MAGMAG_03 

働きたくない男が「隠居」に救われた話。年収90万東京暮らしのリアルとは

2019.02.27
by gyouza(まぐまぐ編集部)

約6年間、東京郊外の小さなアパートに住み、週に2日間だけ働いて年収90万円の「隠居生活」を実践していたという男性をご存じでしょうか? それが、話題の一冊『なるべく働きたくない人のためのお金の話』著者で作家の大原扁理(おおはら・へんり)さんです。

大原さんは、投資などの「不労所得」もなく、ITを使って収入を得ていた訳でもなく、もちろん親のスネをかじる「仕送り」をあてにもせず、介護の仕事に週2日だけ従事し、年収100万円以下で「普通にハッピーに暮らして」いたといいます。

いくら東京の郊外に住んでいたとはいえ、たった年収90万円で本当にハッピーに暮らすことなんて可能なのでしょうか?

その答えは、この『なるべく働きたくない人のためのお金の話』の中に書かれていました。

9784991022142

なるべく働きたくない人のためのお金の話』(ボイジャー・プレス刊)

2009年に上京してからの1年3ヶ月間は、生活を維持するだけで精一杯の忙しく辛い日々だったという大原さん。当時住んでいたシェアハウスの4畳半一間の家賃が7万円で、さらに水道光熱費ネット代などを住人全員で折半し、プラス税金も差し引くとほとんど残らないという苦しい生活にバカバカしさと疑問を持ち、その生活スタイルをガラリと改めたことで、よりハッピーに生きられるようになったとのこと。

この本は、2010年に東京郊外のアパートに引っ越してから、2016年に台湾へ移住(!)するまでの約6年間を振り返った一冊です。さて今回、そんな気になる一冊の中身を特別に「チョイ見せ」してご紹介します。

今すぐ読みたいと思った方はコチラ。

 

月7万円で幸せに暮らす大原さんの一日

まず私の隠居生活についてざっくりと紹介させてください。

朝は7時には起き、窓を全開にして空気を入れ替えるところから始まります。そして冷たい水で顔を洗って、ゴミ出し、ラジオ体操、と続きます。隠居だからっていつまでも寝ていられません。私の場合は、会社や学校などが生活リズムを決めてくれないぶん、自分でメリハリをつけるしかないのです。

朝食の前にお茶を煎れ(冬は紅茶の前に白湯を飲むこともあります)、それを飲みながら「今日やりたいことをリストアップしていくのも楽しいひとときです。

起き抜けというのは、身体がまだ朝ごはんを受け入れる準備ができていません。温かいお茶を飲んでいると、胃がだんだん動き出すのがわかります。だいたい、お茶を飲むとすぐに朝のお通じがあるので、「あ、身体が起きてきたな」と実感できます。

やりたいことリスト」は、作っておくと、今日自分が何をしたかったのか迷うヒマがなくなるので便利です。1日24時間しかないんですから、考えるのは朝一回だけでじゅうぶん。リストの中から、その時やりたいことをどんどんやっていきます。でも完璧にやろうとすると疲れるので、気が変わったらやらなかったり、別のことをすることもあります。

朝食自家製スコーンやスープなど、簡単なものを作って食べます。いずれも3日ぶんくらい一気に作っておく。私は雑事をついでに済ませるのが好きなので、食べながら洗い物を片付けたりもします。

あとは自由時間。本を読んだり、掃除をしたりして過ごします。季節にもよりますが、冬は寒いのであまり動かず、夏は逆に涼しいうちによく動きます。

昼食はほとんど麺類でした。おそばかうどんを気分で選びます。

夏は冷やしてざるに、冬は暖かいかけに。具は季節の常備菜を作り置き。春はキャベツ、夏はキュウリを浅漬けに。秋は小松菜や空心菜などの葉物をごま油としょうゆで炒めます。冬は大根や人参、ショウガなどをすりおろしていつでも使えるように常備しておきます。

