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中国は世界の敵に。NATOも対峙宣言の習近平を国賓で迎える日本

中国の人権弾圧に世界的批判が高まる中、「空気を読まない日本の親中化」に異を唱える政治家やジャーナリストが徐々に増えてきているようです。国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、「米国やNATOが対中政策を大きく転換させた事実」の意味を明らかにする評論家の意見を引きながら、日本政府が進めつつある習近平国家主席の「国賓待遇訪日」への危機感を改めて記しています。

習近平国賓来日はアメリカへの【挑発】(あの大御所が警告)

皆さんご存知のように、私は最近、「習近平の国賓訪日に反対しています。それで、しばしば、それ関連の記事を書いています。なぜ、習近平の国賓訪日はまずいのか?ダイヤモンドオンラインで4つの理由をあげています。まだの人は、是非ご一読ください。

習近平の国賓訪日を中止すべき4つの理由、魂胆は「天皇の政治利用」

ところで、「習近平の国賓訪日反対」について、いろいろな人が言及するようになってきました。今回ご紹介するのは、産経新聞の大御所、古森義久先生の記事です。タイトルは、「まるで米国への挑発、習近平国賓招待の危うさ」(JBpress 12/11(水)6:00配信)。重要なポイントをご紹介します。

安倍政権が来年(2020年)春、中国の習近平国家主席を国賓として日本へ招待する計画を進めている。この計画が国際的に反発を買う見通しが強くなってきた。

習近平の国賓訪日は、「国際的に反発を買う見通しが強くなってきた」そうです。なぜ?

日本の対中融和政策が民主主義諸国の動きに逆行するとして非難の声が高まっているのだ。とくに米国の対中政策を阻害するとみられる危険性も高い。
(同上)

日本の対中融和政策が民主主義諸国の動きに逆行する」そうです。どういうことでしょうか?

古森先生は、欧米が、中国に対して警戒心を強めている例を挙げておられます。たとえば、NATOも中国を敵視しはじめた(NATOの主敵は、ロシア)。

西欧諸国が多数加わる北大西洋条約機構(NATO)の29カ国も、12月上旬に開いた首脳会議で中国からの「挑戦」を初めて提起した。首脳会議の成果をまとめた「NATO宣言」のなかで、中国の最近の軍拡を含む影響力拡大を「挑戦」とみて、「正面から対峙」する必要性を初めて宣言したのだ。
(同上)

そして、アメリカは最近、香港問題、ウイグル問題で法律を成立させています。

ごく最近も、米国の政府や議会では、香港人権民主主義法の施行、チベットやウイグルの人権弾圧に対する制裁措置、台湾の民主主義への賞賛、といった動きがみられた。そのすべてが中国共産党政権の人権弾圧への強い非難となっていた。
(同上)

アメリカの戦いは、中国共産党政権崩壊までつづく

古森先生は、アメリカの反中政策は、質的にこれまでとは全然違うと書いておられます。

ここに来て米国の対中政策はついにルビコン川を渡ったといえるだろう。
(同上)

※ ルビコン川を渡る=もう後戻りはできないという覚悟のもと、重大な決断や行動を起こすこと

中国共産党政権の人権弾圧に対する糾弾は、“中国の心臓部”への攻撃となるからだ。共産党の独裁支配は人権弾圧なしに無期限には続けられない。共産党の人権弾圧を糾弾することは、共産主義を支える根本の教理、つまりイデオロギーを否定することになる。
(同上)

トランプ政権はなぜ最近、中国の人権弾圧への非難を激しくしているのか。10月末のマイク・ポンペオ国務長官の演説が、その理由を説明していた。ポンペオ長官は次のように述べた。

 

「米国はこれまで中国共産党政権の人権弾圧とその基礎となるイデオロギーの民主主義陣営への敵対性を過少評価してきた。米中間の諸課題は、もはやそのイデオロギーの基本的な相違に触れずには論じられない」。

(同上)

これ、非常に重要です。「イデオロギーを否定するということは、共産党の一党独裁を否定するのと同じです。つまり、アメリカの戦いは、「共産党の一党独裁体制が崩壊するまでつづくことになる。

アメリカは、日本に「参戦」を求める

ポンペオ長官はさらにこんなことも語った。

 

「中国共産党のイデオロギーは、米国など民主主義諸国との闘争と世界制覇のために軍事力の行使や威迫をも辞さない。だから米国は全世界の民主主義国と共同で中国の脅威と対決する必要がある」

 

この部分を読めば、米国が日本にも中国との対決の姿勢を求めていることは一目瞭然である。

(同上)

「だから米国は全世界の民主主義国と共同で中国の脅威と対決する必要がある」
「米国が日本にも中国との対決の姿勢を求めている

決定的ですね。日本は、中国を挑発する必要はありませんが、はっきりと同盟国アメリカの側にいる必要があります。

同盟国を「サクッ」と裏切る日本政府

安倍総理は4年前、アメリカ議会でいいました。

2011年3月11日、日本に、いちばん暗い夜がきました。日本の東北地方を、地震と津波、原発の事故が襲ったのです。

 

そして、そのときでした。米軍は、未曾有の規模で救難作戦を展開してくれました。本当にたくさんの米国人の皆さんが、東北の子供たちに、支援の手を差し伸べてくれました。

 

私たちには、トモダチがいました。被災した人々と、一緒に涙を流してくれた。そしてなにものにもかえられない、大切なものを与えてくれた。

 

──希望、です。

 

米国が世界に与える最良の資産、それは、昔も、今も、将来も、希望であった、希望である、希望でなくてはなりません。

 

米国国民を代表する皆様。

 

私たちの同盟を、「希望の同盟」と呼びましょう。

 

アメリカと日本、力を合わせ、世界をもっとはるかに良い場所にしていこうではありませんか。

 

希望の同盟──。

 

一緒でなら、きっとできます。

この言葉が「真実」だったのかが試される時がきました。日本の同盟国アメリカが、中国に戦いを挑んだからです。希望の同盟国である日本は、「世界をはるかに良い場所」にするために動かなければなりません(ウイグル人が100万人強制収容されない方が、世界ははるかに良い場所になるでしょう)。

ところが日本は、同盟国の敵である中国に接近しはじめたのです。しかも急速に。なんと愚かなことでしょう。

1939年、第2次世界大戦がはじまりました。日本は、愚かにも「ユダヤ人絶滅」を宣言しているナチスドイツに接近。1940年、日独伊三国同盟が成立しました。それで必然的に敗戦したのです。

日本は今、ウイグル人100万人を強制収容所にぶち込んで洗脳している中国に接近しています。しかも、米中覇権戦争がはじまった直後からこういう動きをしている。嗚呼、日本は、また愚かな指導者のせいで敗戦するのでしょうか?何の責任もない天皇陛下は、独裁者を喜ばせたい日本政府のせいで、「独裁者の友達」と批判されることになるのでしょうか?

日本の習主席の国賓招待は、米国が非難する人権弾圧の最高責任者への最大の厚遇となる。習主席の責任下にある中国当局の行動を是認していると受け取られてもおかしくはないだろう。
(同上)

日本国民は、また敗戦するのでしょうか?古森先生は、記事をこう締めくくっておられます。

日本としては、習主席を国賓として歓迎する日本の動きが米国に対する挑発に近いメッセージと受け取られないような考慮が必要だろう。
(同上)

というか、「国賓訪日」やめさせてください。反対している自民党議員の皆さま、どうかがんばってください。心から応援しています。

image by: plavevski / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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