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もんだらダメだ。科学者が解説する使い捨てカイロの正しい使い方

現代人なら誰もが一度は手にしたことがあるであろう使い捨てカイロですが、正しい使用法をご存知ない方も案外多いようです。今回の無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』では、貼る箇所ややけどの危険性、使い終わったあとの処分方法などを、著者で科学者のくられさんが詳しく解説しています。

カイロの使い方

懐炉(カイロ)。貼るタイプのもの、ポケットに入れるモノ、足裏に貼るやつとかいろいろありますが、貼り方次第では低温やけどや熱中症、逆にぜんぜんあたたまらない…なんてことになります。今回は意外とちゃんとしてない人が多いカイロの使い方」です。

白金触媒カイロや湯たんぽはとりあえずおいといて、今回のは薄い使い捨てカイロです。

使い捨てカイロはもともとお菓子の包装につかう中の酸素除去剤として作られたものの応用です。中に鉄粉が入っておりそれが酸素を吸って酸化鉄になるときに発熱をするのです。そのままだとあっというまに反応してしまうので反応阻害剤としてポリマーや塩類が入っているものもあります。

まずカイロをもむ人がいますが最近のものはむしろダメです。昔々のものはもむとよく暖まりましたが、今のものはもむことで中の構造がかわり性能が劣します。

肌に直接貼って良いと書いてある商品以外は絶対に布越しで貼りましょう。また就寝時など異常に気がついて対応できない時は使用しないようにします。あと当然酸素を奪うのでテントの中+寝袋とか密閉した環境だと酸欠の危険性(大量に使わないとおきませんが)もあると知っておきましょう。

貼る場所は基本的に体の内側で太い動脈が近い場所が暖まります。

● 解剖、生理、栄養の覚え書き 全身の動脈

全身の動脈系を見るとボディ全体・脇・内もも・首さえあたためればOKな感じです。ただし首は脳直結なので過剰に温めると具合が悪くなりやすいので注意が必要です。

自分は極寒地にいくときは、厚めのフリースなどの上に両腹に2枚、両脇に2枚、小さいものを両手首に貼ります。さらに寒い場合は胸元に貼っておきます。また足の裏に貼るタイプを両足に使います。

基本的に冷える部分を暖めるより、血の循環の多い部分をあたためて供給される血液自体を暖めてあげると循環自体がよくなって、全部があたたかくなります。

もちろんあくまで使用例の1つなので誰にでも正解ではないので、かゆみや異常がみられたら即座に剥がして対処できるようにしておくことが大事です。低温やけどは非常に治りがわるく難儀します。

ちなみに使用後のカイロですが、かなりの鉄を含むちゃんとした資源です。使用済みカイロ使った鉄泥団子を海に投入して、鉄イオンを水中に増やし藻場の再生を促するなどの利用法が研究されています(どこかの理論不明な自称有用微生物群の話と似てますが、こちらは別物ですw)。

また、家でもガーデニングなどにも使用済みカイロ1袋を10L程度の水であらってその水ごとまけば中の塩も気にならない程度に薄まるので庭木の土壌鉄分を増やし植物の育成に役立てることができますが、どうせ余るので自治体のガイドラインをよく見て捨て方をみておきましょう。

● アリエナイ理科ポータルのこの記事をお読みになりたい場合は、こちら

image by: Shutterstock.com

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シリーズ15万部以上の不謹慎理系書「アリエナイ理科ノ教科書」著者。別名義で「本当にコワい? 食べものの正体」「薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬 」などを上梓。学術誌から成人誌面という極めて広い媒体で連載多数。

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【著者】 くられ 【発行周期】 週刊

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