常備菜を切らしているときは、摘んできて乾燥させた野草(ヨモギや桑など)を使います。

いずれにしても具はひとつかふたつ。素材の味を確かめながら食べるのが好きです。

ごはんを食べたらまた自由時間がやってきます。

散歩がてら、スーパーや近所の農家の直売所をのぞいたり、野草を摘んだり、図書館で本を借りたりします。

図書館で借りるのは、日常生活のなかで見たり聞いたりして気になったときにすぐにホームページで予約しておく本と、実際に本棚を眺めて気になった本が半々。前者は予約しておかないと後になって忘れてしまうし、後者は思わぬ発見があったりして、こうすればひとつの図書館でそれぞれ違うアンテナの引っかかり方が2パターン味わえるというわけです。

所有する本は何度も読み返すことがわかっているものや、好きな著者のサイン本など。あとは図書館を、ちょっと家から離れた場所にある巨大本棚のような感じでフル活用しています。

借りてきた本なので、初めの10ページだけ読んで「つまらん」と思ったらさっさと返却しても損はしません。買ったから読まなきゃいけないというプレッシャーもなく、正直に読みたい本だけを、あるいは読みたい箇所だけを読みまくることもできます。

そして本ほどお金のかからない、しかも社会の理解があるエンターテインメントを私は他に知りません。私が好きな本は知識や情報が身につく本よりも、毒にも薬にもならない役に立たない本ばかりなので、個人的にはスマホでゲームをしてるのと何も変わらないと思うのですが、頭がよさそうに見られるので得した気分です。

夕食を食べるのは比較的早く、5時くらいでした。早く食べておくと、翌日の朝が快適です。逆に寝る前に食べると、翌朝、胃が重くて仕方ない。不快な時間は、人生から一秒でも減らしたいものです。

メニューはこれもほぼ決まっていて、無農薬の玄米に、たくあんおみそ汁。ときどき贅沢をして、サバの味噌煮とか、納豆をいただくこともあります。

おみそ汁は、はじめ和食を作り始めたときに、だしを取るのが時間がかかって面倒くさいのと、取りだした昆布の使い道をレシピ本が書いてくれないので困っていました。

どうにかならないものかといろいろ調べたら、昆布は細く切って一晩つけておくだけの水出しにして、具としてそのままいただくという方法を発見。やってみたらすごくラクで効率的でした。昆布は切った断面から旨みが出るのと、おみそ汁は沸騰させないのでぬめりも出ず、おいしく食べられました。これは便利です。

また、玄米も3日ぶんくらい手鍋で一気に炊いておきます。冷暖房を一切使わないので、冬は部屋が冷蔵庫のようなものですから、鍋に出しっぱなしにしておくことも。これも何の問題もありませんでした。

そのあとは引き続き本を読んだり映画を観たりしていると、あっという間に寝る時間です。1日30時間あればいいのに……と思いながら布団に入ります。

このような感じで毎日生活していました。

年収90万生活を実践したい方はコチラ。

 

最低生活費を「見える化」家計簿はこんな感じ

支出を把握することができたら、次は余裕のあるときに「最低生活費(最低限どれだけのお金があれば生きていけるのか)」を確認しておくといいと思います。

これを一度でも確認しておくと、毎月の平均支出とは別に、生きていくのに必要なお金の分量が数字でハッキリとわかるため、いたずらに不安になるのをさらに抑えることができます。

頭の中で想定してみるだけでもいいですが、やはり実際に実験して確認するほうが効果は絶大です。

私の場合は、隠居してから、家賃をふくめたすべての生活費が毎月7万円に落ち着いていました。この中には月に一度の日帰り温泉や、カフェやレストランでの外食も含まれるので、これは最低生活費にはなりません。とはいえ、もともと無駄遣いが少なく、確かめなくても予想はできたのでついサボっていたのですが、2月など給料が少ないときはちょっと不安なこともあり、試しに確認してみました。

ポイントは、「欲しいもの」ではなく、「必要なものだけにお金を使うこと。ですから、切り詰めるとすれば月に一度の日帰り温泉と外食を狙い撃ちです。

すると、国分寺市のアパートでは、最大限切り詰めると、6万円あれば人間の尊厳を失わない程度にギリギリ生きていける、ということがわかりました。

ざっと書き出してみると、

  • 家賃2万8000円、共益費1500円
  • 食費1万円
  • 固定費(水道光熱費、通信費)合わせて1万5000円以下
  • その他雑費5000円
    合計5万9500円

