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ビジネスコンサルが模索。大企業にはデキないビジネスのあり方

大量生産大量販売というデフレ型ビジネスモデルに席巻される日本のアパレル業界。その中で、個人から始まるビジネスモデルを模索するのは、メルマガ『j-fashion journal』の著者で、ファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんです。坂口さんは、個人でのビジネスを進めるために必要な信用の積み上げ方から作るべきアイテム、さらにはそのビジネスを膨らませるための方法まで、掘り下げて伝えています。

1.個人の信用を蓄積する活動を

個人がビジネスをする時に、最も大切なものは個人の信用である。大企業は大企業の実績や知名度が信用になる。あの立派な会社の商品なら間違いがない、と思われるのだ。しかし、信用のない個人の場合、逆の作用が働く。個人が作る商品や個人が提供するサービスは信頼できないと思われる。

その不安を払拭するためにも、ビジネス以前に個人の信用を蓄積しておかなければならない。個人の考え方や行動は、その人のSNSに現れる。従って、SNSの内容を磨き続ける必要がある。

SNSを個人の趣味と考え、口汚いコメントを載せたり、過激な政治的発言をする人もいるが、それは必ずマイナスに働く。本名を公開しなくても、本気で調べようと思えば、すぐに本名が明らかになる。日常の雑事ばかりを掲載することもプラスにはならない。社会的な関心が低いと思われるからだ。全くSNSを行わないという態度も否定的に評価される。隠さなければいけないことがあるのかと勘繰られるからだ。

SNSの発言は、公共の場で発言しているという意識が必要だ。世の中のためになること、他人の役に立つ情報を発信することを心がけるべきだと思う。それらは、個人の情報を蓄積する活動であり、個人のブランディングの第一歩である。

もし、全く情報発信をしたくない。あるいは、SNSはストレス発散に使えばいい、と考えている人は、個人のビジネスには適していないので、企業組織に所属した方が良いと思う。

2.大企業にできないビジネス

個人がビジネスをするなら、大企業との競合を避けなければならない。簡単に言えば、大量生産大量販売に適した商品の生産や小売である。スケールメリットがあるビジネスは、個人には適していない。

むしろ、一点もの、オーダーメイド、少量生産のものが適していると思われる。例えば、ハンドクラフトに近いアパレル製品やアクセサリーの企画製造である。その場合も、大手流通業者が販売しているようなベーシックな商品では価格競争に勝てないだろう。どこかに、大量生産ではできない要素を加えることがポイントになる。

もし、私が個人でアパレルビジネスを行うならば、アイテムを絞ってオンリーワンの商品を企画する。例えば、チュニックに絞った展開。基本的なパターンを何型か用意して、様々なプリント生地や配色生地をのせる。

同時に、作り方教室も開催し、受講生の作品を販売するサイトも作る。そこにチュニックの愛用者を組織化する。販売サイトには、アパレルから仕入れた商品を加え、チュニックのセレクトショップにしてもいいと思う。ネット販売である程度の数量がまとまるようになれば、独自に量産してもよい。

3.個人ビジネスを膨らませる方法

特定のアイテムや素材に絞り、オリジナルブランド商品として、企画、生産して、販売する。最初はクラウドファンディングを活用するのもよい。これはメーカーとしてのビジネスである。

次に、その商品の作り方や使い方のワークショップや教育講座を作る。これは教育ビジネスであり、体験ビジネスである。

自分の作品だけでなく、受講生の作品をサイトで紹介し、販売する。加えて、アパレルからしいれた商品もネット販売する。これは小売ビジネスになる。

更に、ブランドの知名度が上がったら、コラボ商品の企画や生産をおこなう。あるいは、ブランドライセンスビジネスに発展させる。こうなると、ブランドビジネスである。こうしたビジネスの膨らませ方、成長する方法を含めたビジネス教育が必要だと思う。

編集後記「締めの都々逸」

「一人で作って 愛弟子育て まとめて売って 儲けよう」

ようやく、ウイルス後の方針が固まってきました。やはり、僕が作りたいファッションスクールは大学のようなものではなく、ビジネス教室というイメージになりそうです。等身大がふさわしい時代になりそうです。(坂口昌章)

image by: shutterstock

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