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自殺は5月に急増する。「休み下手」な日本人が10連休にすべき事

いよいよ10連休が間近に迫ってきました。ある調査では4割の人が「うれしくない」と回答するなど受け止め方はそれぞれですが、この期間に「ストレスの対処」に取り組んでほしいというのは、健康社会学者の河合薫さん。河合さんは自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で、ストレス状態から脱するだけでなく、そのストレスを成長の糧とすることが可能な対処法を紹介してくださっています。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2019年4月17日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

「約束破りの季節」と10連休

来週末からいよいよゴールデンウイークですが、皇太子さまの新天皇即位などに伴い、10日間の大型連休となります。

サービス業や医療関係者、あるいは非正規雇用の人たちはお休みできず、時事通信が行なった調査では「4割が10連休うれしくない」とのこと。「今後も国が主導して長い連休をつくるべきか」との問いには、「そう思う」の29.9%に対し、「そう思わない」が66.8%だったと報じられています

10連休「うれしくない」4割=家事も仕事も「休めない」

本来であれば「10連休」は10連休として、時期をずらすなどして休めればベストですが、とかく「休み下手」な日本では難しかもしれません。

しかしながら、健康社会学的見地からはこの時期の大型連休は、極めて重要かつ必要な心を休める期間」です。

実は、5月は「自殺者」が増える魔の季節。この傾向は世界的に認められ、ある調査では「春になると年平均値から10~25%ほど増える」ことがわかっているのです。

なぜ、春に自殺者が増えるのか?

世界中の研究者が「謎の解明」に努めてきましたが、残念なことに一貫した回答は得られていません。

しかしながら、大きくは「太陽の功罪説」と「約束破りの効果説」に分けることができます。

前者は、日照時間が急激に長くなることに注目したもので、

といった具合に、ストレスに関連する“体内物質の変化”を原因とする理論です。

一方、後者の「約束破りの効果説は(broken promise effect)」は“心と環境”にスポットを当てたもので、春先に抱く希望現実とのギャップが自殺の引き金なる、とする考え方。

春は草木や動物だけでなく、実は人間にとっても「成長の季節」のため、「よし、がんばろう!」という前向きな気持ちが高まるものの期待通りにならないことの方が実際には多い。そのギャップがストレスとなり、まるで「約束を破られた」ときのようにショック状態に陥るとされているのです。

特に新年度と重なる日本では、新しい職場や人間関係に関連して「今年度は○○しよう!」と期待・奮起する人は多いはず。が、思った通りにいかないばかりか、新しい環境に上手く適応できず「もう無理」と生きる力が萎える。とりわけ日常的にストレスを感じているミドル世代は、外の光の明るさとは裏腹に、心は暗闇に翻弄されがちです。とはいえ、いかなるストレスに遭遇しても、ストレッサー(ストレスの原因)そのものはそれほど重要ではなく、いかに、そのストレッサーに対処するかでその後が決まります

そこで、ここからはストレスの対処法について紹介するので、是非、参考にして、連休にお役立てください!

人間は何らかのストレスを感じると、その状態から脱するための対処行動を本能的に探ります。その対処行動は「へこんだ気持ちを元に戻す対処(ストレスへの対処)」と「ストレスの原因となっている問題を解決する対処(ストレッサーへの対処)」にわけられます。

この2つの対処を巧みに組み合わせれば、ストレス状態から脱するだけではなく、ストレスを成長の糧にすることが可能です。

へこんだ気持ちを元に戻す対処は、俗に言うストレス発散です。お酒を飲んだり、歌を歌ったり、趣味に没頭したり、愚痴を言ったり、ひたすら寝たり、とにかく気持ちがスッキリする行動を積極的にとってください

心のへこみ具合が強い場合は「寝る→体力回復→ストレスを発散する→寝る」というサイクルを、最低でも2回は繰り返すこと。

で、気持ちが元に戻ったあとは、「ストレスの原因となっている問題への対処戦略を考える必要があります。

そのためには、「自分はいったい何にストレスを感じているのか?」と何度も自問し、ストレスの原因を明確にしてください。

「将来への不安」「職場のストレス」「家族の問題」といったように漠然と捉えるのではなく

あるいは、

などなど、「これでもない、これは?いや、違う。あ、こっちだ」といった具合に問題を掘り起すこと

ストレスの原因が明らかになったら、「その問題を解決するには何をすればいいか?を考え実行する

ここでのポイントは「一人きりでがんばってはならない」こと。

ストレッサーへの対処は体力もいれば時間もかかるので、必ず、職場の同僚や“斜め”の関係にいる上司、家族、友人など、問題解決に協力してくれる同志を得る戦略を練ってください。ときには専門家に相談するなど、“プロの傘”を借りるのも有効です。

10日間休める人は前半の7日間はストレス発散に、最後の3日間をストレッサーの明確化と対処戦略の思案にあててください。

いずれにせよ、あっという間に連休はあけ、ストレスフルな日常に戻ります。そのときに「よし!夏休みまで、またがんばろう!と思えれば、「約束破りから脱したと考えて間違いなし!

連休は関係なく仕事!と言う方も、是非とも隙間時間で、心と頭の休養と、ストレスの原因解明に努めてください。

私も……10連休は(前半仕事なので6連休ですが…)遊びます。できる限り…。

みなさんのご意見をお聞かせください。

image by: Shutterstock.com

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2019年4月17日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

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※『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』(2019年4月17日号)より一部抜粋

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米国育ち、ANA国際線CA、「ニュースステーション」初代気象予報士、その後一念発起し、東大大学院に進学し博士号を取得(健康社会学者 Ph.D)という異色のキャリアを重ねたから書ける“とっておきの情報”をアナタだけにお教えします。
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