MAG2 NEWS MENU

人気作家が証明。江戸時代の父親は皆「育メン」だったという事実

あたかも新しい潮流であるように受け止められがちな「育メン」。しかし作家の石川真理子さんによれば、「育メンは江戸回帰現象」なのだそうです。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』には、そんな石川さんの新刊の一部が紹介されています。

武家の教育書に学ぶ『武士の子育て』

『女子の武士道』『女子の教養』がメディアでも話題を呼んだ作家・石川真理子氏。米沢藩士の娘だった祖母から、武家教育を授かった著者による、真の家庭教育の在り方を問う一冊武士の子育て』が発刊されました。

家庭教育の立て直しが急務である現在、徳性を磨き上げる武士の教育は恰好の手本とすることができる、と著者は説きます。江戸時代中期の経世家・林子平が記した武士の教育書父兄訓』を繙きながら、父親とは、家庭教育とはいかにあるべきがつぶさに語られています。

孝・悌・忠・信・勇・義・廉・恥は人の土台となりと知るべし。

人心は活物であると受け入れよ。

「物知り」になるような学問はさせるな。

など、本書から子供の徳性を養うための深い知恵が得られるはずです。

人の善悪や、誠実か不誠実かということは、生まれつきによるものではない。ひとえに父兄の教訓・育て方によるものだ。

父性の喪失が叫ばれる現代にこそ、子平のこの言葉は重く受け止められるべきでしょう。本書の中から「育メンは江戸回帰現象という興味深い一文をご紹介します。

育メンは江戸回帰現象

その題名からもわかるように、『父兄訓』は、もっぱら父親向けに書かれています。江戸時代は父親向けの教育書がずいぶん出版されており、山鹿素行の『父子訓』なども、その代表といえます。

このように父親向けの養育書が出版されたことからしても、江戸時代の男性は育児に積極的だったのでしょう。あるいは、積極的に育児をするようにと奨励されていたとも考えられます。

幕末に来日した外国人の記録には、「江戸の街を歩くと子供を抱っこした父親にしょっちゅう出くわす」「日本では父親が子供の面倒をよく見ている」といった内容が見られます。また、幕末の下級武士・渡部勝之助(桑名藩士・勘定人)の『桑名日記』や『柏崎日記』を紐解くと、まめまめしく子ども達を教育する様子が描かれています。

江戸時代は庶民のみならず武士階級でも、父親が育児に積極的だったことが窺い知れます。それを思えば、いわゆる「育メンは新たな潮流どころか江戸時代への回帰といえるでしょう。

働く女性が増えた今、父親の育児参加は母親にとってもありがたいことです。しかし一方で、現在の男性が父親として子供を教育しているかどうかという観点に立つと、これで大丈夫だろうかという不安や疑問を抱きます。なぜなら、どうしても子供を甘やかしているようにしか見えない場合がしばしばあるからです。

忙しい中で子供の世話をするのは大変です。しかし、食事の世話や送り迎えなど子供と接する限られた時間を利用して、人として大切なことを教えたいものです。

何気ない日常の中で教えられたことは思い出とともに心に深く刻まれます。ただ何となく流されるように、世話することにのみ終始するようでは、もったいないというべきでしょう。

image by: Shutterstock.com

致知出版社この著者の記事一覧

京セラ・稲盛和夫氏、サッカー日本代表・岡田武史氏など、人間力を高める月刊誌『致知(ちち)』に登場した各界一流人の名言や仕事術など、あなたの「人間力アップ」に役立つ情報を配信中。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 致知出版社の「人間力メルマガ」 』

【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け