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原爆忌と終戦記念日に伝えるべき、観音像を建てた人物の「言葉」

日本人として自国の歴史を知っておくことは当然であるとされています。学校でも必ず歴史の授業は取り入れられていますが、なぜ、それが重要なのか考えてみたことはあるでしょうか。今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では著者で現役教師の松尾英明さんが、子どもたちに自国の歴史について教えることの重要性について語っています。

教えるが大切

明日、8月6日は広島原爆忌、9日が長崎原爆忌で、15日が日本の「終戦の日」である。

これについて、小さな子どもたちは、当然知らない。
小学校高学年でも、知らないことが多い。
歴史の授業でしか出てこないからである。

また通常、8月のこの時期は夏休みである。
よって、「今日は広島原爆忌です」などと話す機会もない。
今年度は例外的に登校している地域があるので、ある意味話すチャンスかもしれない。

知識については、教えないと知ることができない。
今回、この重要性を改めて問いたい次第である。

ところで、戦争に対する戒めを込めて平和記念像が全国各地に立っている。
千葉県にも「東京湾観音」という高さ56mの巨大な像が立っている。
東京湾から世界の平和を願い見守って立っている白い観音像である。
この像を建立したのが宇佐美政衛という人で、教育に関して次のような言葉を残している。

可愛くば
二つしかって
三つほめ
五つ教えて
良き子育てよ

しかる、ほめる、教える。
どれも必要と認めた上で、その比重まで言及している。
子どもに対する時のこのバランスは、確かにそうだと思える。
見事である。

教えるというのは、やはり普遍的に重要な要素である。
自ら考える子どもを育てる上でも、ベースとなるのは、やはり教えることからである。
私も、これまでたくさん教わってきているし、今でも教わっている。

教えるべきを教える。
これがあって、初めて考える基礎もできる。

1945年の8月に原爆が二つ投下され、それを機に日本が終戦の宣言をしたこと。
これは、教わらないと知りようがない。
だから、子どもたちには、教え伝えていくことが必要である。
子どもたちがオープンになった世界に出た時に困るのは、英語が話せないことよりも、自国の歴史について語れないことの方である。

東南アジア諸国や韓国、中国の人と話す際に、自国の歴史についてどう考えているかと問われたら、どう答えるか。
アメリカの人と話す際に、「真珠湾攻撃についてあなたはどう考えているのか」と問われたら、どう答えるか。
あるいは様々な国の人に「日本人として原爆投下についてはどうお考えですか」と問われたら、どう答えるか。

どういう立場でどんな論に立つにせよ、こういったことに歴史的背景を交えて応答できないとしたら、それは教育の責任である。
教えてこなかった、あるいは教えるのを避けてきた教育の責任である。
教えることを避けることで、考える機会を与えてこなかった教育の責任である。

教えるべきは教える。
十分に学んだその後で、考えることは自然と始まる。

しかるとほめるについては、今回は言及しないが、兎にも角にも「教える」が先に来るということ。
これだけは何にも増して重要なことである。

imaeg by: Shutterstock.com

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【著者】 松尾英明 【発行周期】 2日に1回ずつ発行します。

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