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今なら野党も勝てる。菅内閣「自民全敗」で見えた政権交代の目

菅政権に対して、「身内」からもNOが突きつけられ始めたようです。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、自民党が全敗となった25日の衆参3選挙の内、「保守王国」であり自民党が最も力を入れていた広島の参院補選に注目。そこで明らかになったのは、3割もの自民党支持者が敵対候補に投票したという異変と、低投票率でも野党候補が勝利できたという、これまでの選挙の常識を覆す事実でした。

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菅政権、初の国政選挙で3戦全敗

4月25日(日)投開票で行なわれた衆参3選挙は、菅政権下での初めての国政選挙ということで、全国的に注目されました。

北海道2区の衆院補選は、収賄罪で起訴されて自民党を離党した吉川貴盛元農相の辞職に伴う補選だったため、自民党は有権者からの風当たりを考えて候補者の擁立を断念し、不戦敗の道を選択しました。その結果、2017年の衆院選で吉川貴盛氏に敗れた立憲民主党の松木謙公氏(62)が、他の候補の2倍以上の5万9,664票を獲得して当選し、雪辱を晴らしました。

新型コロナで亡くなった立憲民主党の羽田雄一郎氏の弔い合戦となった長野の参院補選は、羽田雄一郎氏の弟で立憲民主党新人の羽田次郎氏(51)が41万5,781票を獲得し、自民党新人の小松裕氏(59)に9万票の大差をつけて圧勝しました。

そして、自民党の河井案里氏の逮捕・当選無効に伴う広島の参院再選は、諸派新人で立憲民主、国民民主、社民が推薦したフリーアナウンサーの宮口治子氏(45)が37万860票を獲得し、自民党新人の西田英範氏(39)に3万4,000票近い差をつけて勝利しました。

不戦勝も含め、衆参3選挙すべてで野党が勝利し、自民党は全敗しました。最長でも今年の秋までに総選挙を余儀なくされている自民党にとって、これはとても厳しい結果となりました。中でも、自民党が最も力を入れていた保守王国、広島の参院再選での惨敗は、党にとっても県連にとって大きなダメージとなりました。

宮口治子氏に当確が出た瞬間、どんより度がMAXになった自民党の西田英範陣営の事務所では、選対本部長をつとめた「政治資金でSMバー」でお馴染み、宮沢洋一氏が「最後の最後まで河井夫妻にたたられた選挙戦だった」などと、まるで恨み言のような敗戦の弁を述べたのです。この厚顔無恥な発言をリアルタイムで聞いていたあたしは呆れ果て、開いた口からエクトプラズムが流れ出て幽体離脱しそうになってしまいました。

そもそも自民党本部が工作資金1億5,000万円を渡して行なった党ぐるみの犯罪なのに「河井夫妻はすでに離党したので自民党は無関係」などという我田引水なロジックで有権者を騙せるわけがありません。それまで自民党のカネと看板を利用して悪事を働いて来た議員なのに、犯罪がバレたとたんにマッハで離党させて「自民党は無関係」というこのパターン、いい加減にしてほしいと思います。

さて、そんな自民党が全敗するという最高に気分の良い結果となった衆参3選挙ですが、もう1つのポイントは、その投票率の低さでした。北海道2区の衆院補選の投票率は30.46%、衆院補選では過去2番目の低さです。長野の参院補選は44.40%、参院選では過去最低です。そして、広島の参院再選は33.61%、前回2019年の参院選を11ポイントも下回り、広島選挙区では過去2番目の低さとなりました。

あたしは開票速報を見ながらツイッターのTL(タイムライン)も見ていたのですが、宮口治子氏に当確が出た瞬間、喜びのツイートが次々と流れて来る中に、投票率の低さを憂うツイートも散見されました。ひと足早く当確が出た北海道2区と長野も、同様に投票率の低さを嘆くツイートが数多く見られました。しかし、この投票率の低さは、ある意味、とても素晴らしい側面もあるのです。

