混乱で、株が大暴落しています。逆にアメリカは好景気です。どちらに分があるかは明白です。

また、米中貿易戦争については、トランプ大統領一人で決められることではありません。アメリカ議会が対中姿勢の厳格化に賛成しており、アメリカとしての覚悟を物語るものです。

これは実に中国の弱みに付け込んだ戦略です。軍事はカネになります。中国の対外戦略はカネが最優先されることから、アメリカはカネで中国をゆさぶっているのです。

米中貿易戦争が長期戦になれば、得するのは日本や台湾または欧米の企業などです。中国政府は、果たしてチャイナマネーがアメリカに流出するのを阻止できるでしょうか。

image by:weltreisendertj / Shutterstock.com

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年10月2日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込648円)。

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