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我が子とはいえ軽くても体罰。子どものしつけで本当に必要なこと

改正児童福祉法が去年6月に成立し、保護者による体罰の禁止が明文化され2020年4月から施行されます。メルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』著者の柳川由紀さんの元には、「しつけのために1回お尻を叩いただけで体罰なの?」など、戸惑う親からの相談が寄せられているようです。柳川さんは、どんなに軽いものでも「痛みを感じさせる行為は体罰」と明言。しつけでは、長い時間をかけ身に付けさせるべき「2つの大切なこと」とそのためにどうしたらいいかを教えてくれます。

これも体罰なの?!

Question

4歳の息子が、あまりにも言うことを聞かないので、おしりをぴしゃりと叩きました。それを見ていたママ友から「何やってるの?それ虐待よ。体罰しちゃだめよ」と言われました。たった一度、叩くだけでもそんな言い方をされなければならないのでしょうか?

柳川さんからの回答

今年の6月に児童福祉法が改正されて、親に向けてしつけのための体罰禁止が明記されました。体罰とは「子どもの身体に苦痛や不快感を与える行為」で、「どんなに軽いものでも該当する」とあります。

1.子どもを攻撃する親

親の言うことを聞かせるために、子どもを罵倒したり、人格を否定したり、暴力を振るったりするのは間違っています。けれども、こういう行動を繰り返す親は多く、その親の意識を変えることはほぼ不可能です。

というのもこうした親は、子どもを攻撃している自覚はなく、子どものためと信じているからです。これらの虐待を、親は「しつけのため」であり「多少行き過ぎ」の行為だったけれど、「愛情がある証し」として正当化します。

2.攻撃された子ども

「あなたのため」「あなたが悪い子だから」と責められ続けると、子どもは「自分が悪いから叩かれる、痛い思いをしても仕方ない」と思いこむようになります。

そして「自分のためを思ってくれるんだ」「本当は良い親だ」と無理矢理思い込もうとして体調が悪くなることもあります。子どもは、罪悪感を覚えたり、自分を責めたりするでしょう。でも、本来は罪悪感を抱く必要も、自分を責める必要もないのです。

3.しつけって?

幼いうちに覚えさせないといけないもの、挨拶、生活習慣、お友達とのルール…など、人によって定義はバラバラです。一般的には、社会集団の規範や規律、礼儀作法などの慣習に合った立ち振る舞いができるように訓練することと言われています。

親自身ができないことや、親の理想の姿を子どもにさせようと口うるさく言うのが「しつけ」ではありません。親自身が育つ中で身についた礼儀作法を子どもに伝えていくことがまずは一番最初のしつけです。「親の背中を見て育つ」ことがしつけではないでしょうか。

怒鳴っても、怒っても、叩いても意味はありません。出来るようになるには、時間がかかって当たり前です。親の背中を見せましょう。

家庭教育アドバイス…「しつけは長期戦!」

しつけで大切なのは、社会で人と協同して生きていく力を持たせることです。生きる上で、人とのかかわりは不可欠ですから。そのためには、相手を理解すること、そしてもう一つ、「できる」という自信を持たせることです。

相手を理解するためには、自分を理解してもらった、自分の気持ちを大切にしてもらった、という経験が大事です。受容してもらったという体験が多ければ多いほど、相手の気持ちを大切にできるようになります。

そして自信を持たせるには、とにかく「子どもの話をよく聞く」ことです。人には「承認欲求」があり、それが満たされることは何よりも重要です。その承認欲求を満たす方法の一つが「子どもの話をよく聞く」ことなのです。

早い時期から様々なことをできるようにするより、子どもの気持ちを受けとめてあげることの方が大切です。しつけは長期戦です。大変と思うか楽しいと思うかで、しつけの中身もだいぶ変わってきます。長期に亘って楽しみましょう。

image by: Shutterstock.com

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家庭教育のプロとして、教育相談員の経験を生かしながら、親としての接し方のコツをお伝えします。子どもは、親のサポートの仕方でずいぶん変わります。子どもの能力を最大限に引き出せるよう、まずは親力をアップさせましょう。専門である教育心理学、家庭教育学をベースに家庭の中でできる「子どもを伸ばすためのコミュニケーション術」を「親の力」に視点を置き配信予定です。乳幼児、小学生、中学生、高校生、大学生など発達段階に応じた子どもへの声掛けを具体的にご紹介します。

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【著者】 家庭教育アドバイザー 柳川由紀 【月額】 初月無料!月額508円(税込) 【発行周期】 毎月 第1月曜日・第2月曜日・第3月曜日・第4月曜日(年末年始を除く) 発行予定

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