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景観を乱すピンク系チラシが消えた。韓国のユニークな広告回収法

日本でも繁華街などでよく見かける広告チラシ、街を汚すゴミ問題の一因にもなっていますが、お隣の韓国でも事情は同様のようです。しかしちょっと異なるのが、その回収法。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、韓国各都市で行われている、ユニークな不法広告物対策を紹介しています。

チラシ集め補償制

文政権になってから、就業率をあげるため、ありとあらゆる「仕事」が編み出されている。たとえば、大学などでは授業が終わった夕方、各教室を回り電気を消すだけの仕事もあるそうだ。この人も就業しているものとして、データでははじかれるわけだ。こんなことをしても、失業率は史上最低を記録しているのだが。

ところで、文政権に難癖ばかりつけるのもなにかと思うので、こんなものをありますよ、とご紹介したいものがある。日本でもたくさん見られると思うのだが、道端に放り捨てられている不法広告物。サラ金、ヘルス、不法マッサージ店などのチラシや名刺などが、張ったり捨てられたりしていて、道路上にあふれかえっている。街路樹や街灯などには、アパートの分譲広告などの垂れ幕が結び付けられている。布のやつもあるし、紙のもある。不法広告物は除去しても、そのくっついていた跡が残ったりして、きたならしい。パンティとブラジャー姿など、若い女性の大きく露出された写真が道に転がっていたりすれば、道行く人々も顔をしかめるしかない。

韓国では、この不法広告物取締りの対策として、「市民、収去補償制」なるものが施行されている。たとえば2019年12月30日、水原市は不法広告物を収去(拾ってもってくる)してきた市民に補償金を支給する「市民、収去補償制」の参与対象を拡大すると発表した。それまで満60歳以上だけが対象だったが、2020年1月からは20歳以上の市民も対象とされている。補償金は垂れ幕1枚当たり1,000ウォン(95円)、一般的な壁チラシ300ウォン(28円)、ステッカー型チラシ500ウォン(48円)、チラシ100ウォン(9円)、名刺型チラシ50ウォン(4.7円)といった感じだ。各地域の行政福祉センターに持ち込めば、最大50万ウォン(47,600円)までの補償がありうる。

ヨンイン(龍仁)市では満20歳以上の市民が不法広告物をもってきた場合には、1日で2万ウォン(1,900円)、月に30万ウォンまでの補償がある。セジョン(世宗)市は満60歳以上の住民に、月別に個人25万ウォン、団体70万ウォン(6万7,000円)を補償。釜山は満65歳以上の市民あるいは基礎生活受給者に1人当たり最大5万ウォン(4,760円)を与える。

垂れ幕1枚で95円にもなるなら、けっこう「遣り甲斐」のある仕事ではないだろうか。なにもしないで家でごろごろしているよりは、外に出て、歩いて、腰を曲げて、拾う。健康にもかなりいいと思われる。筆者の身の回りでも、お年寄りたちがグループを作ってバイト的にせっせと収去作業をやっている姿が見える。微笑ましい光景である。グループでやるから、一日に1,000枚、2,000枚と集めることができる。ばかにならない額となる。

地域ごとに不法広告物の収去補償内容がそれぞれに違う。自治体に問い合わせが必要だ。この制度を導入することにより、きれいで安全な道になっているか注目されるところだが、筆者が見るところ、そういえば最近、道端にエッチな写真とかマンション分譲などのチラシが見えなくなったな、と感じている。効果はかなり大きいもののようだ。

これは「クール コリア」といえるのではないだろうか。2020年7月18日号で「#279 KTXの改札に人もマシンもない」としてお届けして以来、久しぶりとなる。今回の「クール コリア」は本メルマガの通し番号でいうと「007」になる。これからも「クール コリア」、乞うご期待。

image by: DiegoMariottini / Shutterstock.com

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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