ただし、これは2万8000円のアパートという条件下での数字です。私はネットで激安アパートを検索するのが趣味なので、都内でももっと西の郊外(八王子とか)に引っ越せば家賃の最安値記録は更新できると考えていました。私は過去、日野にバス・トイレ付きで家賃1万7000円のワンルームアパートを見つけたことがあります。「下には下がある」「まだいける」と知ることで、余裕をもって隠居できたと思います。

ここで大事なのは、自分がいくらお金があれば最低限生きていけるかを確認することで、ギリギリ生活をずっと続けることが目的ではありません。

ですから、一度確認したら、私は再び、月に一度の日帰り温泉や、外食などの楽しみを復活させました。

月6万円生活に興味が湧いた方はコチラ。

 

お金を考えるより先に「つらい場所」から逃げ出せ

はじめに明確にしておきたいのですが、お金について考えるとき、「自分がどうありたいのか」という問題を避けて通ることができません。というか、もっと正確に言うなら、お金のことは、「自分がどうありたいのか問題」の一部でしかない、という気がします。

お金の不安をなくすことが目的なのではなく、お金の不安がなくなったそのとき自分がどんなふうに生きていくのか、ということのほうが重要だからです。

でも、しつこいようですが、これが本当に大切なんです。いくら稼ぐか、節約するかよりもまず、自分がどうありたいのかを洗い出していくこと。お金のことだけを見ていると人生の本質を見失います

急いては事を仕損じる、ということで。

さて、今でこそ、低所得でも経済的不安のない生活を送っている私ですが、はじめからこうなることを予想していたわけではありませんでした。

隠居のスタート時点である2010年12月、国分寺市に引っ越した時に私が考えていたのは、「もうこんなに働きたくないということだけ。なぜ働きたくないのか、とか、引っ越してどうするのか、などということは深く考えていませんでした。それどころか、隠居したいとか、お金の不安をなくしたいとかいう目標もなかった。

ただひたすら、自分がそのとき置かれた状況のなかで、どうすれば今よりハッピーになるかを考えて実行する。それを愚直に何万回も繰り返していました。その結果、気がついたらご褒美のように、年収90万円で生きていけるようになっていたんです。

たぶん私には、お金の不安から解放されるための近道や裏ワザを提示することはできません。ただ、自分自身の経験から、結果的にそこにたどり着くために、好ましい物事の順番やコツがあるように思います。

毎日ちゃんと働いているのに、なぜかお金が足りなくてしんどい状態だったとき、何よりもまず私が優先したのは、そこから離れてみることでした。

この時点では、自分がどうありたいのか、お金の不安から解放されたいかは、とりあえず置いておきます。なぜこんなに苦しいのかも考えなくて大丈夫。しんどいときって、考え方が狭くなっているし、どうしてもネガティブな結論を出しがちです。

だから、難しいことは置いておき、まずはそこから一歩離れてみること。人生のことやお金のことは、落ち着いてから考えても、決して遅くはありません。

お金について考え方を改めたい方はコチラ。

 

台湾で隠居ライフ、ついに年収60万円生活に

……いかがでしたでしょうか。 大原さんが「100万円以下の年収でもハッピーに生活」してきた様子の一端を垣間見れたのではないかと思います。

なお、冒頭にも書きましたとおり、大原さんは現在2016年9月より台湾へ移住し、この「隠居生活」をさらにステップアップして「年収60万円の生活を実践されているそうです。

日本より物価が安いとはいえ、台湾でどうやったら年収60万円で生活できるのか気になりますよね。ここまでくると、まさに「隠居生活のスペシャリスト」と呼んでも過言ではなさそうです。すべては、この『なるべく働きたくない人のためのお金の話』に書かれている、東京時代の「隠居生活」がベースになっているとのこと。

