MAG2 NEWS MENU

安倍政権が不都合なテレビ番組を常時監視。なぜあの番組は除外?

政府が特定のテレビのニュースや情報番組を常時監視していることがわかった。報道内容な出演者のコメントなどを官邸が常にチェックし、「政権の意に沿わない報道に対抗措置を取る狙いがうかがえる」としんぶん赤旗が報じている。

官邸がテレビの情報番組を常時監視

同紙の情報開示請求により、内閣広報室がテレビのニュースや情報番組の出演者の発言を詳細に書き起こした記録文書を示した。開示された文書の対象期間は、安倍晋三首相(当時)が「一斉休校」を要請した直後の3月1日から16日まで。テープ起こしをしたと思えるほど、番組内容や発言を詳細に記録しているという。

【関連】メディアは死んだ。森友問題で自殺した職員の訴えを無視する愚行

記事によると、「常時監視」されている番組は以下の通り。

【平日】

【土日】

TBS系『グッとラック!』だけ監視外のなぜ

 

そもそも政府が情報を監視することは特別なことではなく、先進国であればどこの国でも行っている。

監視対象は仮想敵国となる他国メディアだけでなく、自国メディアも含まれ、その考えは「オープン・ソース・インテリジェンス」、略してOSINT(オシント)と呼ばれている。誰でも入手できる公開情報を監視・分析することを指し、隠密的なスパイ活動より重要とも言われる。

ゆえに情報を監視する大切さは理解できるが、気になるのは官邸が監視している番組名だ。このラインナップを見ると、少し偏りがあることに気付く。

【関連】官邸SNS運営からTVニュース買い切りも。日本を牛耳る電通の正体

朝8時台に放送されている情報番組がズラリと並ぶが、なぜかTBS系『グッとラック!』だけ監視対象外となっている。これは何を意味しているのか?

また、テレビ東京もリストに載っていない。番組表を調べてみると、テレビ東京が朝8時台に放送しているのは韓流ドラマ。…それなら納得。しかし、テレビ東京は1つも監視番組がないことから、そもそも政府の眼中にないのかもしれない。

それはさておき、なぜかTBS系『グッとラック!』は政府から監視されていないのか?そこにはいくつかの理由が考えられそうだ。

TBS系『グッとラック!』がリストにないワケ

内閣広報室が明らかにした、官邸が常時監視しているテレビ番組に関する文書。朝8時台に放送されている情報番組がリストアップされているのに、TBS系『グッとラック!』だけ漏れている違和感。その理由として以下の3つが考えられそうだ。

監視リスト除外の理由①政府にとって都合の悪い番組しか監視しない

『グッとラック!』は他の情報番組と比較して、どちらかというとバラエティ色が強い。あまり重たいテーマを扱うことはなく、流行やグルメ、社会情報などを提供している。

また、番組MCは落語家の立川志らく。曜日コメンテーター陣もタレントやお笑い芸人ばかりが並ぶ。特に金曜日に至っては、一番の論客がタレントのアン・ミカというお気楽さ(他、上地雄輔、フワちゃん)。政治に関する鋭い批判は起こらなそうだ。

10月からリニューアルし、月曜日コメンテーターに橋下徹元大阪府知事が加わったものの、MCには田村淳(ロンドンブーツ1号2号)を持ってきて、よりバラエティ色が増加。視聴率も2~3%台と低迷していることから、政府にとってはわざわざ監視する必要はないと判断されたのかもしれない。

監視リスト除外の理由②お抱えの御用番組だから

はっきりしたことは不明だが、政府の御用番組だからという見方もできる。御用番組とは政府にとって都合が悪いとは真逆で、政府が都合よく利用できるということ。

マイナスな情報は放送されない、政府を強く批判もしない、『グッとラック!』は官邸からそのような番組と判断されたのかもしれない。

監視リスト除外の理由③レコーダーの容量が足りない

これは単純に機材の問題。もしかしたら、官邸が用意したレコーダーの数が足りない、あるいはレコーダーの容量不足で並びの番組を全て録画できなかった可能性もある。一度に3台しか回せないから、消去法で『グッとラック!』が外されたという見方もできる。

もしこれが理由であれば、政府に「今は全ての番組を録画できる『全録レコーダー』があるよ」と教えてあげたい。

政府は監視をして何をするかが問題

いずれにせよ、官邸が特定のテレビのニュースや情報番組を常時監視していることはわかった。開示された文書は安倍政権時のものだが、現在の菅政権でも同様に行っている可能性は高いだろう。

先にも述べた通り、政府が情報を監視することは特別なことではない。問題は監視して何をするかだ。

監視した情報を有効に利用しているなら良いが、もし政権に不都合な情報や否定的なコメントをチェックしているだけならば、どこかの国の情報統制となんら変わりのないことになってしまうだろう。

image by: 首相官邸

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け