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NY在住の日本人が「米国で子育てするの嫌だ」と言い放った理由

「すべてがビッグサイズな国」と聞いて真っ先に頭に浮かぶのが、アメリカではないでしょうか。とは言えそのスケールは、現地で「体験」してみないことには理解できないものでもあります。今回のメルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』では著者で米国の邦字紙『NEW YORK ビズ!』CEOの高橋克明さんが、自身がアメリカで身をもって感じた「デカすぎ大国アメリカ」の真の姿を紹介しています。

デカすぎ大国アメリカ

コネチカット州まで週末を利用して行ってきました。目的は20年間好きで好きで追い続けた格闘家の試合を観戦するためです。プレスパスをとっての完全、職権乱用旅行。

旅行と言っても、コネチカットはニューヨーク州に隣接してるお隣の州。仕事で営業に行くこともしばしばあり、たとえ目的地の会場まで車で3時間とはいえ、「旅行」という感覚でもありません。東京住まいの人でいうなら、栃木県や群馬県のような立ち位置。日帰りで行く距離です。ただ、この国での車で3時間は、完全に「近郊」扱いなだけです。

ニューヨークを少しでも離れるとすぐにだだっ広い何もない平野に出ます。一本道を延々と走る。車窓から見える景色はいつまで経っても変わらず、65マイル(約100キロ)以上出てるのにも関わらず、まるで止まっているような錯覚に陥る時も。この国のデカさを体感することになります。

コネチカットはニューヨークとボストンという北米でも結構なインパクトを持つ都市に挟まれて、存在感のない州なのですが、実は全米一お金持ちの多い州。個人の所得ランキングでここ10年ずっとチャンピオンです。あのエール大学もコネチカット第2の都市ニューヘブンにあり、歴代の合衆国大統領もここ出身が多い。実は企業も、あのゼロックスや、世界最大の複合企業ゼネラルエレクトリックの本拠地が置かれています。サンドイッチのサブウエイもここが本社。

知るほど興味を惹かれる、高学歴、高収入の州なのですが、車窓から見える景色はいたって平凡。北米のどこにでもあるまっすぐな道路に、杉の木並木。まったく目新しさはありません。

ただ、この州には「モヒガンサン」があります。ニューヨークから車で200キロ。とてつもなく大きなカジノリゾート複合施設です。ホテルもショッピングモールもアリーナも入ってます。

何もない道をひたすら走ると、目の前にバベルの塔みたいなのが1本にょっきり立ってる。ちょっと異様な景色です。

中に入ると、「えええ!?この人たちどこから湧いてきたの?」というほどの人、人、人…。コネチカット中の人間がここに避難してきたのかというほどの超混雑ぶりです。

でも、これはアメリカという大国のあるある。外は人が歩いていないのにも関わらず、イベント施設の中に入れば、数万人、というのは、コネチカットに限らず、この国の大都市以外のどこにでも見られる景色です。

以前、ミネアポリスに行った際も、そうでした。街はだーれも歩いていない。で、野球場に入ると4万人超満員。日本ほどサブカルチャーが発達していない超大国は、みんな揃っての野球観戦フットボール観戦が習慣になっています。

今回もモヒガンサンに限らず、帰り道、何気なく寄ったレストランが、まるでアミューズメントパークくらい巨大。併設されたお隣のアウトドア専門店は、店内に水族館ほどの水槽があり魚が泳いでいました。船やジープまで売られていました。あと釣竿かと思うくらいライフルが壁一面に並べられて売られていました。十分、インパクトあるお店ですが、特にガイドブックなどにピックアップされている観光名所ではありません

たぶん、アメリカ合衆国は日本の方が思っているより、あらゆる意味で「デカイ国」。『地球の歩き方』ではフォローされていない無名の町が腐るほど存在する。

カルチャーや習慣を凌駕するほどの国土は、日本の街並みのようにギッシリと店頭を並べられるわけがない。なので、真ん中にでっかいすっごい施設を作るので車でみんな勝手に遊びにこい、のスタンスです。

というかニューヨークやラスベガスという街自体も、そんな感じで作られた街だと思います。

思えば、幼少の頃、うちは貧乏で、50円玉を母にもらっては、その日の分だけのお菓子を駄菓子屋に歩いて買いに行きました。

この国では子供がひとりで出歩いてはいけない法律の州も多く、なにより歩いていける距離にスーパーがない。週末、家族とトラックで出かけて、向こう数週間分の食料を買って、家の隣のストレージに放り込みます。

どっちが良い悪いではなく、こんなでっかい国と、あんなきめ細やかな母国と同じように育てようとしても、同じように育つわけがないな、と子育てについて考えさせられました。

でも、せせこましい日本よりも、のびのびとアメリカでの教育の方がいいかもな、そう思いながら道中、ハンドルを握り考えました。

前述のモヒガンサン。カジノには必ずバイキング形式のビュッフェがあります。

肥満になりすぎて普通に二足歩行できず、車椅子に乗っている方用のスロープが、どこのカジノのビュッフェでも目にします。

恐ろしほど皿に盛りそして山ほど残す。日本のビュフェだと、どうしても食べ残し禁止のイメージがあります。もちろん、厳密に言えば、アメリカだって、ビュッフェは食べ残し禁止なはず。でも気にしている人は見かけない。みんな山ほどとって、山ほど残す。

やっぱ、こんな国で子育て嫌だ(笑)。

image by: Shutterstock.com

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全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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【著者】 高橋克明 【月額】 初月無料!月額586円(税込) 【発行周期】 毎週水曜日

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