「日本は借金大国」の嘘。国債発行で国民の預金が増えている事実

takeda20190605
 

これまでも「武田教授が激怒。NHKが垂れ流す『日本国の借金1000兆円』の大ウソ」などで、財務省等の「増税したいがためのウソ」を暴いてきた中部大学教授の武田邦彦さん。今回のメルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』では、たびたび消費増税の言い訳にされる国債について理解を深めるための「基礎知識」を記しています。

「日本の借金を後世に残さないため」!? 消費税引き上げの本当の理由

1990年の少し前まで、日本の税制には消費税というのはありませんでした。それが、「欧米では消費税は一般的だから」という理由から、新たに消費税が導入され、最初だけはそれに伴って所得税や法人税の負担が少なくなりましたが、最初の3%から5%、そして8%に増税されたときには、所得税などの減税を伴わず、たんに消費税だけが上がるようになりました

消費税が導入されたとき、反対の人たちは、「消費税というのはいったん設定されると少しずつ増税される際限がない」と言われましたが、どうやらその後の傾向をみると、その予言は的中していたように思われます。

今、消費税が8%から10%に上がるとされていて、これには経済学者を中心に反対が多いのですが、それでも今のところ政府は増税の構えです。もし今年の増税が見送られても、遅かれ早かれ10%になりそうな情勢です。

今回の増税の理由は「日本に借金がありそれを解消しておかないと子供にツケががまわる」ということで、税法がよくわからない主婦の人などは、「子供にツケをまわすのもかわいそうだ」という理由で賛成している人もいます。でも、それは本当でしょうか?

あまりに難しいことですが、私たちの生活に直接影響がありますから、ここで整理を試みたいと思います。

日本(政府)に借金があるというのは税務署が税金の取り立てに失敗し、それ以上に政府が使い込んだということではなく、「政府が勝手に発行した国債借金が返せない」ということです。国民から税金を取るためには税法を定め、その法律に従って税金を集め、その用途については、前年度の6月ごろから各省庁で来年度の予算の原案を策定し、8月ごろに具体的な項目を定め、秋口にさらに練って年末に財務省と折衝をはじめ、年明けから国会に提出、予算委員会審議などを経て、3月末日にやっと予算案が成立するという慎重で複雑な手続きを経ます。

だから、税金に関する政府の決定と執行は主権者たる国民が十分に監視できるのですが、国債という政府の借金については、それがどこで決められたのか(もちろん、言い訳はできますが、実態的に国民が知らないところで決まる)も不明という状態のまま、現在では政府の予算のうちの約半分が税金半分が借金という異常な状態になっています。

でも、言い訳があります。国債については「借金である」と言ったり、「借金ではない」と言ったり、言を左右にして言い逃れができます。ここに消費税増税のトリックがあるのです。

そこで、ここでは、大所高所ではなく、政府が発行する国債の手順をできるだけ具体的に整理することから始めます。

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