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「日本は借金大国」の嘘。国債発行で国民の預金が増えている事実

これまでも「武田教授が激怒。NHKが垂れ流す『日本国の借金1000兆円』の大ウソ」などで、財務省等の「増税したいがためのウソ」を暴いてきた中部大学教授の武田邦彦さん。今回のメルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』では、たびたび消費増税の言い訳にされる国債について理解を深めるための「基礎知識」を記しています。

「日本の借金を後世に残さないため」!? 消費税引き上げの本当の理由

1990年の少し前まで、日本の税制には消費税というのはありませんでした。それが、「欧米では消費税は一般的だから」という理由から、新たに消費税が導入され、最初だけはそれに伴って所得税や法人税の負担が少なくなりましたが、最初の3%から5%、そして8%に増税されたときには、所得税などの減税を伴わず、たんに消費税だけが上がるようになりました

消費税が導入されたとき、反対の人たちは、「消費税というのはいったん設定されると少しずつ増税される際限がない」と言われましたが、どうやらその後の傾向をみると、その予言は的中していたように思われます。

今、消費税が8%から10%に上がるとされていて、これには経済学者を中心に反対が多いのですが、それでも今のところ政府は増税の構えです。もし今年の増税が見送られても、遅かれ早かれ10%になりそうな情勢です。

今回の増税の理由は「日本に借金がありそれを解消しておかないと子供にツケががまわる」ということで、税法がよくわからない主婦の人などは、「子供にツケをまわすのもかわいそうだ」という理由で賛成している人もいます。でも、それは本当でしょうか?

あまりに難しいことですが、私たちの生活に直接影響がありますから、ここで整理を試みたいと思います。

日本(政府)に借金があるというのは税務署が税金の取り立てに失敗し、それ以上に政府が使い込んだということではなく、「政府が勝手に発行した国債借金が返せない」ということです。国民から税金を取るためには税法を定め、その法律に従って税金を集め、その用途については、前年度の6月ごろから各省庁で来年度の予算の原案を策定し、8月ごろに具体的な項目を定め、秋口にさらに練って年末に財務省と折衝をはじめ、年明けから国会に提出、予算委員会審議などを経て、3月末日にやっと予算案が成立するという慎重で複雑な手続きを経ます。

だから、税金に関する政府の決定と執行は主権者たる国民が十分に監視できるのですが、国債という政府の借金については、それがどこで決められたのか(もちろん、言い訳はできますが、実態的に国民が知らないところで決まる)も不明という状態のまま、現在では政府の予算のうちの約半分が税金半分が借金という異常な状態になっています。

でも、言い訳があります。国債については「借金である」と言ったり、「借金ではない」と言ったり、言を左右にして言い逃れができます。ここに消費税増税のトリックがあるのです。

そこで、ここでは、大所高所ではなく、政府が発行する国債の手順をできるだけ具体的に整理することから始めます。

借金であり、借金ではない「国債」はどのように発行されるのか?

今、政府が10兆円のお金が必要だけれど、税金では得られないというとき、政府は国債を10兆円発行してお金を得ることができます

その手順は、まず日本銀行が市中銀行から預かっている「日銀当座預金」という預金を借りて、その日銀当座預金を担保に10兆円の政府小切手を発行し、その政府小切手を、政府の仕事を請け負った業者に渡します。

この時点では政府(日本銀行)は国民のお金(市中銀行を通じて日銀の当座預金に振り込まれたもの)を借ります。そして、政府が仕事を決めてその仕事を業者に請け負わせます。業者は仕事をするうえで10兆円の現金が必要ですから、もらった政府の小切手を市中銀行に持ち込みます。小切手は現金と同じようなものですから、銀行はその小切手を受け取って、業者名義の10兆円の預金をつくることができます。

かくして、小切手は政府日本銀行→業者→市中銀行とながれ、市中銀行は受け取った政府小切手を日本銀行に持ち込み、市中銀行の日銀当座預金を10兆円だけ戻します。政府が小切手を発行するときに減ったある市中銀行の当座預金の残高はかくして元に戻ります。つまり、全体としては政府(日本銀行)に貸していた市中銀行の日銀当座預金は返却されたことになります。

このようにすれば、政府は国民の預金量にはほぼ制約なく小切手を発行できることになります。

10兆円を受け取った業者は、事業をするわけですが、10兆円のお金は他の業者への支払いや、その会社の給料や原材料や所得に変わります。もちろん、現在の日本は鎖国をしているわけではありませんので、海外にも支出されますが、日本は内需型の経済ですので87%が国内で13%が外需です。ですから、話を簡単にするとほぼ日本国内で消費されているということができます。(メルマガより一部抜粋)

image by: 財務省 - Home | Facebook

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中部大学教授の武田邦彦です。主に環境問題や資源に関して研究を行っております。 私のメルマガでは、テレビや雑誌新聞、ブログでは語ることが出来なかった原発やエネルギー問題に鋭く切り込みます。

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