かつて自民党の森喜朗氏は「無党派層は投票など行かずに家で昼寝でもしていほしい」と述べて物議を醸しました。しかし、これは「投票率が低いほど自民党候補が有利になる」という選挙の構造を如実に表わした正論なのです。何故なら、自民党の政党支持率はダントツの1位だからです。

政党支持率の数字は世論調査を実施した媒体によって様々ですが、最新の調査データの中から平均的なものを引用すると、自民党40%、立憲民主党5%、公明党3%、日本共産党2%、日本維新の会2%、国民民主党1%、社民党1%、れいわ新選組1%、その他の政党1%、支持する政党はない44%、となっています。

この数字を見れば分かるように、自民党の政党支持率はダントツですが、日本の最大勢力は44%を占める無党派層なのです。つまり、無党派層が投票に行かなければ、自民党候補の勝利は確約されているようなものなのです。そのため、自民党の独裁政権に反対しているあたしは、選挙のたびに「投票に行こう!」とブログやツイッターで無党派層に呼びかけ続けて来ました。最大勢力の無党派層が野党候補に投票してくれない限り、政権交代は実現しないと思っていたからです。

しかし、今回の広島の参院再選は、33.61%という極めて低い投票率だったにも関わらず、野党候補の宮口治子氏が自民党候補の西田英範氏に3万4,000票近い大差をつけて勝利したのです。もともと野党が強い選挙区ならともかく、広島は池田勇人、宮沢喜一という2名もの首相を輩出した保守王国、石を投げれば自民党支持者に当たるような選挙区です。

その上、西田英範陣営の陣頭指揮を執った自民党広島県連会長は、次期総裁候補でもある岸田文雄氏です。資金も野党候補の数倍、これほどの必勝パターンなのに、どうして自民党は惨敗したのでしょうか?その答えは出口調査の中にありました。

今回、宮口治子氏を推薦した立憲民主や国民民主や社民などの支持者は、それぞれ95~98%の人たちが宮口治子氏に投票したと回答しています。一方、自民党支持者は、自民党候補の西田英範氏に投票したのは全体の約7割ほどで、残りの約3割は宮口治子氏に投票したと回答しています。自民党支持者の約3割が、自民党候補ではなく、敵対する野党候補に投票したのです。

宮口治子氏の得票数は37万860票、西田英範氏の得票数は33万6,924票ですから、もしも自民党支持者が全員、西田氏に投票していたら、結果は逆転していたのです。宮口氏が当選できたのは、初めから宮口氏を支持していた野党支持者たちの票の上に、自民党にうんざりし始めた自民党支持者たちの票が積み上がった結果なのです。

あたしは今まで、無党派層を動かさないと政権交代は実現しないと思っていました。しかし、これまで7年8カ月にも及ぶ安倍政権の悪政と、その安倍政権の悪い部分ばかりを踏襲した現在の菅政権によって、自民党支持者の中にも「このままでは日本は大変なことになってしまう」という危機感が芽生え始めたのだと思います。

今回の広島の参院再選では、もちろん河井夫妻の事件が自民党候補への最大の逆風となりましたが、3割もの自民党支持者が野党候補へと流れた原因は、それだけではないと思います。何から何まで後手後手でワクチンすら確保できない新型コロナ対策や、東京五輪ありきで強行している数々の利権政策など、あまりにも酷すぎる菅政権への反発も相当数あったと思います。

そして、そう考えると、野党共闘が確実になり、各選挙区で野党候補を一本化することさえできれば、たとえ保守地盤であっても、たとえ投票率が低くても、野党にも勝ち目が見えて来るのです。衆院選のすべての選挙区が与党と野党の1対1のタイマン勝負になり、全国の自民党支持者の3割が野党候補に投票してくれれば、野党連合が過半数の議席を獲ることができるのです。一強の政党支持率の上にあぐらをかき、カネをバラ撒く金権政治でやりたい放題の自民党政権には、自民党支持者の力を借りて、そろそろ日本から退場してもらいましょう。

(『きっこのメルマガ』2021年4月28日号より一部抜粋・文中敬称略)

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