先日掲載の「『日本は借金大国』の嘘。国債発行で国民の預金が増えている事実」では、消費増税の言い訳にされる国債についての「基礎知識の入り口」を記してくださった中部大学教授の武田邦彦さん。今回はさらに進んで、日本が無税の国家になり得る「お金の創造の仕組み」を、メルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』で明らかにしています。
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「国の借金」の大ウソ。あなたは消費税増税の本当の理由を知っているか
先回の「『日本は借金大国』の嘘。国債発行で国民の預金が増えている事実」では、政府の借金といわれる1,300兆円は、同時に国民の預金900兆円にもなっていることを書きました。借金ともいえるし、預金とも言えるのでややこしいのですが、これが消費税増税の理由になっているのですから、理解しないわけにもいきません。
先に進みます。
日本銀行の株券の55%は財務省(政府)が保持していますから、日本銀行は政府の子会社です。そして、日本銀行は10年位前までは、国債などの5%ぐらいを保有していましたが、アベノミクスの「量的緩和政策」で市中銀行からお金を出して国債などを買い続けたので、今では46%も所有しています。現在、国債の金利はほぼゼロ%ですが、もしかすると将来、金利が上昇することも考えられます。
日本銀行は国債を買ったのですから「資産」に国債が計上され、負債にはお金を出した分だけ日銀当座預金にカウントされています。また、国債の利息が入った場合には、国庫納付金として勘定されます。日本銀行といっても政府と同じです。つまり、日銀に入る利息は政府が払うものですので、政府が利息を払い、政府自身(日銀を経由して)に入れることになります。つまり国債の46%分を日銀が持つことによって、将来ともに金利はゼロということになります。
かつて1,300兆円は「国の借金」と言っていて、NHKは「子供に借金を残すな」と放送していましたが、今や、日本銀行が国債を買ったので、700兆円に減少していることになります。また、日本銀行と政府は主体が同一ですから、日本銀行が政府に600兆円の国債等の返済を求めることはありません。
この段階で、「子供に借金を残すな」という放送が実質的にはウソだったことがわかります。つまり、安倍政権になって黒田日銀総裁が「国債を買う」と決意しただけで、1,300兆円の政府の借金(国債)が一気に700兆円も減少したからです。日銀がもう少し頑張って、あと700兆円出してくれれば、政府の借金はゼロになり、消費税の増税もなにもかもなくなってしまうということになります。
実に不思議な話で、政府がお金を欲しくなって国債を10兆円出して市中の銀行に買ってもらい、銀行の国債を日銀が買い取れば、10兆円は再び政府(日銀)のものとなり、政府が支払う利子も日銀を経由して政府に返ってきますので、政府は常にタダで仕事ができることになります。
この仕組みは普段から市中銀行(私立)がやっている「信用創造によるお金の創造」ですから、それを日銀がやっているだけになります。最近、MMTという経済理論が話題になっていますが、その内容はこのことと同じで、国債をいくら出しても信用創造をしているだけだから、問題はない、国債はいくらでも発行できるというものです。
日本が「無税の国家」になりえるお金の創造の仕組み
通常の場合の信用創造によるお金の発生は、
- 国民が銀行に借金を求める
- 銀行は口座を開設してそこに借金の記録をつける(この瞬間にお金が創造される。銀行は貸すお金の10分の1ぐらいを持っていれば貸すことができる。現実には銀行の現金を貸し手に渡すわけではなく、帳簿にお金の額を記録するだけ)
- 借り手は銀行の口座をもとに仕事をする
- 借り手は適宜、利子を払う
- 借り手は最終的に借金を返す
という手続きを取ります。
これに対して日銀が小切手を振り出してお金を創造する場合には、その小切手が国民を通じて銀行にわたり、銀行で口座ができますが、そのお金は「返さなくてもよいお金=小切手の額面」です。銀行はその小切手を日銀に持っていきお金を振り込んでもらいますから、全体に何も起こりません。ただ、日本全体のお金が増えるだけです。
かつて、国がお金だけを増やしたら、お金が過剰になり、品物は一定だからインフレになると信じられていました。でも、20年間もお金を増やしてばかりいても日本はデフレで、全く物価は上がりません。それは、増やしたお金でみんながモノやサービスを買うのではなく、貯蓄してしまうからだともいわれています。
つまり政府が小切手を出しても出しても、国民の間をグルッと回って貯蓄に回るので、市中に出回っているお金の総額(お金の絶対量×回転数)は変わらないということになります。だから、もっとジャンジャン国債を出せということになるのですが、疑問があります。(メルマガより一部抜粋)
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