さて大原さんは6年間、どのようにして、この生活を続けることができたのか。この気になる続きは、電子本直販サイト「理想書店」の『なるべく働きたくない人のためのお金の話』をご覧ください。

ご参考までに本書の目次を以下にご紹介いたします。この章タイトルを見ただけでも、大原さんの「隠居生活」と考え方に興味が湧いてきたのではないでしょうか。

なるべく働きたくない人のためのお金の話』目次

まえがき

序章 隠居生活のアウトライン

第一章 まずはつらい場所から抜け出す

・苦しい気持ちを、なかったことにしない
・やりたくないことから逃げる
・隠居を目指さない
・完璧を求めない
・一気にやろうとしない
・周りを納得させようとしない
・お金に対するあきらめから、早いうちに脱出する

第二章 落ち着いた生活をつくりあげる

・最低限の満足のラインを確認する
・自分でどうにかできること・できないことを分ける
・社会や他人の「いいね!」を求めない
・ネガティブな気持ちから行動に移すのをやめる
・生活の大半をルーティーンで回す
・ルーティーンのできていく様子
・ルーティーンをアップデートする
・把握できるぶんだけにする
・人間関係の強制リセット法
・他人の生き方を学ぶ
・世界をカスタマイズしていく
・自分の生き方を正しいと思わない
・変わってしまっても大丈夫

第三章 手にしたお金で、自分はどう生きたいのか?

・毎月の支出を把握する
・最低生活費を確認する
・最低生活費から、どれくらいの時間働くかを逆算する
・お金を使わなくても、自分でできることを増やす
・貯金について
・保険に入らない
・国や親に頼らない
・自由や幸せをお金に依存しない
・私はお金持ちになりたいのか

第四章 お金に対する見方・考え方の変化

・お金の失敗談
・ハッピーなお金の使い方
・個人と社会の豊かさを両立させる
・豊かさの内容も変わっていく
・社会という銀行に貯金する
・仮想通貨について
・隠居の財布の中身

第五章 お金と話す、お金と遊ぶ

・75億分の1の確率で出会ったお金
・人格化すると、愛着が芽生える
・お金に恥ずかしくないように
・なぜお金がないのか、お金の気持ちになってみる
・お金の幸せを祈って
・なぜお金がこの世に生まれたのか
・お金がこの世からなくなる日
・最後に笑って見送るために

対談 鶴見済×大原扁理

あとがき

今すぐ本書が読みたくなった方はコチラ。

 

あなただけの一冊が見つかる「理想書店」とは?

理想書店」は、こんな興味深い本がいくつも並んだ電子本直販ストアです。

2014年7月からスタートした電子出版支援ツール「Romancerロマンサー)」は、紙の出版では個人が持つ知識や経験を本という形で残すことが難しいという現実と向き合い、誰もが電子本という形で表現できるツールとして開発されました。2019年2月現在、会員6800名、個人・法人含めて50000点を超える多くの電子本が制作されました。

その50000点の中からピックアップされた150冊分のオリジナル電子本が購入できるサイトが、「理想書店」なのです。

理想書店で取り扱う主なラインアップは、ビジネスから歴史モノ、旅行やミステリー、音楽、エッセイまで多岐にわたっています。

先ほどご紹介した『なるべく働きたくない人のためのお金の話』をはじめ、具体的なビジョンを持たないまま定年を迎えてしまった男性の悲哀と生きがい発見までを描いた『あゝ定年かぁ・クライシス 』、多様な人種と文化が入り交じるサンフランシスコに20年以上暮らす女性が綴ったエッセイ『サンフランシスコで会いましょう♪』、不動のロングセラー漫画『ゴルゴ13』シリーズなど、ほかにも気になる電子本が目白押しです。

あなたの好奇心を刺激する、まったく新しい電子本直販ストア「理想書店」で、あなただけの一冊を見つけてみてはいかがでしょうか?

こだわりの電子本、あります。「理想書店」

 

PR:株式会社ボイジャー

 

image by: shutterstock.com

print

人気のオススメ記事

  • 働きたくない男が「隠居」に救われた話。年収90万東京暮らしのリアルとは
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け
  • ついでに読みたい