菅政権肝いりの携帯料金値下げに十分な回答を最初に示したNTTドコモの「ahamo」のスタートが、意外に遅い3月26日と発表され、ライバルキャリアは「ホッ」としているはずと、メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんは語ります。石川さんは、プラン発表段階ではリセットが前提となっていた「継続利用期間」が引き継がれるなど、若干の変更が影響した可能性に言及。それでも従来のドコモユーザーを囲い込むには効果がありそうと評価しています。
NTTドコモ「ahamo」は3月26日スタート――「継続利用期間」の引き継ぎも可能でシンプルからまた遠ざかる
NTTドコモ「ahamo」が3月26日より提供されると発表された。過去最大の春商戦になると期待される中、3月26日というのはちょっと遅すぎやしないか。ahamoは急ピッチで準備が進められただろうから、システムの開発などで、このタイミングになったのかも知れない。
さらに準備期間が全くないであろうKDDI「povo」、ソフトバンク「SoftBank on LINE」陣営としても、正直、ホッとしているのではないか。いずれの新料金プラン、新ブランドも、「これ、幸い」とばかりに3月26日に合わせてスタートする可能性もある。
ちなみにahamoの先行キャンペーンにはすでに100万件の申し込みがあったという。井伊基之社長は「予想外。年間で100万契約行くかどうかと思っていた」とコメントしていたが、まぁ、数百単位では収まることはないだろう。
今回の決算会見では、ドコモ回線の継続利用期間がahamoでも引き継がれることが発表された。実は、これに関しても、昨年12月3日の発表会終了後に担当者に「期間継続はリセットされるんですか」と質問し「その通り」と確認した内容であった。担当者曰く「現行の料金プランは継続利用期間は関係ないので」ということだった。その昔、ドコモを長く使っていれば、支払う料金が安くなったり、ポイントの付与が有利になったりしていたが、総務省の改悪によって、継続利用期間は意味のないものとなってしまった。
本来であれば、どんどん他キャリアに乗り換えていけばいいものの、なんとなく「ドコモを長年、使い続けているから辞めるのも何だか名残惜しい」という気になって、ダラダラと使い続けている人が圧倒的に多いだろう。
当初、ahamoでは、こうしたものをそぎ落とし、シンプルな設計にするつもりだったようだが、おそらく、どこからか抵抗勢力があり、継続利用期間を引き継ぐことになったと見られる。確かにシンプルではなくなるが、ドコモユーザーとしては歓迎すべき変更なのではないだろうか。将来的に、また継続利用期間によって、割引などができるようになる可能性もゼロではない。そのときのためにドコモでの継続利用期間が続くのは、ユーザーを囲い込めるドコモにとっても、ドコモに愛着のあるユーザーにとってもWin-Winのはずだ。
ただ、家族回線としてカウントするとか、継続利用期間を引き継ぐとか、オンライン専用で受け付けるプランとしては、手続きが煩雑になるような気がしてならない。そのあたり、dアカウントさえあれば、うまいこと引き継げるようになっているのか。ahamoがうまいこと立ち上がるにはdアカウントの存在が重要となってきそうだ。dアカウントが、なんだかんだでユーザーを囲い込む効果を発揮することだろう。
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