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消費者のせいにするな。食品を偽装するのは企業や生産者の「甘え」だ

一時期、大きな社会問題として取り上げられた日本企業における「食品偽装」問題。騒がれていた時に比べると報道も少なくなりましたが、その後も同様の問題が後を絶ちません。そもそも、なぜダメなことだとわかっていながら「偽装」をしてしまうのでしょうか。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、消費者のせいにする生産者や企業側の甘えた考えに厳しく「喝」を入れています。

食品を偽装するのは「消費者の本物志向」が原因!?

いまだ食品偽装がなくなりません。日本の企業は、倫理観を失ってしまったのでしょうか。「どこでもやっている」という、甘い意識があるのかも。老舗であっても、もう信用できません。

そもそも、なぜ偽装しなければならないのでしょうか。「経営環境が厳しくなり、収益確保のために、悪いこととは知りながらやってしまった」という言い訳とともに、もうひとつの理由が述べられます。

「お客さまの本物志向が強く、競合に勝つためには、ブランドの力が必要だった」。

“お客さまが求めるから仕方なく”と、お客さまのせいにしています。

消費者の本物志向は事実ですが、ブランドを求めているわけではありません。本当に良いもの、本当に価値のあるものを求めているのです。そこに気づいていないのです。

もし、お客さまが本物志向・ブランド志向だと言うならば、本物・ブランドで勝負しろ、と言いたいのです。偽物で勝負しても、いずれはバレるものです。

よく、規格外の野菜が売れないことの理由として、「曲がったキュウリを嫌がる消費者にも原因がある」と言われますが、本当にそうなのでしょうか。野菜を選ぶ主婦を観察していると、実のしっかりしたもの、新鮮そうなものを選んでいるように見えます。カタチの悪い野菜を避けているようには思えないのですが。

この件に関しても、生産者側がお客さまのせいにしているようにも思えます。

まっすぐなキュウリを選り分けている理由は、「運送コスト」に他なりません。曲がったキュウリは箱に入れにくく、たくさん詰め込めないので、荷物が大きくなり、コストが高くなるです。まっすぐなキュウリなら、整然と並べることができ、箱にたくさん入ります。すなわち、コストが安くなるから、まっすぐなキュウリだけを流通させるのです。決して、お客さまが望んでいるわけではないのです。

食品偽装に関しても、「バナメイエビは嫌で、芝海老なら食べたい」とは思っていません。「津軽地鶏なら食べるけど、ロード・アイランド・レッドはいらない」とも思わないのです。「海老とイカのクリスタル炒め」「鶏のマリネ イタリア風」とメニューにあり、美味しければ、それで納得して帰って行くのです。リピーターにもなってくれます。美味しいかどうかが問題であって、食材のブランドは関係ないのです。

確かに、2つのメニューを見比べて、どちらかのお店を選択する場合なら、食材のブランドに惹かれるかもしれませんが、そんなシチュエーションはほとんどありません。“美味しそう!”と思えるお店を選ぶだけです。美味しそうだと判断する基準は、料理名であったり、写真であったり、口コミだったりします。つまり、結局は美味しい料理を作っているかどうかなのです。消費者が本物を求めるとか、ブランドでなければダメだ、というのは、まったく根拠のない言い訳です。

偽装のすべての理由は、「利益追求」です。儲けるために嘘をついている。ただ、それだけのことなのです。

お客さまのせいにするな、と言いたい。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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