WBC(ワールドベースボールクラシックス)で世界中が熱狂する中、台湾の盛り上がりは群を抜いています。頼清徳総統が応援メッセージを出し、行政院長が東京ドームでの観戦のためだけに来日するなど、まさに国を挙げての熱狂ぶりです。その背景には、2024年プレミア12で宿敵・日本を破っての初優勝という歴史的快挙がありました。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、日台100年の野球交流史から台湾の野球熱の源流を読み解いています。
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なぜ台湾でここまで野球がヒート・アップするのか
◎〈世界2位がまさかの敗退〉「日本とは100年分の差」”WBC史上最悪の試合”で監督は涙…侍ジャパンに完敗の裏で台湾代表に起こっていたことhttps://news.yahoo.co.jp/articles/29e66069a92081c3a5143d141a0956cac56721fe
ワールドベースボールクラシックス(WBC)が、アジアだけでなく世界中の人々を野球に熱狂させていますね。日本が属するプールCは、すでに日本と韓国が準々決勝以降の舞台となる米国マイアミ行きのチケットを手にしました。
プールCの他のチームは敗れたとはいえ、すべての試合がドラマチックで、すべてのチームのすべての選手が死力を尽くし、どうにかして勝ちをもぎとろうと闘志を燃やしていました。
先週もお伝えしましたが、中でも、「チャイニーズ・タイペイ」という呼称で参加した台湾チームを応援する台湾ファンの盛り上がりは群を抜いており、台湾全土が野球一色になりました。 頼清徳総統も応援メッセージを出し、卓栄泰行政院長は東京ドームでの試合を見るためだけにわざわざ来日し、試合が終わると日帰りで帰国するという、政府あげての熱の入れようです。
プレミア12初優勝の衝撃
なぜ台湾はここまで野球に熱狂するのかについて、日台100年の野球交流史をひもといた新著『白球は海を渡る』(筑摩書房)を上梓したジャーナリストの野嶋剛さんのコメントを、報道より以下に一部引用します。
『「今回の熱狂の背景には、2024年11月のプレミア12での初優勝があります。あの興奮は日本人の想像の100倍はあるでしょう。興奮の理由は何より、相手が日本だったからです」 2024年11月に東京ドームで決勝戦が行われた国際大会のプレミア12にて、台湾代表は日本を破り、初優勝を果たした。WBCや五輪なども含む国際野球大会での初の栄冠に、台湾国内は社会現象ともいえる「Team Taiwan」(チーム台湾)フィーバーに沸いた。
「皆さんは台湾の光です。台湾には半導体だけでなく、野球もあることを国際社会は知るでしょう」
台北市内で行われた優勝祝賀パレードの終点、総統府で出迎えた頼清徳総統は、このように選手たちを称えたのだった。熱狂が冷めない中、台湾の500元紙幣の図柄を、現在の野球少年たちが描かれたデザインから、プレミア12優勝にちなんだデザインへと変更を期待する声まで上がった。
2026年1月1日には、プレミア12優勝までの過程を描いたドキュメンタリー映画『冠軍之路』が公開され、興行収入が2月初旬に8000万台湾ドル(約3億9840万円)を突破する大ヒットを記録。頼総統や蔡英文前総統も鑑賞したと伝えられている。 (中略) 「長年、野球の”師匠”であり、”兄”でもあった日本に追いつけ追い越せという気持ちでやってきて、ようやく大舞台で勝てたのは大きいでしょう」(野嶋さん)』https://bunshun.jp/articles/-/86630?page=4
骨折してなお走った主将の執念
しかし、今回の試合には主力打者の相次ぐ負傷離脱という不運もありました。
『カブス傘下のジョナサン・ロング選手とタイガース傘下のリ・ハオユー選手が立て続けに負傷』https://news.yahoo.co.jp/articles/29e66069a92081c3a5143d141a0956cac56721fe?page=1
『オーストラリア戦では主将の陳傑憲(チェン・ジェシェン)が左手に死球を受け負傷交代。骨折と診断され、王者に輝いたプレミア12では最優秀選手(MVP)にも選出された大黒柱は、日本戦のスタメンから外れていた』 https://news.yahoo.co.jp/articles/c9ae33025137e5d8e441679dd23125966d4190a7
それでも対韓国戦では、最後まで諦めず勝ちへの執念を燃やし、終盤にランナーが出たところで、骨折して出場を控えていた主将の陳傑憲がたまらず代走で登場し、味方のヒットが出るなり、骨折した手をベースに伸ばしてスライディングし、塁を進めました。その姿は、台湾の選手たちを奮い立たせ、ついに一点を韓国からもぎ取りました。
そして、東京ドームは対韓国戦での台湾の勝利に歓喜する台湾ファンの声で満たされるほど、多くのファンが観戦に来ていました。
台湾スポーツ界に広がる躍進
近年の台湾は、スポーツの世界大会で少しずつですが、頭角を現してきています。例えばバドミントンは、「バドミントン全英オープン、台湾がW優勝 男子シングルスと混合ダブルス」ということで、ダブルでの優勝です。 https://japan.focustaiwan.tw/entertainment-sport/202603080004
卓球は、安定して強い選手が続いています。例えば、卓球のシンガポール・スマッシュという大会で、台湾の林●(均の土偏が日編)儒は男子シングルス決勝に出場し、準優勝に輝きました。https://japan.focustaiwan.tw/entertainment-sport/202603020002
野球のプレミア12での優勝を機に、スポーツ選手を支える企業が増えてきているという報道もありました。今回のWBCでは残念な結果に終わりましたが、台湾の野球熱はよりヒートアップしている印象です。
「WBCで日本に勝つ」という最終章
『勉学が重視され、中学・高校の部活動の習慣がほとんどない台湾において、トップレベルの高校野球部は40校程度に過ぎず、4000校に迫る日本の高校野球の裾野とは比較にならない。今回の台湾代表も半分の選手が卒業後、すぐに日米へ流出している現状がある』
『「今、台湾プロ野球(CPBL)には親企業として有力企業がつき、環境が劇的に良くなっています。国内リーグが盛り上がり、国内経由でも良い契約で海外へ行ける流れができれば、層はさらに厚くなるでしょう。今後20年、30年かけて『WBCで日本に勝つ』。簡単ではないですが、それが台湾野球が目指す最終章になるはずです』(駒田さん) https://news.yahoo.co.jp/articles/29e66069a92081c3a5143d141a0956cac56721fe?page=3
どれだけ時間がかかっても、情熱は衰えないどころか、増していくばかりの台湾野球界。今後の発展が楽しみです。
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image by: 蔡英文 - Home | Facebook
※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2026年3月11日号の一部抜粋です。同メルマガは3月いっぱいで休刊となりますが、1ヶ月単位でバックナンバーはご購入いただけます。