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過信するな。「オートロック」のタワマンに不審者が侵入できた訳

セキュリティの面で安心を謳うタワーマンションにもかかわらず、オートロックの入口から不審者が侵入してしまったという「事件」が発生したそうです。マンション全体の安全を揺るがすことになってしまった、その「事件」の問題点は何だったのでしょうか? マンション管理士で無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者・廣田信子さんがその事件について詳しく解説。さらに「オートロックを過信しすぎないでほしい」と警鐘を鳴らしています。

オートロックを過信する盲点

こんにちは! 廣田信子です。セキュリティ万全のはずのタワーマンションで、ものすごく古典的? な問題が発生しました。深夜のオートロックの入り口から不審者が侵入したのです。普段あまり人の出入りが多くない自動ドアのサブエントランスから。

侵入方法は、自動ドアのセンサーの盲点をついた古典的な方法です(悪用されるといけないので、具体的には書きませんが…)。今は、その盲点が改良されていると聞いていたのですが、そのマンションのセンサーは旧式だったのです。

で、侵入者が向かったのは集合郵便受け。ダイヤル錠が掛かっているはずの箱の扉を掛け忘れていて開くところがないか全部チェック。そうすると、面倒なのでダイヤル錠を掛けていないところがかなりあって、中から郵便物を盗る…じゃないのです。さらに…そのダイヤル錠が掛かっていない箱のうち、2つになんと自宅の鍵が入っていたというのです。それが盗まれたのです。

え~と思いますが、郵便受けを鍵の受け渡しに使って封筒に入れた鍵を密かに置く…実は、これもありがちなことなのです。でも、だったら、ダイヤル錠ぐらい施錠してよ…ですよね。ちょっとした気のゆるみと、オートロック内という安心からでしょう。

それがどうしてわかったかというと、深夜に郵便受けの周辺に長時間いる人がいることをたまたま見かけて不審に思った居住者から報告があったからです。防犯カメラを確認することで、その犯行が明らかになったのです。そうじゃなければ、誰も気が付かなかったかもしれません。鍵を入れていたお宅だけが、あれ、おかしい…とだいぶたって気づき、家族の中で、誰か持ってない?どうしたんだろう?で終わってしまったかもしれません。

今回、防犯カメラに顔は写っていても、誰も見覚えがない顔で、警察に届けても、まだ犯人は見つかっていない…と。で、鍵は盗まれたけど、自宅に泥棒が入る前に気がついたので、盗まれたお宅は、至急、鍵を取り換えて一件落着…とはなりません。自宅の鍵は、オートロックの入り口の鍵も兼ねているので、盗んだ鍵で、犯人はいつでも共用部分に堂々と侵入できるのです。セキュリティ上大問題だということで、住民の中で、大騒ぎになっているといいます。

これも昔から悩ましい問題で、自宅の鍵をなくす、盗まれるということは、よくあることです。その鍵が悪用されたら、オートロックの意味がない…と。かといって、何百戸もあるマンションで、誰かが鍵をなくす度に、全戸の鍵交換というわけにもいきません。

そうしたら、オートロックだから安全だと思って自宅にいるときは鍵を掛けていないのに、これじゃ、鍵を掛けなくちゃいけないじゃないか…という居住者がいて、え~自宅の鍵掛けないの~と理事もびっくりです。オートロックだって、いろいろな人が入ってくるんだから、自宅の鍵は必ず掛けてよ…ですね。

今回のできごとで、オートロック内だから…と鍵の扱いや施錠に意外に甘くなっていることがわかりました。オートロックを過信しないことはもう一度注意をした方がいいと思いました。

他のマンションでも、そっとオートロック内に入って、郵便受けの鍵がかかっていないところ、自宅を施錠していないところを物色している人がいるかもしれません。

といいつつ、高齢化が進んで、鍵をなくす、鍵を開けられないというトラブルも多くので、鍵がない、鍵が開かない心配から鍵の扱い、施錠にあまくなっている事情もあるので、管理組合としては、なかなかなやましいです。

同じ日に、家にいる認知症の高齢者の方が、なぜかチェーンを掛けてしまって、その外し方がわからなくなって、外出から戻った家族が中に入れなくて、外からチェーンを切断してようやく中に入った…という話も聞きました。そういう事情があるところでは、鍵が開かないことの方が大問題なのです。

自宅の安全は、オートロックを過信しないで、自宅の施錠で守る…という基本をもう一度確認したいと思いました。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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