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トランプ激怒。アメリカを裏切り中国を選んだイギリスの暗い明日

1月28日、自国の次世代通信規格5Gに、アメリカが排除を求めるファーウェイの参入容認の姿勢を示したイギリス。米英関係に大きなひずみを生むことが予想される英国の決断の背景には、一体なにがあるのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、ファーウェイ戦争とも称される米中覇権戦争や米英関係について、様々な情報を分析しつつ今後を予測・解説しています。

トランプが裏切り者ジョンソン首相に大激怒!

先日、アメリカと「特別な関係」にあるはずのイギリスが、「ファーウェイの5 G参入を許可した」という衝撃的ニュースをお伝えしました。

英、ファーウェイの5G参入容認 米主導の包囲網崩壊

1/28(火)21:23配信

 

【ロンドン時事】英政府は28日、中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)による次世代通信規格「5G」網への参入を容認することを決めた。非中核部品などに限定する。米国は機密情報が盗まれるとの懸念から同盟国にファーウェイ製品の排除を求めてきたが、「特別な関係」にある英国の離反で包囲網は事実上崩壊した。英国は米国などと諜報(ちょうほう)機関の情報を共有する同盟「ファイブアイズ」を構成している。米国は英国に対し、ファーウェイの参入を認めた場合は情報共有を制限すると示唆してきた。今回の決定で英米関係にきしみが生じそうだ。

この話、なぜ重要なのでしょうか?

2018年、米中覇権戦争がはじまりました。しかし、アメリカも中国も、核大国。お互い同士を破壊しつくせるだけの核をもっている。だから、「戦争」といっても、「大規模な戦闘」にはなりにくい。それで、別の形態で行われています。たとえば、

こんな感じで米中覇権戦争は行われている。そして、「ファーウェイ戦争」は、アメリカにとって、とても大事なのです。ファーウェイ排除、アメリカは「中国が情報を盗むから」としています。もちろん、それもあるでしょう。しかし、それ以上に、「技術覇権」の観点から大事。要するに、ファーウェイの技術が、アメリカより勝っている。だから排除したい。

証拠をお見せしましょう。イギリスは、なぜアメリカを裏切ったのでしょうか?時事1月28日。

モーガン英デジタル担当相は「われわれは世界最高レベルの通信網をできるだけ早く構築しなければならないが、安全保障を犠牲にはできない。これは英国固有の理由による固有の解決策だ」と説明。ファーウェイを完全に排除すると5G整備が停滞するとの懸念を示唆した。

ファーウェイを完全に排除すると5G整備が停滞する。これが裏切りの理由です。この裏切りに対し、アメリカがだまっているはずはありません。トランプさんが、ボリス・ジョンソンさんを叱責しました。

トランプ氏、電話で英首相に「激怒」 華為機器の容認

CNN.co.jp 2/8(土)15:00配信

 

ワシントン(CNN) トランプ米大統領がジョンソン英首相と先週行った電話会談で英国が次世代通信規格「5G」の通信網に中国の通信大手「華為技術(ファーウェイ)」の機器の一部使用を正式に認めた問題に触れ、激しい怒りをぶつけていたことが8日までにわかった。この電話の中身を知り得る立場にある消息筋が明らかにした。トランプ氏は国家安全保障に脅威を及ぼすなどとしてジョンソン氏をなじったという。

イギリス裏切りの影響は?

イギリス裏切りの影響をみてみましょう。米中覇権戦争の観点からすると、イギリスの裏切りで、アメリカは「ファーウェイ戦争」で負ける可能性が高まります。2015年3月のAIIB事件の時もそうでした。イギリスがまず裏切り、中国主導AIIBに入った。そして他の親米諸国は、「イギリスが裏切っても大丈夫なら俺たちが裏切っても大丈夫だろう!」と後につづいた。今回も、「イギリスがファーウェイを入れるなら、俺たちが入れても大丈夫だろう」となる可能性が高い。

とはいえ、アメリカが「ファーウェイ戦争」で負けるのは、「戦略的敗北」ではなく、「戦術的敗北」です。これで、「米中覇権戦争で中国の勝利が確定」といった話にはなりません。

イギリス自身にとっては、どうでしょうか?私の感想は、「バカな決断をしたな~」です。もちろん、イギリスの決断が「中国を有利にする」という理由もあります。しかし、イギリス自身の話。この国は、1月31日にEUを離脱したばかりでしょう。それで、これからいろいろな国と、「貿易ルール」に関する交渉をしていかなければならない。アメリカを裏切って、「アメリカとお得な貿易ルールをきめよう」としても、うまくいかないでしょう。

image by: John Gomez / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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